days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

システム納品から半年経って


今のシステムが納品されて、約半年が過ぎました。
スピーカが納品されたのは4月4日AVアンプPioneer VSA-AX3が納品されたのが6月16日です
スピーカ納品直後は、インストーラの白須さんもエンクロージャ製作の長谷川さん*1も渋い顔をしていました。
「半年経つと音が開放的になりますよ」と白須さんの言葉もありましたし、「では半年後に聞きにいらしてください」と私も言いましたので、実際にお二人に来てもらい、音の変化を確認してもらいました。


この日、金曜の19時にいらした白須さんと長谷川さん。
「おぉ、(エンクロージャの)色が濃くなったなぁ」と白須さん。
そうでしたか。
変化は気付かずでしたが、色味はとても気に入っていますよ。
まずは長谷川さんが音楽DVDをお持ち下さいました。
ブリティッシュ・ポップス・バンド、ルベッツ(リューベッツ=The Rubettes)のライヴDVDです。

PAL DVDなので小さい画面(PC画面?)でしかご覧になった事が無いとのことですので、さて長谷川さんにはここのシステムでどんな感想を持たれるのでしょうか。
マスコット除電器がどこかに行ってしまったので、JODENジャケットにてディスク除電。
ディスクをセットした長谷川さんに「折角ですから特等席でどうぞ」と、席をお勧めしました。
長谷川さんは、恐らく1番お好きと思われる曲を再生するよう、白須さんにリクエスト。
と、ここで白須さん、「そうだ、折角だから実験しましょう。コアブリッド巻いたHDMIケーブルを持って来たんですよ」と、プレイヤーを一時停止して表に停めた車に行ってしまいました。
可愛そうなのは寸止めを食らってお預け状態の長谷川さん。
しかし白須さんは全く意に介しません(^^;
取り敢えず再生開始。


まずはここで元から接続していたHDMIケーブルです。
普通のケーブルにサンダーロンテープを巻いたもの。
再生された画面比がおかしかったのですが、どうやらPALディスクだからではないか、とは白須さん。
Cine7に入力している信号を確認していらっしゃいましたが、「設定がおかしくなるから止めましょう」と、そのまま上映続行です。
結構な大音量でのアリーナ・ライヴ。
DVD-VIDEOの音も悪くないなぁ、お、この曲知っていると思って私も指定曲を機嫌良く聴いていると、「はい、ではケーブルを交換しましょう」と途中で止めてしまう非情な白須さん(笑)
AVラックの裏に大きな身体をもぐりこませて、ケーブルを交換します。


ケーブル交換後、再び同じ曲。
幸いにも今度は最後まで再生されました。
長谷川さん、良かったですね。
あれ、音が全然違う。
肉声豊か、高域もきちんと情報が入っているのに耳障りが良い。
私のような鈍感な人間でも、はっきりと違いが分かりました。
Panasonicの1番安いHDMIケーブルを、皮膜をはがして直接コアブリッドを巻いたんですよ。」と白須さん。
白須さんブログでも読んでいましたが、単なるサンダーロン巻きとここまで違うとは。
「このケーブル置いていって良いですよ」と私が言うと、苦笑いの白須さん。

白須さんの数々の妨害(笑)にも関わらず、長谷川さんはライヴDVD上映を楽しまれたようで良かったです。


では、と今度は私のBlu-ray Discで音の確認をして頂くことにしました。
このところのリファレンス・ディスクである『ハート・ロッカー』冒頭部分を丸ごと再生です。

ハート・ロッカー [Blu-ray]

ハート・ロッカー [Blu-ray]

