days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

ブラック・サンデー@午前十時の映画祭


拙ブログにて何度も取り上げているジョン・フランケンハイマー監督の1977年の大傑作映画『ブラック・サンデー』。
昨年から名作が各地TOHOシネマを1週間ずつ巡業する企画、「午前十時の映画祭」で、まさかの上映です。
そう、この映画は当時過激派からの劇場爆破テロ予告があったり、アラブの団体から抗議が来たりで、夏休みの目玉映画だったのに上映中止になったという曰く付き作品。
でも実際に観てみると、硬派娯楽サスペンス・アクション超大作なのですけれどもね。
ですから今まで、日本ではVHS、LD、DVDでの家庭劇場でしか観られなかったのです。
このブログでもこのように取り上げて来ました。

さらに映画レヴュー専門ブログでも、きっちりした形で書いています。


その他「ブラック・サンデー」で拙blogを検索すると、ごろごろ引っ掛かります。
この不遇な大傑作の素晴らしさを、隙あらば紹介してしまおう、という魂胆でありました。
それが今回、遂に劇場初上映となったのですから、これはもう私自身が観に行かなくてはなりません。
先行して上程された府中では、Twitterで読んでも皆さんに大好評のよう。
こういう曰くアリ映画なので、試写もやり、テレビでも紹介されたそうです。
注目度は高いようですね。
ららぽーと横浜のTOHOシネマ、205席の劇場は日曜朝10時の回は7割の入り。
年齢層はさすがに中高年層中心でしたが、私のような30代もちらほら。
男女比は8:2でしょうか。
これは致し方ないでしょう。


さてさて、何度も観ていて内容には今更ながら驚きは無いであろうと、劇場での鑑賞を楽しみにしつつも左程期待はしていなかった、というのが正直なところ。
しかし、です。
はい、『キック・アス劇場鑑賞時の感想と同じ様な事と言わねばなりません。


自宅で観たときよりも断然盛り上がる!


府中では上映終了後に拍手も起きていたという高揚感は、ダテじゃありません。
何この緊張感と迫力は!?
実際にスーパーボウルが開催されている広大なスタジアムにおける、特撮無しの移動撮影等、臨場感も半端ありません。
いやいや、実際にスーパーボウルが行われているライン際で、ロバート・ショーらが演技をする等、今だったら確実に合成使用です。
現代だったらとても撮影出来ないでしょう。
特撮がチャチだろうが、二段構え、三段構えのクライマクスなんて、本当に手に汗握っていました。
何度も何度も観ていて、次がどうなるのか分かっているのに、です。
これには我ながらびっくりしました。
高所恐怖症気味だからクライマクスにて手に汗握った可能性は否定出来ないものの、それも大画面ならではの迫力がもたらした結果です。
今回の上映はわざわざ本国アメリカのパラマウントに要請して起こされたニュープリントとは言え、正直言って特に高画質ではありません。
音だって擬似サラウンドしていたDVD-VIDEOと違ってモノーラル。
しかししかし、これが明らかに自宅ホームシアターの大画面&サラウンドとは比較にならない臨場感なのです。
こうも立て続けに劇場とホームシアターでの差異を実感すると、考えてしまいますね。
やはりホームシアターは映画館のミニチュアでしか過ぎないのだ、と。
そりゃ『2001年宇宙の旅』を自宅で観ても、劇場の大画面での「体験」とは違いますしね。
そんな訳で、この機会に是非『ブラック・サンデー』を劇場でご覧になってみて下さい。
こんな機会はもう滅多に無いでしょう。
本作以外にも名作・傑作がごろごろ上映されます。
是非、是非どうぞ。
そしてこんな素敵な企画を立ち上げ、実行した方々にも敬意を表したいですね。
映画は文化だと、本当に思います。

今年は「青の50本」となりますので、上映スケジュール等はそちらをどうぞ。



上記映画祭の公式パンフレットはこちらになります。

早速購入してみましたが、もちろん本作にもページが割かれています。
上映中止となった事情詳細もありますが、特に貴重なのが1977年当時のジョン・フランケンハイマーへのインタヴュー。
インタヴューアーは映画ジャーナリストだった原田眞人、後の映画監督ですね。
ラスト・サムライ』では役者として出ていましたが。
驚いた事に、映画版ラストも当初は原作に近かったもののようです。
それが試写で余り反応が良くなかったので、今の形になったのだとか。
以前ご紹介したジョン・ウィリアムズ作曲のサントラCDでも、エンドタイトルとして用意されていたのは、物憂げな曲でした。
確かにあの曲ならばぴったりだった事でしょう。