days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

The Walking Dead


妻がスカパー!に加入したお陰で、こんな恩恵を受けられました。
FOXジャパンにて放送されたTVシリーズウォーキング・デッド』第1話の録画を妻と鑑賞です。


保安官のリック(アンドリュー・リンカーン)は凶悪犯との銃撃戦で重傷を負い、病院に担ぎ込まれます。
昏睡状態から目覚めると、病院内は血痕や肉が殆ど無い腐乱死体があり、鎖で施錠された扉には「開けるな。死者がいる」と書きなぐられていました。
リックが眠っている間に、世界は生者の生肉を食らう死者に覆い尽くされているのでした。
自宅に戻ったリックは妻子が無事に逃げ延びたらしいと知り、2人を追い掛けようと旅を始めるのでした。


テレビシリーズとしては初めてでしょう。
本格的なゾンビものは。
企画・製作総指揮はフランク・ダラボン
この第1話は彼自身が監督もしています。
ひたひたと静かな恐怖を漂わせながら、リックと彼が出会う人々のドラマをがっちり描いて物語を進める手腕は好調そのもの。
終幕の街角を曲がったら…のショックシーンはかなりのもので、そこまでの落差によって効果的です。
ダラボン、好調のようです。
今回改めて思ったのは、この人は世評の高い『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』、人情ドラマ『マジェスティック』といった甘ったるい作品よりも、『ミスト』や本作のような本格ホラードラマの方が良いのではないでしょうか。
ホラードラマだから甘さは微塵も無いものの、しかしただ殺伐としているのではありません。
恐怖の中の哀しみ、希望と絶望といった様々な感情を細かな描写に潜ませています。
例えば、公園で老女らしきゾンビを射殺するリックの表情は哀しげです。
相手は姿かたちは化け物であっても、かつては人間だったのですから。
無遠慮に感傷的に陥る事無く、危機的状況に対して市井の人がどのような反応を示すのかが率直且つ等身大で描かれていて、登場人物への感情移入もすんなり出来ます。
是非、シリーズを通してこの路線で貫いてもらいたいものです。
そうなれば、かなり見応えのあるドラマになるのではないでしょうか。


無論、ホラーなのですから見せ場はあります。
この手の作品でメイクがちゃちだと興醒めなものですが、抜かりありません。
ゾンビのメイクはトム・サヴィーニの弟子たちが立ち上げ、近年では『ナルニア国物語』やクエンティン・タランティーノ作品なども手掛けているKNB EFXグループが担当しています。
下半身が失われて這い進むシワシワ女性ゾンビ(『バタリアン』のオバンバ?)など、非常に良く出来ています。
暴力描写はテレビ作品だから…と思って油断して見ていると結構びっくりします。
額を撃ち抜くと、後頭部や脳漿が飛び散る様子までメイクとCGで表現しており、この手の描写が苦手な人は受け付けないでしょう。
その一方で、テレビだからと手抜きしない描写に、本格ホラーとしてもお薦めできるものとなっているのです。


アンドリュー・リンカーンは『ラブ・アクチュアリー』でキーラ・ナイトレイに愛を告白した男役しか知りませんでしたが、普通の人が主人公のドラマ作品にぴったりです。
ローリー・ホールデンは『マジェスティック』、『ミスト』とダラボンお気に入りの女優のよう。
スターは出ていませんが、それもまたリアルなこのシリーズに合っていると思いました。


かなり面白かったのですが、続きを見るには問題がありました。
この第1話を放送したFOXジャパンでは第2話以降が放送されず、続きを見るにはFOXムービーズを契約しなくてはならないのです。
我が家は同チャンネルを契約していなかったので、妻が契約チャンネルを変更することにしました。
ひょっとしたら娘に見せるかも…としていたカートゥーン・チャンネルは、哀れ1度も見ることなく解約。
うちは基本的に娘にテレビを見せないので、いいんです。
チャンネル変更手続きも終わり、第2話本放送には間に合わなかったので今週金曜日の再放送を録画しましょう。
楽しみです。


ところが水を差すような話が飛び込んで来ました。
この第1話が30カットされた版だというのです。
詳しくはだいこくさんの記事を読んでもらうとして、これは誠に残念。
完全版の放送を望みたいところです。


全6話と短いシリーズのようですが、早くも傑作の予感。
製作総指揮にはゲイル・アン・ハードという、ジャンル映画ばかり作っている「分かっている」プロデューサーも名前を連ねているので、今後の期待も高まります。
尻つぼみにならなければ良いな、続きも素晴らしい出来栄えでありますように…と祈るような気持ちで続きを見守りましょう。


原作のコミックも気になりますね。

The Walking Dead Compendium 1

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  • 出版社/メーカー: Image Comics
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Walking Dead 1: Days Gone Bye

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