days of cinema, music and food

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Opening Title Sequences of 007 (Part 1)


以前にもご紹介したように、私は007シリーズの主題歌集サントラCDを2枚持っています。
それ位に、このシリーズの主題歌は優れている歌曲が多いのですが、忘れてはいけないのが主題歌曲と共に冒頭を飾るタイトル・デザインの数々です。
ここは自分の備忘録も兼ねて、全作のタイトル・デザインを複数回に分けてご紹介しましょう。
今回はショーン・コネリー時代のものを主として取り上げます。


記念すべきシリーズ第1作にして、ショーン・コネリージェームズ・ボンドも強烈でした。
ウルスラ・アンドレス演ずるボンド・ガール、ハニー・ライダーの登場場面も忘れ難い映像ですよね。
彼女が劇中で何をしていたのかは、さっぱり覚えていませんが(^^;
主題歌は無く、モンティ・ノーマンが基本を作曲し、ジョン・バリーが仕上げた有名なテーマ曲。
タイトル・デザインはモーリス・ビンダー
ビンダー自身の『シャレード』を思わせる作風ですね。
シリーズの基調となる女体シルエットは殆ど登場しません。


昨年5月に映画本編はBlu-ray Discで久々に再見し、タイトルについても触れた記事を書いています。
ジョン・バリーによる流麗な主題曲もカッコ良いですし、ビンダーに代わって登板したグラフィック・デザイナー、ロバート・ブラウンジョンによるデザインも良いですね。
女体とタイトルを打ち出した最初の作品でもあります。
マット・モンローによる主題歌はエンディングに流れる程度ですが、美しいメロディは不滅ですね。
ダニエラ・ビアンキ、やはり美しいよなぁ。


全作の大ヒットを受け、大作路線に舵を切りつつある作品です。
シャーリー・バッシーのパンチの効いた歌は今聴いてもインパクトがありますね。
タイトル・デザインは前作同様にロバート・ブラウンジョン。
歌とデザインで相まって、シリーズを代表するタイトル・シークェンスになっていると思います。
女体大フィーチャーとなっていて、シリーズのタイトル・デザインの基調となったのは確かでしょう。
ブラウンジョンは生涯に4本しかタイトル・デザインを手掛けておらず、1970年に45歳の若さで心臓麻痺で亡くなっています。


大作路線として画面もスコープになった第4作。
タイトル・デザインは第1作以来のモーリス・ビンダー
以後、『007/消されたライセンス』までは彼が担当となります。
女体シルエットを大々的に使った初の作品ですね。
以後、ビンダーの死去の現在に至るまで受け継がれるモチーフになります。
主題歌はトム・ジョーンズ
当初はシャーリー・バッシーが歌う『Mr. Kiss-Kiss Bang-Bang』が録音済みでしたが、プロデューサーの意向で急遽この歌に差し替えになりました。
余りの突貫作業だった為にジョーンズが歌う想定もされず、彼の声よりもキーが高くなっており、曲最後のハイノート部分を大熱唱後、頭に血が上ってスタジオにぶっ倒れたというエピソードもあります。


1年に1本ペースで製作されていたシリーズですが、宇宙も絡む超大作となったからか、前作から初の2年後の作品です。
歌はフランク・シナトラの娘ナンシー・シナトラ
日本が舞台とあって雅(みやび)なデザインになっています。
ボンドのイメージ固定化を嫌って、ショーン・コネリーは本作で一旦降板となりました。


コネリー降板を受けて新たに2代目ボンドとなったのが、オーストラリアのモデル出身のジョージ・レイゼンビー
主題歌は無く、ジョン・バリー・オーケストラによる主題曲の演奏となっています。
タイトル・デザインはシリーズ中でも異色。
過去作品のボンド・ガールや場面の数々が登場するものとなっています。
内容も荒唐無稽な大作化に対する反省もあって、原作に忠実な現実的なアクション路線…と言っても私は本作の原作本は未読なのですが。
アンハッピーエンディングも含めてスタッフの意欲が感じられる作品なのですが、早過ぎた映画だったのでしょうね。
興行的には悪くなかったものの、当時の観客が求めるものとは違ったようです。
レイゼンビーも監督ピーター・ハントも本作で降板してしまいます。
ハントなんてそれまで編集者として功績があったのに…
でも本作のファンは今では多く、クリストファー・ノーランもその1人。
インセプション』の雪山クライマクスで本作にオマージュを捧げています。


女王陛下の007』の批評的失敗で懲りた製作陣による、過去の大作路線化復活作です。
1作限定で復帰したショーン・コネリーのボンドが復活し、監督も『ゴールドフィンガー』のガイ・ハミルトンを、主題歌も『ゴールドフィンガー』のシャーリー・バッシーを起用しています。
内容も派手で荒唐無稽、ユーモラスな場面も意図的に増やしたものでした。
子供心にはテレビで観て楽しかったけれども、今観るとどうかなぁ…。
バッシーのパワフルで大作に相応しい歌声は健在です。
ビンダーのデザインも題名通りダイヤモンドをモチーフとして多用しています。
これにてコネリーは本当に降板。
後年、別製作会社による『ネバーセイ・ネバーアゲイン』ですっかり切れを失ったボンドとして復活するのは、また別の話です。


今回ご紹介したタイトル・シークェンスは、まだ技術の無い時代に作られたもの。
それでもセンスとアイディアで独自の世界を作り上げた2人のデザイナーの偉大さは、CG全盛の現代でも陰る事はありません。