days of cinema, music and food

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Pirates of the Caribbean: On Stranger Tides (5/25追記あり)


パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』を観て来ました。
IMAX 3Dの字幕版です。
公開2日目の土曜18時40分からの回、南町田の361席の劇場は7割の入り。
巷では日米共に大ヒットスタートと報じられていますが、ここではまぁまぁの入り程度。
穴場なのかも知れませんね。
特に思い入れも無く、逆に好きでもないし面白くも無いと思うシリーズですので、本来ならば近くのシネコンで3D上映を観に行けば良かったと思います。
しかしTwitter上では先週から試写会のリポートが次々流れており、「画面が暗くて途中でメガネを外した」というコメントが複数ありました。
通常の3D上映での画面の暗さを危惧してのIMAX鑑賞だったのです。
まぁIMAXは楽しいですからね。
北米でのレヴューでも同様の指摘があったことから、IMAX鑑賞で正解だった可能性は高いです。


さて映画本編はと言うと、まぁこのシリーズですから大体予想は付く程度の出来でした。
前作から早くも4年ですか。
完結したかと思いきや、まだ商売になるからと作っています。
駄作だったその第3作に比べれば、どんなに凡作でもましと言うもの。
何しろ監督が、前作までの凡人ゴア・ヴァービンスキーから、傑作『シカゴ』の才人ロブ・マーシャルへとバトンタッチですから。
マーシャルが抜擢されたのは、振付師なら躍動感あるアクションを撮れるだろうという期待だったのかも知れません。
この点に関して言えば結果は凶。
最初のアクションからしてハラハラ。
映画の内容に対してではなく、恐ろしく生気が欠けたアクションに対してです。
こんな危なっかしくて大丈夫なのだろうか…と思いました。
相変わらず感情移入出来ない登場人物達の思惑がごたごた描かれていますが、だらだらと騙し騙されが延々続く2・3作目よりかは遥かにマシ。
プロットがまだ簡潔になった分、左程退屈はせずに見られました。
しかしマーシャルは、脚本の出来不出来にモロに左右される監督のようですね。
マーシャルの前作『NINE』は歌と踊りの場面のみ良く、ドラマ部分は欠伸が出る代物でしたし、『さゆり』も凡作でした。
その2作に比べ、『シカゴ』はビル・コンドンの脚本が冴えていましたからね。
脚本以上の映画に出来ない監督という点で、ヤン・デ・ボンマーティン・キャンベルと共通しているのかも知れません。


まぁしかし、海賊映画なのに海賊船同士の戦いが無くて不満なのは、前作同様。
どうしてこのシリーズは観客を楽しませようとするサーヴィス精神が頓珍漢なんでしょうか。
ジャック・スパロウのおふざけよりも、海賊の血沸き肉踊る冒険譚が見たいのです、少なくとも私は。
ジェリー・ブラッカイマーの映画って、こんな風に画面は派手でも内容が貧しいものが多いです。
予告編以上の映画が無いという点で、分かりやすいプロデューサーですよね。


ジョニー・デップジャック・スパロウはもう良いかな。
デップは好きなスターですが、私見では第1作で十分でした。
ご贔屓のジェフリー・ラッシュは楽しそう。
やはりご贔屓のペネロペ・クルスは勿体無い扱い。
スパロウとのやり取りもギスギスしているだけで洒落っ気も熱気も無く、関係も大して描けていません。
黒ひげ役イアン・マクシェーンも勿体無い。
キャストにも見るべきものは余りありませんでした。


エンド・クレジット後にオチがあるのもシリーズ共通。
でもこれって、よく考えるとエンド・クレジットを観る事を観客に強要していますよね。
普段から私は最後まで観ますが、スタッフの名前をチェックするのが楽しいから見ているのあって、そうでない観客には退屈そのものでしょう。
私でさえ、最近の映画によくある10分は当たり前の長い長いクレジットにはうんざりしていますから。
このシリーズ、その10分なり15分なりを我慢して、ようやく本編のその後の、しかも結構大事な場面が付け足されていて、ちょっとちょっと、それはおかしいでないの。
第2・3作もそうでしたが、あれらのオチって本編のラストに持ってくるべきものの筈。
それをエンド・クレジット後に持って来る意味が分かりません。
そんなのは作り手の自己満足です。
まぁ既に、内容からして自己満足っぽいものだとは思いますが。
それでもいきなり子供が縛り首になって救いが無い映画の冒頭にうんざりした前作より、遥かにマシ。
大して面白くもなく、お勧め出来ませんが、ま、話題作だから観ておこうという方は、あえて止めません。
その程度の出来です。


そうそう肝心の3D効果。
これが大した使われ方をしている訳ではありませんでした。
通常の上映がどこも画面が暗いというのであれば、3Dにするのはデメリットのみという画面構成。
IMAXでは後半の夜や闇の場面もばっちり見えましたが、確かにあれではRealD方式とかだと厳しいかも知れません。
少なくとも立体効果分の料金上乗せには納得出来るものではありませんでした。


※5/25追記


劇場には、ジェフリー・ラッシュイアン・マクシェーンジェリー・ブラッカイマーらのサイン入りポスターも飾ってありました。


ところでエンドクレジットを見ていて驚いたのが、本作には原作があった事。
ティム・パワーズって読んだ事無いけど、昔の小説のようですね。

生命の泉 (ハヤカワ文庫FT)

生命の泉 (ハヤカワ文庫FT)

原題は『On Stranger Tides』。
本作の副題と同じです。