days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Piranha 3D


アレクサンドル・アジャ監督の(一部での)話題作『ピラニア 3D』を観て来ました。
平日水曜のレイトショウ、観客は20人程度の入り。
TOHOシネマで観たのですが、いつの間にやらここも、ワーナーマイカル同様に3D上映がReal D方式になっていたのですね。
メガネのメンテナンス費用の問題なのでしょうか。
Real Dだと使い捨て、もしくはメガネ代を100円増しにすれば良いだけですし。
劇場側で回収するメガネは、指紋等のレンズふき取りが大変だ、と聞いた事があります。
それでTOHOもReal Dにしたのかも。


さて映画の内容は単純明快。
ヴィクトリア湖にて発生した地震により湖底に亀裂が入り、太古の人食い魚ピラニアが大量に出現します。
折しも湖ではウェットTシャツ・コンテストが開催され、湖は裸と惨劇に彩られるのでした。


内容は言わずと知れた、スピルバーグの傑作『JAWSジョーズ』のパクリであるジョー・ダンテの『ピラニア』の3Dリメイク版。
遠慮しない男、アレクサンドル・アジャによる本作は、欧州人の目から観たアメリカ人馬鹿騒ぎを血まみれ・お下劣に描いた怪作なのです。
これだけ無内容すっからかんで、しかも一部の人間にとっては面白い映画も珍しい(次点『ドライブ・アングリー3D』)。
短い上映時間に詰め込めるだけ詰め込んだエロ・グロ・下ネタの数々。
殆どの場面が裸か血しぶきかグロという、しょーもないの一言で片付けられる映画ですが、この底抜けの楽しさは何だ。
カラッと残酷だからかいな。
好事家には是非、と力強くお勧め出来ます(笑)。


保安官がエリザベス・シュー、そのティーンエイジャーの息子役がスティーヴン・R・マックイーン。
そう、大スターのスティーヴ・マックィーンの孫なんですね。
面影が残っていて面白いです。
保安官助手にヴィング・レイムス
湖にポルノ映画撮影に来ているプロデューサーにジェリー・オコンネル
スタンド・バイ・ミー』のデブ少年も、すっかりハンサムに成長し、美女レベッカ・ローミンと結婚したりで、公私共に順調のようです。
いささかマッド・サイエンティストな魚屋(?)にクリストファー・ロイド
映画冒頭で食われる役にリチャード・ドレイファス
役名もフーパーで、帽子、メガネ、シャツと『ジョーズ』のフーパーそのものなのが可笑しい。
お色気要員に、イギリスでは有名なグラマー美女ケリー・ブルック
Tシャツコンテストの司会者にイーライ・ロスという、全体的に「分かっている」キャスティングです。


これも残念ながら最近流行りの2D/3D変換映画でしたが、割と3D効果はある方だと思いました。
食いちぎられたオチンチンが水中にぷかぷか3Dで浮かぶし、ゲロも飛び出します(^^;
こう書くだけでもしょーもなっ!!
しかし後半、ありとあらゆる手を使った人体破壊ショウは、そのやり過ぎ感も手伝って、悪趣味なスペクタクルと化しています。
若者でごった返しているビーチが文字通り血しぶきで染められ、その規模はかなりのもの。
単にピラニアに食われるだけではなく、二次災害まで描かれており、ちょっとやそっとでは見られないシロモノとなりました。
ホラー映画における残酷描写に対して、やや自主規制気味の昨今のハリウッド映画にあって、この思い切りの良さはむしろ1980年代のホラー/スプラッター映画を思い起こさせて、懐かしささえ感じさせてくれます。
見せ物が飽くまでも見せ物だった、あの時代のです。
それは道徳的な善し悪しとはまた別に、本作の製作者達の思い切りの良さであり、そこがこの映画を快作/怪作とさせています。
お陰で終幕のピラニア退治は取って付けたようになってしまったのが勿体無いのですが、それさえご愛嬌と思わせてくれる映画でした。