days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

TRON: Legacy


南町田にある109シネマで、つい先日オープンしたばかりのIMAXシアターに行って来ました。
今まで観た事のあるIMAX劇場の中でも1番小さかったです。
川崎のも最初は小さいな…と思いましたからね。
あそこよりも小さいです。
新宿にあった劇場が無くなったのが今更ながら惜しまれます。
あれくらいどデカイ大画面、どこか作ってくれないものでしょうか。
もっともあちらは大型フィルムを使った純正IMAX、こちらはデジタル上映のIMAXデジタルで、規格が違うものではありますが。


さて観て来た映画です。
お正月映画で1番の超大作と言っても良いでしょう。
1982年のSF映画トロン』の何と28年振りの続編『トロン:レガシー』です。

日曜15時20分からの回、361席の劇場は9割以上の入り。
余っている席は前の方の列くらい。
IMAXの大スクリーンでは前のほうは厳しいですからね。


一時期、『ニュー・トロン』などという題名で続編の企画が上がっていたものですが、内容の変更はあったのでしょうけれども、無事にこうして映画が実現されたのは単純に喜ばしい。
しかし『トロン』の細かい筋は既に記憶の彼方、余り面白くない平板な映画との印象しか残っていません。
もちろん、シド・ミードがデザインしたライトサイクルや、メビウスジャン・ジロー)がデザインしたMCPの衣装など、印象に残っているものはあるのですが。
メカ類は全体的に良かったですね。
全部シド・ミードだったのかな。
公開当時はCGを多用した等と宣伝されていましたが、後に中子真治の名著『SFX映画の世界』で、殆どがモノクロ映像にアニメーションを使った透過光処理と知ってガッカリしたものです。
それでも映画の影響力は大きく、映画に(映像に?)感動したジョン・ラセターが、CGアニメの可能性を見出したのですから、分からないものです。
また、コンピュータ・プログラムの擬人化というアイディアは、後の『マトリックス』に通じますね。


今回の続編では、前作の主人公だったジェフ・ブリッジス演ずるケヴィン・フリンが行方不明になるところから物語が始まります。
それから20年後、成長したサム(ギャレット・ヘドランド)が、ケヴィンの同僚であるアラン(ブルース・ボックスライトナー)から、「父さんから連絡があった」と告げられ、父親が経営していたゲームセンターに行くと、突如スキャンされてコンピュータの世界に取り込まれてしまいます。
そこは父親が作り上げた理想郷…の筈が、彼が作ったコンピュータ・プログラムのクルー(ジェフ・ブリッジス2役)に支配されている世界。
サムは父親を救おうとします。


物語はそう面白いものではありません。
伏線がどうこういうものではないし、第一、前作と同じプロットなのが詰まらない。
しかし映像と音響が圧倒的に素晴らしく、それだけで2時間余、楽しめてしまいました。


映像で1番凄いのは、ジェフ・ブリッジスの若返り。
行方不明になる夜、7歳の息子サムとジェフ・ブリッジスが一緒の場面があります。
微妙に違和感があるのですが、暗い部屋という設定やどアップを避け、巧妙に仕上げていたと思います。
コンピュータ世界は殆どモノクロに近い暗い映像が続くのですが、そのせいもあってか、殆ど違和感無し。
全編それで通す強気な方針は技術の裏付けがあってこそでしょう。
これは単純に凄かったです。


それと今回は音響目当てで通常のデジタル上映ではなく、IMAX上映にしてみたのですが、映像面でのIMAXの恩恵は確かにありました。
大画面に超高細密な映像が瑕疵無く表示され、明るく非常にクリア。
映画全体がデザイン面で素晴らしく作られているので、それらを眺めるだけでも幸せになれるというもの。
いや、本当にこれは見ものです。
高層ビル群に光るボディスーツ、シド・ミードのデザインをアレンジしたライトサイクル、各乗り物類。
それとプログラムの死が、自動車の窓ガラスのように細かい破片になって描写されているのが楽しい。
現実の物理の法則が当てはまらない世界なので、飛躍などなんのそのとばかりに、大胆なデザインされたアクション場面を次から次へと投入して来ます。
Gears of War』シリーズのTVCF監督を務めたジョセフ・コシンスキーの起用は当たりでした。

