days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Machete


ワーナーマイカルシネマズ港北に行くと、ロビーにD-BOXなる劇場施設の体験デモがありました。
座ってみると、画面に合わせて椅子が振動したり動いたりするものでした。
TDLUSJの映像系アトラクションによくある感じのものです。
映像は『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 1』予告編が使われており、なるほどどういう仕組みで内容を解析しているのか分からないけれど、それ風に椅子が反応します。
私は注意力が画面から椅子に移ってしまい、画面への集中力が削がれるように感じましたが、これは小画面での体験だったからかも知れません。
むしろ3D上映映画には合っているのではないでしょうか。
これも『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 1』の2D/3D変換が間に合わなかったのに、設備投資が先行する結果になったのかな、と思いましたが、さて実情はどうでしょう。
3Dに限らず、映画館が家庭では不可能な方式でテレビやDVDに対抗する姿勢は結構だと思います。
あとはその効果ですよね。


さて映画は『マチェーテ』を鑑賞しました。
日曜18時40分からの回、シネコンの大劇場は10人程度の入り。
映画の内容からするとこんなものなのでしょうか。
余り宣伝もしていなかったしね。


映画はR15+になるのかと予想していたので、驚きのR18+指定。
映倫のデータベースを見ると、「大人向きの作品で、極めて刺激の強い、数々の刀剣・銃器による殺傷、肉体損壊、出血飛散の描写及びヌード表現がみられ、標記区分に指定します。」とあります。
実際に映画を観ると納得。
一方、本国アメリカではR指定
理由は「Rated R for strong bloody violence throughout, language, some sexual content and nudity.」。
似たような理由なのに、成人映画か準成人映画か、と判断が分かれるのは興味深い。
しかし成人映画と準成人映画とでは、鑑賞可能な観客層に大きな違いが出るのだから、興行的には大きな違いとなる筈。
もっともこの映画の場合は公開されるだけマシという扱いなのか、パンフレットすら無くて残念でした。
こういうゴミクズ風パロディ映画こそ、詳細な解説があれば面白いのに。


さて内容はと言うと、メキシコの麻薬捜査官マチェーテダニー・トレホ)は、麻薬王トーレススティーヴン・セガール)に妻子を惨殺されてしまいます。
アメリカに流れ着いて日雇い労働者として過ごす彼を、身なりの良い男(ジェフ・フェイヒー)が高額な報酬で雇います。
過激な移民排斥主義者の政治家マクローリン(ロバート・デ・ニーロ)を暗殺せよ、と。
しかしいざ決行というときに、謎の狙撃者によってマチェーテは撃たれ、マクローリン狙撃犯として追われる身になります。
タコス売りのルース(ミシェル・ロドリゲス)に匿われたマチェーテは返り討ちをすべく、事件の真相に迫ろうとしますが。


グラインドハウス』に収められていた同名偽予告編の長編映画化です。
1970年代風の荒れた傷だらけのフィルム映像を模した、しかしデジタル撮影作品なのも偽予告編同様。
キャストは一部変更されていますが、それも豪華に変更されているのが面白い。
デ・ニーロの卑劣な政治家など、演じている本人は楽しそう。
冒頭からエロもグロも多く、あくどいまでのエクスプロイテーション映画の模倣は面白く観られるのですが、問題は後半になるとロドリゲス映画の常として失速してしまうこと。
実際にアメリカでは移民が酷い目にあっているのだから、その怒りの象徴としてもっと大暴れが盛り上がれば良いのに、そうはならない。
ロドリゲスの胆力の無さに今更ながらがっかりしました。
この人、オムニバス映画『シン・シティ』が1番良かったように思います。
しかも一匹狼の筈のマチェーテが、何故か怒れるメキシコ移民たちのリーダー格として扱われるのは違和感がありました。
キャラクターの行動に首尾一貫性が無いのです。
それと面白い要素は数多くあるのに、見得の切り方が今ひとつ。
アイパッチ登場場面は「おおー」と思いましたが、それ以外は勿体無い場面ばかり。
無駄に豪華なキャストは面白いのに、使われ方が殆ど無駄。
ドン・ジョンソンの卑劣な悪役は面白かったけど、演技力の無いセガールにはアクションで見せ場をこさえてあげるべきだったのでは。
終幕の一騎打ち、あそこは迫力ある盛り上がりを期待したのですが。
もっと面白くなる映画なのに…と残念に思える映画でした。


無駄と言えば女優たちの無駄脱ぎも目立っていて可笑しかった。
ジェシカ・アルバリンジー・ローハンの文字通り無駄脱ぎ(但しバストトップは見せず)は、全く意味がありません。
それが1970年代のエクスプロイテーション映画風なのですが、スターが演じてるだけに余計に可笑しかったです。


ロドリゲス映画なので、チーチ・マリンもしっかり顔を出します。
トム・サヴィーニもすっかり常連。
殺し屋プロモーション・ヴィデオも笑えました。
そもそもダニー・トレホ自身がロドリゲス映画の常連ですしね。
主演映画は初めてなのでは。
いかつい個性的な風貌が映画の中では力があって、彼は良かったです。
そう言えばデ・ニーロとの共演は、ひょっとしてマイケル・マンの傑作『ヒート』以来なのでしょうか。