days of cinema, music and food

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Duran Duran "Notorious (2CD & DVD SPECIAL EDITION)"


facebook上でつらつらと80年代洋楽のヴィデオ・クリップへのリンクを張り、そこにコメントを書き足していたら、ついつい聴き直したくなりました。
デュラン・デュランの1986年のアルバム、『ノトーリアス』です。
以前ご紹介した007主題歌集『ベスト・オブ・ボンド』にも、彼らの『美しき獲物たち』が収録されていましたからね。
あれ、結構音も良いのですよ。
ならばデュランのアルバムも音が良い可能性がある。
ホームシアターにて音質良好な80年代ロック/ポップスを大音量で聴くのも良いだろう、と思ったのです。


このアルバムは私が洋楽を買うきっかけになったものなのですね。
テレビ朝日で毎週放映されていた小林克也の『ベストヒットUSA』。
これが土曜夜の楽しみでした。
そこでバーンと出て来たのが、このアルバムからの1stシングル、『ノトーリアス』だったのですね。
これが映像も曲もカッコ良い事、カッコ良い事。
曲自体もヒットしました。

  • Notorious


早速LPのアルバムを買いましたが、ちょっと戸惑いました。
だって全体に渋いのだもの。
曲自体は良いし、アレンジもカッコ良いのですが、「大人な」アルバムだったのですね。
しかし彼らのルックスもカッコ良かったので、ミーハー的に過去のアルバムを借りたり、買ったりしました。
でも聴くと、単なるアイドル・バンドじゃないのですよ。
曲作りもプロデュースも自分たちでやっているし、大掛かりなヴィデオ路線などのプロモーションも戦略的。
結構プロフェッショナルなのです。
だから未だに現役なのでしょうね。


因みにタイトルはアルフレッド・ヒッチコックの名作『汚名』から。
アルバムには『Vertigo』という曲もあり、これも勿論ヒッチの『めまい』から取られています。
メンバーが映画好き、特にヴォーカルと作詞のサイモン・ル・ボンと、バンド・リーダーでキーボードのニック・ローズが映画マニアとあって、こうなったようです。
大体にしてバンド名からして、ロジェ・バディムの名作『バーバレラ』に登場する悪役から頂いたものなのですから。


タイトル曲も大好きですが、こちらも大好きです。

  • Skin Trade


中間部のトランペット・ソロはアルバム版の方が長くて好きですね。


3rdシングルはまさかのこれ。


アルバムではそんなに印象に残らない、軽いノリの曲だったので意外でした。
もっと印象的な曲が他にあるのにね…
しかもシングル盤はパーカッションをかなり追加したラテン調アレンジで、随分と雰囲気が違っていました。
リフレックス』もアルバムとシングルとでは全く違いますから、彼らにしては当然のやり方、もしくはヒット狙いのやり方なのでしょう。
しかしヒットチャートでは振るいませんでした。
ちょっと印象に薄い曲でしたからね。
良い曲だとは思いますが。


さて当時、LPは国内盤を買いました。
当時は輸入盤なぞありませんでしたから。
しかし歌詞の英文は掲載されていたものの、対訳が無くて困りました。
というのも、サイモンが書く歌詞は非常に難解で抽象的なものが多いのですよね。
『ノトーリアス』は強欲な資本家について歌ったもの、『スキン・トレイド』は売春を歌ったものと解釈しましたが、さて後者はまず当たりのようです。


さて私のDuran Duran熱が高じ、テレビ神奈川の長時間VC番組でのデュラン・デュラン特集も当然ながらVHSに録画。
ゴドレイ&クリームのエロティックな『グラビアの美少女』(これは放送禁止でも有名ですね)には余り魅力を感じなかったのですが、同じくG&Cが監督した『美しき獲物たち』や、後に映画界に進出して『ハイランダー/悪魔の戦士』や『バイオハザードIII』を監督するラッセル・マルケイが手掛けた大作『ワイルド・ボーイズ』等、優れた作品も多かった。
もちろん、大ヒット曲『リフレックス』も良かったですよ。
後からサントリーQのTV-CFに使われていたのを思い出したりしたのです。

で、それらのヒット曲に比べて、『ノトーリアス』は渋いのです。
結局アルバムを通して聴いたのは数度でしょうか。
CDの買い直しもせずそれっきりだったのですが、先の事情で思い出し、久々に聴きたくなったのです。


で、熱帯雨林さんで見つけたのがこれ。
昨年のデジタル・リマスターとあります。
こりゃ高音質化が期待出来ます。
到着して開梱すると、トップ画像のようにボックスもの。
おぉ、懐かしい。
LPと全く同じデザインですね。
ほら、裏面まで同じですから。

これ、実際には表と繋がっているのですよね。
ボックスの中身はこんな感じ。

左上からブックレット、CD 1枚目のアルバム、CD 2枚目のリミックス集、ライヴやPV収録のDVD-VIDEO、当時のカード、ミニポスター等。
いやはや、完全に当時のアイドル路線をそのままにした、嬉し恥ずかしの特典です(^-^;


で、期待のCD1枚目をプレイヤーにかけます。
若干の不安を抱きながら。
というのも、熱帯雨林さんのレヴューに「貧弱なサウンド…。音が聴こえてこないといっても過言ではない。」というコメントがあったからなのですね。
果たして。
カッコ良いイントロが始まりましたが…むむむむむ???
全体に録音レヴェルが高いのは良いとして、高域がやたらシャカシャカ目立ち、音がスピーカにへばりついたまま。
まるで立体感がありません。
最初は除電し忘れたかと思いましたよ、あたしゃ。
いやはや、これは元々音が悪いのではないでしょうか。
ちょっと…ねぇ。


しかしアルバムは良かった。
ギタリストとしても参加したナイル・ロジャース起用や大胆なホーンセクションの採用にもある通り、ブラック・ミュージックを自分たちなりに取り込み、消化しています。
一般受けしそうな、ヒットチャートを狙えそうな曲は最初の3曲程度ですが、全体の統一感と良い、曲の完成度と良い、中々良いではないですか。
意欲は伝わります。
もう少しキャッチーさも欲しい気もして、つまりはいささかストイックな点がとっつきにくい感もあり、それが欠点と言えば欠点なのでしょう。
ちょっと渋いブリティッシュ・ポップとして、個人的には記憶に留めたいアルバムです。

NOTORIOUS (2CD & DVD SPECIAL EDITION)

NOTORIOUS (2CD & DVD SPECIAL EDITION)