  • Mad World

次回作が同じくディズニーの『ブラックホール』リメイクですか…
あれもオリジナル版も映像はともかく、そんなに面白い代物ではなかったですが、手直しに期待しましょう。


映画で1番の見せ場は、序盤に用意されているライトサイクルの場面。
オリジナルのスピード感のあった、しかし整然としたアクションに対して、鑑賞中に「凶暴」や「獰猛」といったフレーズが脳内に浮かんだ程に迫力満点でした。


まぁしかし、やはりシド・ミードは偉大でした。
オリジナル版ライト・サイクルも登場するのですが、元のデザインがしっかりしているので、今観ても古さを感じさせません。
ライト・サイクルは『ブレードランナー』のポリス・スピナーと共に映画史に残る、ミードの傑作デザインだと思います。


音響もIMAXならでは。
耳を聾するだけではなく、衣装と横隔膜までも振動させる超重低音のこれでもかの連発。
映画館全体で鳴っているような音響は、普通の劇場では体感出来ない迫力満点のもの。
映画は映像と音だとは、この映画を観ると良く分かります。


肝心の立体効果は殆ど感じられず、ディズニーのロゴや日本語字幕が一番効果があったりして(^^;
以前にも書いたように、予告編なぞはこれホントに3D映画なのかね?と言いたくなるくらいでしたから。
本編はどうなのだろうかと、時々メガネを外して確認してみたところ、背景のCGは左右の目の情報分として二重に投射されていたのですが、手前の人物は裸眼でも普通に見えていました。
元々3D用の情報が少ない映画のようです。
現実世界は2D、コンピュータ世界は3Dという描き分けをしているのですから、もっとケレンのある3D効果を狙っても良かったのではないでしょうか。


3Dメガネは比較的軽量なもの。
私の場合はメガネ・オン・メガネ状態になりますが、重さや装着感など、鑑賞時に気になりませんでした。



役者では老人となったケヴィンと、若々しく冷酷なクルーを演じ分けたジェフ・ブリッジスに目が行きます。
アランとトロンと、前作同様に2役のブルース・ボックスライトナーは、出ているだけで良い。
続編ではこういうのが大事なのですから。
サム役ギャレット・ヘドランドは、タフな青年役をタフに演じていましたが、まぁこんなものでしょうか。
それよりも、クルーの配下役ジェームズ・フレインや、エキセントリックな顔役マイケル・シーンといった英国勢が、出番は多くなくとも面白かった。
そして掘り出し物は戦士クオラ役オリヴィア・ワイルドでしょう。
クールな戦士役かと思いきや、陽性でポジティヴな役どころ。
表情がくるくると変わって表情豊かで可愛い。
タフな演技で殆ど通すギャレット・ヘッドランドと対照的で、観ていて面白かったです。
もっともっと活躍する場面があっても良かったくらいですね。
予告編などで目を引いたコンピュータ・プログラム美女役ボー・ギャレットは、本当に脇役で少々残念。


音楽はダフト・パンク
打ち込みビート系の曲よりも、意外にもオケの方が多かったくらいでしたが、メロディも含めて格好良い。
サントラを聴きたくなった人も多いに違いないです。
本人達もヘルメット姿の素顔(笑)で登場しています。
違和感無いのが笑ってしまいました。


トロン:レガシー』は物語が大した事が無い故、映像と音響を邪魔せずに楽しめる映画でしょう。
これはこれで、映画の1つのあり方なのです。


ところで今回の映画のポスター、ちゃんと前作を意識しているのが分かりますね。
比べてみて下さい。

一方、前作への敬意を払っている映画本編に対し、前作が無かった事にしているかのような宣伝を行っているディズニー日本支社には、失望を禁じ得ません。


サントラCD。

トロン:レガシー オリジナル・サウンドトラック

トロン:レガシー オリジナル・サウンドトラック

実はこの日本盤は高いだけでライナーノーツも無いとか。
輸入盤を購入した方が良さそうです。
Tron Legacy /

Tron Legacy /

Soundtrack: Deluxe Edition

Soundtrack: Deluxe Edition


映画を観た後にデザインに心奪われたら、こちら、てな感じなんでしょうか。

THE ART OF TRON:LEGACY ディズニー映画『トロン:レガシー』の世界 (ShoPro Books)

THE ART OF TRON:LEGACY ディズニー映画『トロン:レガシー』の世界 (ShoPro Books)


ライトサイクル!

全長42cmあるそうなので、結構大きいみたいですね。
サム・フリンはヘルメット付き。
ちょっと心揺れるが、いい加減に場所が…(^^;
それとお金も…(T-T)