"The Social Network" on Blu-ray Disc
デヴィッド・フィンチャーの『ソーシャル・ネットワーク』BDを鑑賞しました。
フィンチャーは好きな監督なので、劇場公開時はもちろん観ています。
このBD、アマゾン限定なのですがパッケージが格好良いですね。
エンボス加工がされていたりで、凝ったものとなっています。
北米版と同じジャケット写真が使われていますが、実際の映画はこんな明るい青春物ではありません。
これってミスリーディングなのではないでしょうか。
明るい青春風写真はケースではなく紙。
これをめくるとエンボス加工された黒い紙ケースが出現します。
ケースの中からはデジパック。
ジェシー・アイゼンバーグをあしらった公開当時のポスターと同じ絵柄ですね。
デジパック裏面です。
デジパックを開くと、真っ黒でカッコ良いディスク2枚入り。
特典ディスクも見なくては。
ミスリーディングと言えば、やはりジャケットや公開当時の宣伝等にあったように、「友達作りの為に友達サイトを作ったら、誰も居なくなりました」は違うのでは、と今回はっきり思いました。
そういった予備情報無しに映画を見れば、主人公マーク・ザッカーバーグは特に友人を欲しているように見えません。
むしろこれは、天才的頭脳と野心を持った主人公が、自己の目標実現の為に、友人を含めた周囲の人間を遠ざけてしまう物語。
つまりは現代のコンピュータ業界を舞台にした、昔ながらのオーソドックスな立身出世物語なのです。
『ゴッドファーザーPART II』の現代版、と言っても良いかも。
しかし劇場公開時、面白く見つつも何か違和感があった私は、宣伝文句に若干引きずられていたようです。
今回、その点がクリアになったのは収穫でした。
このミスリーディング、『ハート・ロッカー』と同じですね。
宣伝文句は必ずしも映画の内容を理解している人が書いているとは限らない、もしくは売る為にわざと映画とは違いものが書かれる場合がある、と思っておいた方が良いです。
『サンゲリア』や『サランドラ』、『ファンタズム』等、昔から映画の宣伝って胡散臭いものが多かったのに、こういうマジメ映画だとうっかり騙されてしまうというのはありそうです。
いえ、私の事ですけれどもね。
この様なメイン・プロットの描き方は、さすがアーロン・ソーキンと思わせる脚本なのですが、ソーキンってSNSも含めたコンピュータ・ネットワークを用いた人間関係をまるで理解していないようですね。
この個所が映画の弱点にもなっているように思えました。
別にネット上で知り合った友人だって、ぺらぺらでも無い場合だってあるんですから。
ソーキンはfacebookも脚本執筆時はアカウントを取得したものの、製作終了後は削除したと言いますから、facebookに関する思い入れが無いのは明白。
映画を観てもいない人達の「これはfacebookの宣伝映画じゃないか」という声もありましたが、実際に映画を観れば一目瞭然です。
無論、そんな事はどうでも良く、私も映画を観た後は別にfacebookを始めようとは思いませんでした。
でもajisaiさんのお誘いもあって始めてみたら、これはこれで結構面白い。
離れた所にいる友人・知り合いが何をやっているかとか、何に興味があるとか、子供の写真や動画を見られるのは面白い。
facebook疲れの人も出ているとかですので、Twitterもそうですけど、こういうソーシャル・メディアはゆる〜く楽しむのが良いのでは、と思っています。
で、facebook開始後の本作を再見すると、具体的に何について仕様検討しているのか台詞の意味が分かるので、面白さも少々付加されました。
これは思ってもみなかったのでちょっと楽しかったです。
メインタイトル。
実際のfacebookを模したものになっていますね。
ハーヴァードの寮室で新しいサイト立ち上げにのめり込む青年たち。
『ジュラシック・パーク』の子役だったジョセフ・マッゼロがすっかり大人になって…(左から2番目)。
観ていて思ったのが、スピード感のある展開はアメリカならではだ、という事です。
日本のヴェンチャー企業だったら、ああは短期間で巨大な会社に急成長はしなかったでしょう。
才能豊かだけれども無名の若者達に巨額投資する企業が出現する辺り、日本では考えられない話です。
こういった経済社会の側面も見せてくれるのも、この映画の面白さの1つだと思います。
映像は『ソディアック』以降のフィンチャーらしく、柔らかなライティングを使ったハイビジョン映像。
ジェフ・クローネンウェスの撮影は素晴らしい。
『ブレードランナー』で映画史に名を残した父ジョーダン・クローネンウェスと並ぶ、名撮影監督になりそう。
結構な高画質なのですが、何故か劇場では気付かなかったインヴィジブルVFXに多数気付いてしまいました。
ハーヴァード大学の場面など、かなり背景合成が使われているようですね。
facebookもハーヴァードも撮影協力をしなかった映画なので、当然と言えば当然です。
もちろん、アーミー・ハマーが1人2役を演じたウィンクルボス兄弟も合成です。
ハマーはクリント・イーストウッド監督、レオナルド・ディカプリオ主演の『J.Edgar』にも出演している注目株。
こちらも楽しみですね。
劇中でも描かれていたウィンクルボス兄弟からのザッカーバーグへの訴訟は、つい先日ようやく決着を見たようです。
出ると場をさらう、ナップスター設立者ショーン・パーカー役ジャスティン・ティンバーレイク。
彼もとても良かったです。
『セブン』以降のフィンチャー作品常連のサウンド・デザイナー、レン・クライスによるサウンドの緻密さは、ホームシアターでより分かります。
非常に繊細な環境音として登場人物の心理を描いている箇所も多く、地味ながら聴き応えがありました。
かと言って音量を上げると、いきなり重低音満点の音楽が大音量で流れたりしますので、ご注意を。
私も深夜の視聴だったので、ちょっとビビりました f^_^;
特典はまだまるで観ていません。
これは本編ディスク収録のフィンチャー、ソーキンそれぞれの音声解説も楽しみです。
時間をいつ作ろうかな…としばし悩みましょうか。
さて以前もご紹介したフィンチャーの新作『ドラゴン・タトゥーの女』。
あちらのカッコ良い予告編もあって、本作でザッカーバーグを振るエリカ役ルーニー・マーラがあちらのリスベット・サランデルに見えて仕方無かったです。
というか、どんなリスベットを演じてくれるのか、彼女が登場する度に思ってしまいました。
今度は撮影スタイルも変えて、久々に影の色が濃い映像を作り上げてくれるでしょう。
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