days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Morning Glory


恋とニュースのつくり方』公開初日で出掛けました。
土曜21時50分からのレイトショウは30人弱の入り。
男女比は3:7くらいか。
当然ながら女性が多く、女性連れの姿も目立ちました。
逆に男性1人のみで来ていたのは私ともう1人のみ。
こちらも逆に目立っていたかも(^-^;


舞台は放送業界。
ローカル局をリストラされたTVプロデューサーのベッキーレイチェル・マクアダムス)は、視聴率最低の朝の情報番組プロデューサーに抜擢されます。
視聴率テコ入れにと、軽薄な男性司会者をクビにし、代わりに起用したのはかつてのベッキーの憧れのジャーナリストであり、ピューリッツァー受賞歴もあるマイク(ハリソン・フォード)。
しかしマイクは「テレビは報道だ」との意識が強く、朝の報道番組など低俗と決めつけてヤル気無し。
ただカネと契約上、やっているだけなのです。
ベッキーにはハンサムなプロデューサーのアダム(パトリック・ウィルソン)という恋人も出来て私生活は順調に再スタートを切ったかに見えましたが、マイクはヴェテラン女性キャスターのコルリーン(ダイアン・キートン)ともいきなり犬猿の仲になり、スタジオの雰囲気は最低で視聴率も低迷。
上司(ジェフ・ゴールドブラム)から「このままでは番組が打ち切りだ」と宣告され、さて追い込まれたベッキーは。


テレビ業界の裏側を描いたコメディ作品と言うと、ジェームズ・L・ブルックスの『ブロードキャスト・ニュース』がぱっと思い浮かびます。
あちらは男女の三角関係も描いた映画でしたが、本作はと言うと少々事情が違います。
ヒロインのべッキーはハンサムで誠実な恋人が出来ますが、実はこの恋愛パートの比重が軽い。
しかもクライマクスに彼氏は全く絡みませんし。
クライマクスがどんな状況かはここでバラしませんが、映画を読み解くヒントは書いておきましょう。
この映画、実はベッキーの相手役はマイクなのですね。
犬猿の仲の2人がいがみ合いながらも信頼関係を築き、ひと山越えてから仲良くなる。
こう言うとまるっきり恋愛コメディそのものではないですか。
劇中ではベッキーの年齢に相応しい恋愛対象の男性としてアダムが登場し、ベッキーのセックス相手にもなるのですが、これはそれこそ当て馬でしょう。
劇中の真の相手は初老のマイクなのです。


マクアダムスは『消されたヘッドライン』以来のマスメディアに身を置く役ですが、こちらも根性で頑張る役。
元々好きな女優だったのもありますが、仕事は強気なのに私生活は自信ゼロな役を、嫌味無く可愛らしく演じていて、コメディエンヌ振りも堂に入ったものだと思いました。
ダイアン・キートンは身体張って大熱演で笑わせてくれます。
騒々しい役なのですが、ふっと見せる孤独感がスパイスになっていてさすがヴェテラン。


そしてハリソン・フォードですよ。
近年で1番、インディ・ジョーンズよりも良かった。
頑固で堅物、プライドの塊で扱いにくく、身の回りに居たら大変な男を演じていて面白い。
派手な靴下やネクタイも茶目っ気のあるアクセントになっていて、衣装デザイナーのセンスも光りますね。
彼がいちいちダイアン・キートンとぶつかるのも可笑しく、フォードとキートンのコンビは化学反応ばっちり。
これは観る価値ありです。


ロジャー・ミッシェルの演出は手堅いものの、『ノッティングヒルの恋人』でもそうでしたが、もっとメリハリ欲しかった。
そうすれば佳作になれたものを…と惜しく思うのでした。
音楽は近年の007シリーズでお馴染みのデヴィッド・アーノルド
ロピアノを生かしたコミカルかつロマンティックな音楽を軽快に鳴らしていて、好印象を持ちました。