音量は普段視聴時、先日のオフ会と同じにしました。
爆発場面では空気ごと部屋が振動します。
「ん?これは底付きなんじゃないかな」と白須さん。
私は収録音声かと思っていたのですが、爆竹のように物がはぜる音が出ている事を指されているようです。
この場合の底付きとは、低音がドライバーの振動稼動限界を越えて、ヴォイスコイルフォーマー(ヴォイスコイルはシリンダー状のワイヤが巻き付けられた部品のことを言うようです)がバックプレートに当たる事だとか。
要は物がはぜる音に聞こえたのは、物理的に物が当たっている音だったのですね。
底付きか収録効果音かどうか、確認する必要があります。
再生音量を下げてみて、その音が出なければ底付きではないか、と提案してみました。
かなり音量を絞っての再生。
…先ほどの音は一切聴こえません。
6月24日にユニットのFE206Enが元気過ぎで低音が出過ぎるようになったと書きましたが、いつの間にかさらに出るようになっていたようです。
「スピーカーが壊れる前に下げてしまいましょう」と、白須さんはBDP-LX91の低域をさらに下げました。
「当たる寸前で止まるよう、調整しますね」。
納品時はLX91の低域出力を最高まで設定していたにも関わらず、全く低域が出なかったシステムでしたが、今や別物。
面白いものです。
検索すると、底付きの場合は音の歪みが伴うのが普通のようです。
しかしこれは全く歪まない。
むしろ綺麗というか、聴き疲れしない重低音です。
うーん、これも除電効果なのか。
設定後に音量を最初と同じにして再度視聴。
底付きと判明した音は消え、でも爆発音がきちんと段階を追って再生されています。
「ユニットにカーボン処理して、ケーブルに直にコアブリッド巻きをすれば、もっと低音が出るようになりますよ。低音の音階も分かります」とおっしゃる白須さん。
うむむ…魅力的ですのう。


さて、オフ会にてCine7のフォーカスがずれているんじゃないかと皆さんからご指摘を受けた件について、相談してみました。
「うーん、別にずれていないけどなぁ」と言いながらチェックする白須さん。
コンバージェンスは先のオフ会で私がいじってからは全く手付かず。
「コンバージェンスも合っているし」と、リモコン片手にあちこち画面を呼び出されます。
結局、コントラストを下げてくださいました。
コントラストを下げるとその分ビームが細くなるので、細かいところまで一層見えるとのこと。
コントラスト高めの画も魅力的だし、どちらを取るか、少々悩みますね。
暫くはコントラスト下げた状態で行きましょう。
まぁこういったのも三管の面倒さ=楽しさなのでしょう。


さて、これからは真剣モード。
「CDをたくさんお持ち下さったようですから、それで音の確認をされては如何ですか?」と長谷川さんに言う私。
すると長谷川さん、「私はアラビア音楽とブリティッシュしか聴かないんです。ですからそんなの再生すると、お客さんから変な顔されてしまう事もあって」とおっしゃるので、「全然構いませんよ、それで行きましょう」。
奥ゆかしい長谷川さんです。


CD再生はHDMI接続で。
元々アナログマルチとHDMI接続で納品されていましたが、2ch再生でもアナログマルチの方が音が好みだったのと、サブウーファー未使用となっても十分低域が出ているように感じていたので、HDMI接続での鑑賞はしていませんでした。
しかーし、数ヶ月振りに聴くHDMI音声は納品時と変わっていました。
ユニットが駆動するようになって、低域が音量豊か・音色豊かになっていたのです。
これは後で自分のCDで確認したのだから間違いありません。
うーむ、普段から接していると見逃してしまう事って多いんだなぁ、と実感しました。


閑話休題
とっかえひっかえCDを持ち出し、各ディスクの特定曲を白須さんに指定、それから特等席に戻る長谷川さん。
「全部頭の中に入っているんです」と長谷川さん。
アラビア音楽と言ってもかなり現代ポップス/ロックのアレンジされていて、重低音のビートが叩き出されています。
確かに低音のチェックに良さそう。
時々白須さんもユニットを確認します。


しかし凄い大音量。
我が家始まって以来の音のでかさです。
窓際に椅子を置いて陣取った私からも、ユニットが低音でドンドンと動いているのがはっきり分かるくらい(^^;
高域もかなり出ています。
それでもシステムがゼェハァ言っている感じは皆無。
まだまだ余裕を感じます。
「良いじゃない、良いじゃない」と白須さん。
「段々顔が青ざめて来たんじゃないの?」「工場のより低音が出ているんじゃない?」と長谷川さんに茶々を入れています。
長谷川さんは普段も工場で色々と実験をされているのだとか。
工場見学とか無いのでしょうか。
あったら行って見たいものです。


