days of cinema, music and food

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Cars 2


ピクサーの新作CG長編アニメ映画『カーズ2』を、日本語吹替え3D版上映で鑑賞しました。
公開3週目となったお盆休み突入の平日月曜11時25分からの回、280席の劇場は4割の入り。
子連れが目立つ賑やかな回でした。


天才的レーサー、ライトニング・マックィーン(声:オーウェン・ウィルソン)は、ひょんな事からワールド・グランプリに出場する事になります。
大親友のおんぼろレッカー車メーター(声:ラリー・ザ・ケイブル・ガイ)は、初めての世界ツアーに同行とあって大はしゃぎ。
しかし田舎町の出で都会の流儀に慣れないメーターは、マックィーンに恥をかかせ、レースでも足を引っ張ってしまいます。
親友に迷惑をかけたとショゲたメーターは故郷に帰ろうとしますが、彼はスパイ戦に巻き込まれてしまったのです。


前評判も含めて、北米での批評がピクサー始まって以来の最悪なものだっただけに、いささか心配に思っての鑑賞でした。
しかし実際に観てみたらかなり面白かったですよ、これは。
今までのピクサー作品にあった、成長のドラマとか、感動とかは殆どありませんが、詰め込めるだけ詰め込まれているギャグやスリルとアクションのつるべ打ちに、アニメならではの飛躍や省略が小気味良かったです。
すっかり活劇魂を抜かれてしまった近年の宮崎駿作品に不満だった私は、マンガならではの活劇復活に単純に喜んでしまいました。
確かにプロットは散漫。
かましい場面も多い。
主人公の成長や友情がもたらす感動は希薄。
それでもこの楽しさは無類です。
まさかスパイアクションとして楽しめる映画がピクサーから生まれるとは。
意外にも主人公はライトニング・マックィーンではなく、オンボロレッカー車のメーターなのです!
思い切ってドラマ性を排し、ひたすら活劇に徹した作風は、確かに今までのピクサー作品を期待している向きには「なんじゃこりゃ?」と思う向きもあるでしょう。
しかし私はこの作品が大好きになりました。
むしろ、前作『カーズ』よりもこちらの方が気に入ったくらいです。
高尚ではないかも知れないけれども、観ている間は単純に楽しいという点では、ピクサー作品の中でも上位に来ると思いました。
ジョン・ラセッターの活劇好き、サーヴィス好きな面が良い方向に発揮されたと思います。


それにしてもピクサー/ディズニー・アニメは、すっかり吹き替え版上映ばかりですね。
本作も英語版を観たければ、六本木まで出掛けなくてはいけないくらい。
前作はオリジナル音声で楽しめたというのに。
本作の場合、英国の凄腕エージェントにマイケル・ケイン、その助手となる新人にエミリー・モーティマーという英国勢が初参加、さらにライトニングのライヴァルで嫌味なイタリアF1カーにジョン・タトゥーロという布陣です。
これはオリジナル音声で聞きたかったですねぇ。


3D効果はピクサーらしく立体効果を強調してはいないもの。
観易く、適度に立体、適度に奥行き感がありました。


併映の短編は『ハワイアン・バケーション』(6分)。
こちらも日本語吹替え版3D上映でした。
トイ・ストーリー3』のその後を描いた作品で、大爆笑連発の傑作です。
宇宙人が人間相手のアブダクションを練習しているという、大爆笑短編『リフテッド』と同じく、ゲイリー・ライドストロム監督2本目は、ギャグまたギャグで大笑い。
でも温かいのがピクサーらしい。
ライドストロムは名匠ベン・バートの弟子の名サウンド・デザイナーです。
サウンド・デザインしながらも、切れ良い短編アニメ監督の道も歩むのかな?
要注目ですね。