The Walking Dead: 1st Season - days of cinema, music and food

先日ご紹介したAMC製作による連続ドラマ『ウォーキング・デッド』1stシーズン全6話を鑑賞し終わりました。
全体的な完成度の高さにびっくりです。

テレビドラマ初のゾンビものという意味でも注目でしたが、最後まで見せてくれました。
特徴としては重厚且つシリアスな人間ドラマが主体であり、ゾンビ（劇中で言うところの「ウォーカー」）は脇役に過ぎないという事です。

都市部は生肉を求めてさまようゾンビに占領されている状態。
人里離れた場所だとゾンビも少ないようですが、そこも安閑と過ごせる場所ではありません。
いつどこからゆったりとしたゾンビが襲い掛かってくるかは分からず、また噛まれたら死亡、その後ゾンビとして生き返って来るのですから、常に緊張感をはらんだ日々なのです。
そんな極限状況の中、世界的規模らしい災厄の中で、生き残った市井の人々が、生と死、希望と絶望との葛藤を繰り広げるといった内容になっています。

保安官リック役アンドリュー・リンカーンは好演で、一見すると細面で頼りなげ、この種のホラーでは最初に死にかねないルックスなのに、善良さや意志の強さ、道徳心の強さやリーダーシップなど、徐々に特徴が分かるようになっているのが面白い。
その他の人物達も少しずつ、回を進めるに従って描かれて行き、これが連続ドラマの良さだと思いました。
上映時間がごく限られる映画ではこうはいかなかったでしょう。

人間ドラマ重視でありながら、しっかりとホラーも忘れていません。
原作コミックによるところもあるのかも知れませんが、全体にドラマとショック場面の配置が巧みです。
忘れた頃にやって来るホラー描写の入れ方が抜群に上手い。
断トツに面白かったのは、このシリーズのクリエイターであるフランク・ダラボン脚本＆監督の第1話で、次に面白かったのは原作者ロバート・カークマン脚本による第4話。
他の話も面白く、全く飽きない内容にも関わらず、この2本は抜きん出ていましたね。
特に第1話は気合も入っていたのか傑作だと思います。
また前回の記事でも書いたように、結構ゴア場面は全体にキツめです。
油断しているとお肉むしゃむしゃ映像も登場するので、お気を付け下さい。

尚、原作第1話はWeb上で無料で読めます。

KIRKMANARAMA: Full Issue - THE WALKING DEAD #1 [Mature]：http://www.newsarama.com/php/multimedia/album.php?aid=31059

ドラマ版第1話の前半部分に該当しますね。
これを読むとドラマ版はかなり忠実に映像化しているのが分かります。
よってネタバレしたくない方はご注意下さいませ。
捻りの仕方や心理の丁寧な描き方などはドラマ版の方が優れていると思いました。
しかしこの1stシーズンで結末がある訳ではないので、その点では物足りないのは否めません。
これは最後まで見届けたいものです。

このシリーズ、好評且つ高視聴率につき、放送中に第2シーズンの製作も決定し、今年のゴールデン・グローブ賞テレビドラマ部門でも候補となっています。
こうなると第2シーズンもダラボンにより深く関わってもらいたいものですが、全12話とも13話とも言われる第2シーズンのタイトなスケジュールを考えるとそれは無理というもの。
原作はあるものの、質を落とさずに映像化してもらいたいものです。
ゲイル・アン・ハードの手腕にも期待しましょう。
これの為にスカパー！のFOX MOVIESを契約して良かったと思いました。
が、放送がHDでなくSDなのが大問題。
第1話は90分枠用に製作されたのに、日本では60分枠にカットされたということなので、完全版再放送もしくはBlu-ray Discが出てくれないかなぁ。