さて私も中々面白かった視聴、ディスクは7-8枚は聴いたでしょう。
「これは除電の音だね」「だね」と御2人。
外交辞令も多少あるのかも知れませんが、結論としては御2人の予想以上の音の変化だったとのことでした。
「今だから話せますが、納品時は”もうちょっと待って下さい”と言うしかなかったんですよ、あっはっは」と豪快に笑い飛ばす白須さん。
えぇ、かなり顔に書いてありましたとも。
まぁでも何とかなるでしょうとこちらが思っていたのと、白須さんを信頼していたので全く心配していませんでしたが。
ほら、実際に何とかどころか、かなり良好ではないですか。
「こうやって良い方向に行くのが後で分かると、疲れも吹っ飛びますよ」と白須さんは仰いました。
確かに納品後は中々確認出来ないでしょうしね。
インストーラの白須さんは各調整等で顧客を再訪する機会があっても、職人の長谷川さんは中々その機会は無いでしょうし。
長所も短所も直に確認出来るのですから、来て頂けて良かったです。


今回のスピーカで使用のユニットは、エッジ(ユニットの外周部分)が布で出来ています。
これはエージング(英語ではBurning)できちんと音が出るまで時間が掛かるものだとか。
ひょっとして、まだまだ調子が出て来るのでしょうか。
日々聴いていると、自分でも変化が分かるかなぁ。
ところが近年のJBLはこれがウレタン製になっています。
ウレタンは当然ながら劣化が早いのですが、湿気にも弱くて溶けてしまうのだとか。
高温多湿の日本では合わなさそうな素材ですね。
ウレタンにした理由は効率の問題。
つまり納品時に早速ユニットが動いて音を出してくれないと、そんな何ヶ月も何年もマトモな音が出るまで悠長に待ってられない…というものだとか。
「そんな溶けてしまうなんて、はっきり言って不良品です」と豪快にJBLを斬る白須さんでした。
その白須さんも元々JBLファンだったとのことですから、残念な思いもあるのでしょうね。


最後に私のCDを聴いて頂きました。
以前にもご紹介したarchaicの2ndアルバム『pega-pega』です。

pega-pega

pega-pega

白須さんのご提案で、先のHDMIケーブル聴き比べも兼ねることになりました。
再生は3曲目の『Partidoalto』です。
縦横無尽な林正樹演奏のピアノと、仙道かおりが叩き出すパーカッションのリズム。
「これ、演奏も良いけど録音も良いですねぇ」と白須さん。
コアブリッドB巻きHDMIケーブルに交換すると、やはりこちらの方が良いなぁ。
そうですか、では実家からワイヤストリッパーを取り返して来て、自前でサンダーロンを巻き巻きしましょうか。


21時前に解散となりましたが、とても楽しいひと時でした。
白須さんも長谷川さんも、このお仕事がお好きなんだなぁ、と見ていて思いました。
嬉々として実験君になる白須さんと、余り表情を変えずともせっせと確認される長谷川さん。
もちろん、当然ながら普段は大変な事も多々おありでしょうが、今のお仕事はお2人にとって天職なのでしょうね。
お忙しい中、ありがとうございました。
またいらして下さいませ。


尚、白須さんの下記ブログでも今回の件について書かれています。
ご興味ある方はそちらもどうぞご覧下さい。
「英国紳士」などと私について書かれて下さりありがたいですが、紳士などとんでもありません。
せめてその前に「腹黒な」を付け足したいと思います φ(^-^;


※白須さんの「白須のブログ」でも取り上げられました:http://d.hatena.ne.jp/arcs2006/20101110

*1:今までHさんと記載していましたが、白須さんのblogで本名が出ていたので、今後は長谷川さんと書かせてもらいます