days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

The Green Hornet


南町田の109シネマズはIMAXシアターにて『グリーン・ホーネット』3D版を観て来ました。
公開2日目の日曜朝10時35分からの回、361席の劇場は3割の入り。
やはり注目度は低いのでしょうか。


これは戦前のラジオドラマ→テレビシリーズの映画版ですね。
オリジナルのラジオドラマはさすがに聴いていませんし(生まれていないし)、テレビシリーズ版も内容を知っているくらいで未見です。
私のイメージでは『グリーン・ホーネット』はシリアスなのですが、本作品の脚本と主演がセス・ローゲンというので既に脳内が「??」だらけです。
実際、予告編を観た時もそう。
うーん、ローゲンはダメ息子の役っぽいけど、そんなんで映画は大丈夫なのか?


監督ミシェル・ゴンドリーは『エターナル・サンシャイン』という傑作があるけれども、『ヒューマン・ネイチュア』等の脱力系映画もあるし、その作風とアクション大作のイメージが合いません。
等と疑問に思いながらIMAXの大画面に向かい合いました。
IMAXならではのデジタルのクリアな映像と高音質。
これは病みつきになるかも知れません。
ちょっと家庭では無理ですからね。
我が家もデジタルプロジェクターになれば近付けるのか?
いえいえ、音で既に負けていマス。
3D効果はそこそこで、2D/3D変換を行った映画とあって効果は2.5Dと言ったところ。
それでも昨年末に観たトロン:レガシー』よりかは奥行き効果がありました。
予告編で観た『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』の方が断然飛び出していましたが。


さて映画ですが、意外にも「普通に」面白いものでした。
悪ふざけし過ぎでもなく、大新聞社の御曹司ブリット・リードがグリーン・ホーネットになるいささか強引な設定も、セス・ローゲンのアホ主人公のお陰もあって難なくクリア。
それに何といってもカトー役のジェイ・チョウが格好良い!
コーヒーを入れる達人でメカニックの天才、さらには武術の達人でもあるというカトーは、一家に一人欲しくなる事請け合い。
興味深いのは往年の設定である召使ではなく、リードの対等なパートナーである事。
ここら辺は現代版に合った設定となっており、これが相棒映画(バディ・ムーヴィー)にもなっているのです。
だからでしょう、有能な秘書として途中から登場するキャメロン・ディアスの陰が薄い事。
これはもう、リードとカトーが主演の映画なのです。


悪役は『イングロリアス・バスターズ』で狡猾な悪役を演じていたクリストフ・ヴァルツ
面白いのだけれども、この人、デヴィッド・クローネンバーグの新作で主人公フロイト役を降板してこっちを取ったというのが信じられない。
役柄からすると、フロイト役の方が良かったのでは??
いやぁ、実に勿体無い。
こちらの役も面白く味付けしているけれども、『イングロリアス〜』の面白さには遥かに及ばず、直に忘れ去られてしまう役の1つでしょう。
ちょっと役者としてその選択はどうなのよ、と思ってしまいました。
まぁアカデミー賞も受賞したから、今度はお金稼ぎをしたくなったのかも知れませんけれどもね。


キャストで言えば、新聞社編集長役のエドワード・ジェームズ・オルモスが『ギャラクティカ』のアダマに見えて仕方なかったです。
まぁ、アダマ役だから当然なのですが、それだけあちらは強烈な役ですからね。
それとエドワード・ファーロング君、超久し振り!
まさかあんな役だとは…
序盤に今年のアカデミー賞主演男優賞候補のスターがノークレジットで出演しているのもお楽しみです。


さて映画ですが、「普通に面白い」という事はそれ以上でもそれ以下でもない、という事。
クライマクスは大掛かりな乱射乱撃になって大作らしい面を見せるのですが、実はこの映画で面白い場面の幾つかは、ゴンドリーらしい凝った場面だったのですね。
序盤のヴィンテージカーがずらり並んだ車庫を、リードがナンパした女性と1台ずつ見て回る場面を超早回し1ショットで映し出す場面。
最初の戦闘場面における、カトー大活躍場面。
マトリックス』のブレット・タイムは元々俺が考えたTV-CFが元ネタだろうとばかり、背景映像も含めた凝ったものとなっていて、時間の引き延ばしも含めてカタルシス満点でした。
そして後半、ヴァルツが街のチンピラどもにグリーン・ホーネット暗殺指令を出してから、それが伝えられる様子を次々と画面分割で見せる場面。
これらは映像のスペクタクルになっていて、はっきり言ってクライマクスの大アクションよりも興奮させられました。
だから大アクションを普通に見せられても驚かないのですし、逆に物足りなく思ってしまいました。


1度観れば十分と思いつつも、大活躍する車、ブラック・ビューティー号が非常にカッコ良く、「欲しーなー、あれ」と思った事も付け加えておきましょう。