days of cinema, music and food

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First Blood (2CD)


昨日書いたように、一挙購入したサントラCD。
まずは『ランボー』2枚組を聴いてみました。
作曲はジェリー・ゴールドスミス、演奏はゴールドスミスが懇意にしていたナショナル・フィルハーモニック。
ここは演奏技術が非常に高いオケでしたね。
もう解散してしまいましたが、実態はロンドン交響楽団など名門オケの主席クラスが参加していた録音専門のオケだったとのことです。


サントラ1枚目は映画に使用された演奏の完全版+未使用曲、2枚目は1982年に映画公開時にリリースされたサントラLP(と恐らくはカセットテープ)用の演奏を収めています。
1枚目は全19曲45分14秒。
2枚目は全11曲37分00秒+予告編用曲などが特典として3曲あって全42分05秒。
どちらにもダン・ヒルの歌うテーマ曲『It's A Long Road』(ハル・シェイパー作詞)が収められています。


サントラ市場がかなり縮小されてしまった今となっては考えられませんが、当時はサントラ用に再演奏して発売していた、などというのは珍しくなかったのですよね。
映画用演奏はタイトなスケジュールの都合もあってか、大体にして演奏が粗いものが多かったように思われます。
また、曲も映画に合わせているので細切れが多く、ある程度長い時間曲を聴いていたい方からすると物足りなく感じてしまう場合もありました。
それがサントラ用に聴き易い演奏や曲にアレンジされて、お金を掛けて再録音して販売していた、という訳です。
ヴィデオが普及していない時代、映画を観てそのサントラを自宅で聴いて内容を反芻する、という楽しみ方がありました。
それがヴィデオ市場の拡大と共に楽しみ方としてはマニアックになり、今ではディズニーのようにi-Tunesのみのダウンロード販売、というのも珍しくなくなってしまったのですが。


映画は今やシルヴェスター・スタローンの代表作の1つでもあるのですが、ゴールドスミスの作品としては特に傑出しているものでもありません。
では質が低いかと言えばさにあらず。
アコースティック・ギターの奏でるイントロと、美しいトランペット・ソロが織り成す哀感漂うテーマ曲が流れる冒頭から、思わず引き込まれます。
そして緊張がいや増して爆発するアクション、ランボー大反撃の盛り上がり。
全体に無駄を省いた音が印象的で、それもまたこの作曲家らしい。
よく作品が職人技と言われていましたが、そう一言で片付けるのが勿体無いくらいに良く出来ているし、また聴かせてくれます。
この程度のレヴェルをゴールドスミスとしては普通にこなしてしまうのが、逆に言えば凄い。
もっとも楽して作曲していたのではなく、不器用に試行錯誤して捻り出していた努力型の天才でもあったようなのですが。


1枚目と2枚目、演奏の違いやアレンジの細かな違いはあるものの、ゴールドスミスの直球勝負が冴え渡ります。
それとテーマ曲をアレンジしたこの歌はやはり名曲ですね。

本CDの解説書最後には、この歌詞も収録されていました。


ゴールドスミスは本作の続編『ランボー/怒りの脱出』、『ランボー3/怒りのアフガン』と生前に製作されたシリーズ3作を担当し、死後に製作された『ランボー 最後の戦場』ではテーマ曲が使用されていました。
それだけゴールドスミスは、このシリーズの基調となるものを作り上げたとも言えます。


本CDは下記サイトから購入可能です。