days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

"Alien" on Blu-ray Disc


昨年秋に購入済みの『エイリアン・アンソロジー:ブルーレイBOX』から、ようやく1本目の『エイリアン』を鑑賞しました。
久々のホームシアターは良いですねぇ。
でも何だか、あれれ。
低域がまた増えたような。
気のせいかな?
また別の聴きなれたソフトで確認しますかぁ。


トップメニュー画面から劇場版とディレクターズ・カットのどちらかを選択するようになっています。
ほぼ迷わず劇場版を選択。
こちらの方が終幕のテンポが良いですからね。
ディレクターズ・カットはこの映画が好きな観客向けのおまけだと思います。


本作を初めて観たのは小学校2年の夏休み。
1979年事です。
母方の実家、青森県田子町に弟と2人で遊びに行った時でした。
まだ高校卒業直後ぐらいだった叔母に連れられて、彼女の運転する車で八戸市に向かったのです。
そこで初めての映画ハシゴをしたのでした。
1本目はリチャード・ドナー監督の『スーパーマン』。
わくわくしましたねぇ。
昼食後、今度は『エイリアン』を観ました。
当時のコピーが「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」。
これは映画史に残る名コピーだと思うのですが、このコピーに加えて何かに追われているかのようなシガーニー・ウィーヴァーの手持ちグラグラ映像TVCFもあって、何だか恐ろしそうな予感がしていました。
観る前は少々ビビりましたが、実際に映画が始まると左程怖くありませんでした。
映画冒頭に登場するノストロモ号の巨体には、『スター・ウォーズ』冒頭のスターデストロイヤーに匹敵するくらい圧倒されましたね。
暗く汚い生活感満点の宇宙船内にはちょっとショックを受け、エイリアンのデザインも含めてヴィジュアルが強烈でした。
1つ年下の弟は午前中の疲れか殆ど寝てしまい、実質観ていたのは叔母と私。
残酷場面もあったからか、叔母は「あんまり良い映画じゃなかったね」。
パンフレットは怖い写真がいっぱいだったら弟に良くないからと、買いませんでした。
後年、住んでいた三軒茶屋の古本屋で買うのですが、それはまた別の話です。
それに弟も、後にはH.R.ギーガーの異型デザインには魅惑されるようになるのですが。


さて映画は冒頭のタイトルデザインから素晴らしいですね。

クレジットではR・グリーンバーグとなっていますが、実際はタイトル・デザインの巨匠故ソウル・バスだったと知ったのは何年前だか。
グリーンバーグのスタジオを借りてバスが製作した、という事なのでしょうか。
ジェリー・ゴールドスミスの音楽も不気味な無調音楽。
猿の惑星』等同様に、当時は怖くて嫌いな音楽でした(^^;
今は大好きですが。


宇宙船内が生活感で満たされているというのは、画期的だったのではないでしょうか。
スター・ウォーズ』も薄汚れていましたが、あれは架空の話。
こちらは未来とは言え人間の話なのですから、リアルさが違います。
タバコを加えて操縦しようとするジョン・ハートの描写などにも、リアルさにこだわった姿勢が伝わりますね。

それにしても喫煙者がいる船内は空気が悪そう。
劇中も禁煙を奨励する現代の映画だったら考えられませんね。
この場面に登場するモニター映像。

ブレードランナー』のポリス・スピナーのモニター上にも流用されています。


ギーガーの夢から生まれた難破船のデザインも強烈でした。

そしていわゆる「スペース・ジョッキー」も。

スコット本人の監督作品として本作の前日談が製作開始と報じられていましたが、先日企画が変更になり、宇宙人が登場する別のSF映画になったようです。
本来ならばスペース・ジョッキーも登場する予定だったとの事だったので、彼?彼女?がどのように動くのか楽しみにしていたのですが、まぁこれはこれで良しとしましょう。
今持っているイメージを壊されたくない気もしますしね。


中盤からは次々と恐怖・怪奇場面が登場するホラー映画の王道。



ラストまで淀みなく不気味な展開が続きますね。


今回見直して気付いたのは、要所要所にシンメトリーなゆったり前進移動撮影映像を挿入して、不気味さ・恐怖感を出そうとしていた事。
それと音響ですね、やはり。
前々から思っていたのですが、とにかく騒々しいというか、耳障りな音が多いのですよ。
惑星の暴風、鳴り響くサイレン、船内の機械動作音等々。
ゴールドスミスの音楽も、この「不快な音」に分類されます。
これらサウンドデザインが凄い。
さらにフラッシュ系の点滅映像もクライマクスで長々見せるなど、不快映像も併用。
聴覚と視覚を不快にさせる仕掛けが強烈に印象的です。


別の意味で不快で気になったのは、音楽のブツ切れ編集。
ゴールドスミスの音楽使用に関してゴタゴタがあったのでも有名な映画ですが、テレビの洋画劇場のようないきなりブツと曲が切れたり、いきなり既に音楽が始まっていたり。
どうも上手くない箇所が気になります。
まぁ今までも気になっていたのではありますが、折角の高画質映像なので余計に今更ながら気になったのでした。


そう、これは間違いなく今まで観た『エイリアン』の中でも高画質です。
ピントが合っていないミスも含めて見通し抜群。
加えて音も予想以上に良かった。
過剰気味な重低音も含め、こんな音が入っていたのかと発見がありました。
Blu-ray Disc万歳です。
旧作のHD化が全てこのように高画質・高音質になる訳ではありませんが、先日のムーラン・ルージュ』といい、これといい、20世紀フォックスは名作・人気作には力を入れているようですね。
これからも期待したいものです。

そして予想通りではあったものの、予想以上に早くバラ売りで出ますね。正直に言って1と2があれば十分なのでボックスにしなくても良かったのですが、でもまぁ特典ディスクがあるのはボックスのみのようなので、まぁ良しとしましょうか。
そんなの不要だという方は、単品ディスクでも十分でしょう。