days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

"Aliens" on Blu-ray Disc


先日、BDP-LX91をアップデートしたので、これで安心して鑑賞出来ます。
『エイリアン』を鑑賞したのは先月だったのですね。
予想以上に間が開きました。
さて今夜は『エイリアン2』BDを鑑賞でござい。
今回は劇場公開版を久々に観ました。
特別版は良い場面もあるけれど特に前半が冗長なんですよね。


今更内容なぞ書く事は無いでしょうが、私見ではジェームズ・キャメロンの最高傑作ではないでしょうか。
個人的には『アビス』の方が好きなのですけれども。
アクション→逃走→アクション→逃走、とワンパターンな展開の『ターミネーター』は、余り評価していないのですよね。
面白いのは面白いのですが。
その『ターミネーター』、弟と一緒に父に連れてもらった渋谷スカラ座(跡地は今の渋東シネタワー)は満席でしたなぁ。
同様に『エイリアン2』劇場公開時、やはり渋谷スカラ座にて、弟・中学の同窓生M君と3人で観に行き、余りの興奮で弟とは続けてもう1回観てしまったくらいです。
入れ替え制の無い時代ならではですね。
その後、LDやらDVDやらを買って何度も鑑賞したのは前述の通り
おっと、VHSも買ったような気もしますが、さてどうだったか。
あぁでも、エンドクレジットで船内を「カサカサカサ…」とフェイスハガーが動き回る音がするという噂を聞き、VHS版で確認したような気がします。
ともあれ、何度もソフトを買っている本作ですが、画質に満足した事が無いのは恐らく他の方々も同様でしょう。
さて今回はどうでしょうか。
kajugumiさんも興奮リポートを書かれていますので、そちらも参考にされると良いと思います。



タイトルデザインは『1』のソウル・バスの方が好みです。
これは『ターミネーター』と同じく、アーネスト・ファリーノのデザイン。



この冒頭のショット、観る度に素晴らしいと思います。
何故って上から下を見下ろすキャメラワークにより、宇宙空間の怖さが伝わり、それが漂流するリプリーの境遇を的確に示しているからです。



リプリーシガーニー・ウィーヴァーは素晴らしい女優ですが、本作では特に大熱演でした。
ニュート役キャリー・ヘンも媚びない演技が良かったかと。
この2人の絆も『エイリアン3』を知っていると切ない…



迫力満点の大アクションが始まる中盤。
正直に言って、惑星到着後はこここまではややかったるい。
キャメロンはホラーが撮れないと思いましたね。
しかしアクションになると水を得た魚のようになります。
そしてやはりバスケスですか。
アバター』のミシェル・ロドリゲスを見ると、キャメロンは未だに彼女を引きずっているなぁと思いますね。


シガーニーとランス・ヘンリクセンが今と余り印象が変わらないのがかえって怖い一方、マイケル・ビーンビル・パクストンが若い若い。
パクストン、キャメロンの友人なのに、『ターミネーター』序盤でシュワに心臓掴みされるパンク役も含めて、キャメロン作品では殆ど情けない役なのが面白いです。
タイタニック』はまぁ、初めてマトモな役でしたが。


音楽はロジャー・コーマンの下で働いていたときからの盟友ジェームズ・ホーナー
初見では迫力満点な音楽に興奮したものですが、後にパクリまくりと知って興醒めしたものでした。
ジェリー・ゴールドスミスの前作、『2001年宇宙の旅』の既成クラシック、自作の『何かが道をやってくる』などから拝借したものが目立ちます。
しかしクライマクス、エレベータの場面でその前作のゴールドスミスの曲をそのまま流用されており、さすがのホーナーも心中穏やかではなかったのでないでしょうか。
随分後になって、ようやく『タイタニック』でキャメロンと久々に組んだのもその辺にあったのでは、という気がしていますがさて真相は如何に。
しかしその前作でもゴールドスミスはリドリー・スコットら音楽に無理解な監督に振り回されており、この『1』と『2』は人気作にも関わらず、音楽では少々不遇な映画でもありますね。


gumiさんも書かれていますが、色調・解像度・ノイズ感共に素晴らしい。
新作と言っても通るのではないでしょうか。
ミニチュアとモンスター主体の特撮も思っていたよりも時代遅れになっていません。
むしろ昨今のCGI主体の映画がアニメっぽく見えるのに対して好印象です。
元々チャチだったフロント・プロジェクション合成や、何故かヴィデオ合成に見えるドロップシップの空中飛行ショットが相変わらずな程度。
いやぁ、スタン・ウィンストン、スコタク兄弟、ジーン・ウォーレン・Jrらは良い仕事をしました。
音はさすがに若干時代を感じますが、重低音もたっぷり入っていてちょっと驚かされます。
サラウンドも盛大に鳴って楽しい。
20世紀フォックスは『ムーラン・ルージュ同様に、名作の高品質BD化を成し遂げてくれました
ここは拍手を送りたいですね。


但し気になるのは、高画質振り。
というのも、当時最新だった高感度フィルムを使用して撮影しており、その結果フィルムグレイン(フィルムの粒状性)が強い映像が元々だったのです。
キャメロンはその結果に不満だったようで、当然ながらLDやDVDも非常にグレインが目立つものでした。
それが今回、キャメロンの指示でグレインが除去されたとの事で、結果的に高画質になったものの、映画の雰囲気もかなり変わったと思いました。
私自身も意外でしたが、私にとってはあのノイジーな映像もこの映画の一部だったのですね。
映画監督が自己の作品を、元々意に沿わなかったからと言って改変した場合、結果的に元のものから変わってしまう場合があります。
例えばファンには根強く不人気な『スター・ウォーズ』旧3部作の特別編なぞ最たるものでしょう。
聞けばウィリアム・フリードキンの『フレンチ・コネクション』BD版もかなり映像がいじられているそうですので、大好きな映画でも購入を躊躇しているのもその為です。
私的には今回はギリギリOKかなと思いつつ、高画質を歓迎しながらも少々複雑な思いも抱いたのでした。