days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

"Inception" on Blu-ray Disc


先日到着したインセプション』のBDを鑑賞しました。
7月の劇場公開時には鑑賞済みです
私自身の事前の期待は非常に高く、また鑑賞中・直後は興奮していたのですが、その熱気も2-3日で冷めてしまいました。
まぁ何となく理由は分かっていましたが、それでも好きな映画ですし、それを確かめるべく観直してみました。


ハリウッドの標準的な大作娯楽映画にしては、構成が複雑なのが『メメント』のクリストファー・ノーランらしいですよね。
いきなり冒頭から時制が普通ではないし。
それでも『メメント』並に「観客自身が頭を使って再構築しないと理解不能な映画」にはなっていなかったかな、と思います。
それでも今回の鑑賞では復習というのもあって、初見よりすんなり頭に入って来たのも事実です。


話も面白いし、ノーランの演出も緊張や迫力があるので、やはり良く出来た映画です。
が劇場鑑賞時に気になった箇所は、今回の鑑賞でも気になりました。
終幕の雪に囲まれた要塞病院のシークェンスになると若干緊張度が下がってしまいます。
ノーランが大好きな『女王陛下の007』の再現をしたかったのでしょうが、やはりアクションは得意ではなさそうですね。
この人、第2班監督を立てずに自分で全部監督したようですので、これはノーラン自身の力量と思って良いでしょう。
それと夢という不定形のものに対して、余りに理詰め過ぎるのが違和感を感じてしまいます。
それを言ったらこの映画のコンセプトはダメになってしまいますが、まぁこれはウソを承知で楽しむ類の映画ですからね。
ノーランの脳内を覗き見る映画と割り切れば良いのです。
となると、映画とは監督の脳内を覗き見るもの、とも言えそうです。
監督のヴィジョン、予算内で収める力量や役者の演技指導なども映画には現れてしまうのですから。
もっともノーランのように潤沢な予算で壮大な個人映画を作れる恵まれた環境にある人は、他にスティーヴン・スピルバーグピーター・ジャクソンくらいしか居ないでしょうけれども。


加えてやはり人物描写にはもっと深みが欲しかった。
悪くないけれどもやや浅い。
主人公ドムを救う事になるエレン・ペイジ演ずるアリアドネが結構肝だと思うのですが、彼女の性格や人物を掘り下げてもらいたい。
これだけでも全然違うと思います。
一方、回想や夢の場面でしか出てこないドムの妻役マリオン・コティヤールはとても良かった。
勢いのある女優は違います。

『NINE』も歌の上手さではなく、鬼気迫るものがありましたからね。
またジョセフ・ゴードン=レヴィット、やっぱり良かったですよ。
無重力環境での孤軍奮闘は、彼の細い身体と緊張感のある面持ちが果たした役割が大きいと思いました。

一方、好きな役者の1人ピート・ポスルスウェイトの痩せ振りに不安を抱きましたね。
これまた好きだったトム・ベレンジャーも何だか痛々しい…
プラトーン』や『山猫は眠らない』等良かったのに、近年は『トレーニング デイ』とか、これだものなぁ。


とまぁ、色々気になった点はあったとは言え、全体にはとても面白く鑑賞出来ました。


さて今回、昼間だったので音量をかなり上げましたが、画面の大きさに対しては適正かと…
ハイ、超・重低音の嵐で部屋が振動していました(^^;
特に凄かったのが、パリのカフェでドムとアリアドネが居るとボカンボカンと2人の周囲で爆発が発生する場面。
それと突然列車が出現する場面。
ガッツン!と物凄い低音と高音が一緒になって、出てくると分かっていたのに思わず椅子の上で飛び上がってしまいました。
鳴りっ放し状態のハンス・ジマーの音楽も、重低音を持続させていて効果的ですね。
私自身はこういった音楽の使い方は好きではなく、必要な場面のみ使うのが効果的だと思っているのですが、これはアリだと思いました。


画質は若干のバラ付きがありました。
屋外の場面は問題無いのですが、一部の屋内の場面だと急に解像度が下がります。
が、元の画もこんな感じだったような気もするので、特に問題と思いませんでした。
それにしても映画によってこういう事って良くありますよね。
撮影時のフィルムの選択や照明環境に左右されるのですが、監督や撮影監督はどう考えているのか興味があります。


インセプション』BDは爆音派ならば買って損無しのディスクでした。
特典もたくさんあるようなので、これも時間作って観たいものです。
積みディスクの山があるので、そちら優先だときついかな…。



この映画の解説サイトもありました。
中々面白いのでご興味ある方はどうぞ。


序盤ミッションの前日談Webコミックというのもあります。
こちらも面白いのでご興味ある方は是非。


このWebコミックによる前日談方式、他の映画でもプロモーションや内容理解促進に使えそうですよね。
印刷費用も掛からないし、低予算の邦画でも使えるのではないでしょうか。


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