days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Green Lantern


グリーン・ランタン』をレイトショウ鑑賞です。
公開2目の3連休中日の日曜夜21時35分の回、劇場は20人程度の入りでした。


優秀だが、肝心なところで実力を発揮出来ない空軍パイロットのハル・ジョーダンライアン・レイノルズ)は、ある日突然謎の力によって引き寄せられ、不時着した異星人の臨終を目の当たりにします。
異星人は宇宙の秩序と平和を守るグリーン・ランタンの戦士アビン・サー(テムエラ・モリソン)で、最強の悪パララックス(声:クランシー・ブラウン)の返り討ちに遭ったのです。
自らの死が近いと悟ったアビン・サーは地球に不時着後、勇者を選ぶ宇宙最強の武器であるパワーリングに後継者を探させ、そしてリングが選んだのがハルだったのです。
アビン・サーは息を引き取り、ハルはグリーン・ランタンの一員となりました。
パララックスは勢力を拡大し、魔手を地球にまで伸ばして来ます。
グリーン・ランタン最強の戦士シネストロ(声:マーク・ストロング)は、戦士たちを率いて戦いますが、部下達を全滅させられてしまいます。
パララックスは相手の恐怖を吸い取ってパワーにしていたのです。
一方、ハルは幼少時に優秀だったパイロットの父の死を目の当たりにして以来、死への恐怖に囚われていたのでした。
果たしてハルは自らの恐怖を克服して、グリーン・ランタンとしてパララックスを撃退出来るのでしょうか。


グリーン・ランタンはDCコミックのヒーローですが、日本ではドマイナーなキャラ。
私も知ったのはここ1-2年、バットマンのコミックに登場したのを読んでからです。


とかく惨憺たる評判の夏の大作映画で、確かに突っ込み所満載でした。
超ご都合主義的展開が余りに安直で、ハリウッドの超大作の中でも珍しい方。
ハルはグリーン・ランタンの訓練をちょっとしただけ、途中で落後者の烙印を押されたというのに、後半ではパワーを自在に扱って大活躍してしまうのですから。
こうして前半と後半の繋ぎが無いまま構成の不備に気を取られている内に、危機が迫った中でハルに頑張ってもらっても、観ている方は余り乗れません。
これはハルの葛藤が表面だけしか描かれていないという、ドラマ性の欠如も大いに関係しています。
何人ものライターのクレジットを見るにつけ、突貫工事と混乱した製作現場を想像してしまいました。
また、近年稀に見る善悪どちらも全く魅力の無いデザインにも驚かされました。
新鮮味も無ければカッコ良さもありません。
デザインを練る時間が無かったのでしょうか。
よくもまぁ、こんなデザインのまま製作に突入したものです。


さらに驚いたのは、パララックスに乗っ取られてしまうオタク博士役ピーター・サースガードの痩せ振りです。
近年の『ナイト&デイ』も含めてふっくらとして来たというのに、元に戻ったようでした。
その父役ティム・ロビンスもお小遣い稼ぎの為か出演していますが、個人的にショッキングだったのは政府役人役のアンジェラ・バセット
ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』の颯爽としたボディガード振りが未だに鮮烈だったというのに、すっかり普通のおばさん化していました (T-T)
ヒロイン役ブレイク・ライヴリーは、『ザ・タウン』に比べると物足りない、勿体無い役ではありましたが、勝気な正統派ヒロインになっていて、美貌も手伝って観ていて楽しい。
TVだけではなく映画スターにもなれそう。
楽しみな逸材です。


しかししかし、個人的に1番意外だったのは、最後まで映画を楽しめた事です。
マーティン・キャンベルは、『007/カジノ・ノワイヤル』や『復讐捜査線』といった傑作、佳作の監督ですが、一方では脚本が悪かった『バーティカル・リミット』といった凡作もあります。
他の作品を観ても、この人は脚本の身の丈にあった映画にしか出来ない監督、とも言えそうです。
今回も不出来な脚本に身の丈が合った映画になっていて、名編集者スチュアート・ベアード(そう、先日ご紹介したエグゼクティブ・デシジョン』の監督でもあります)でも救えなかったのでしょう。
それでも不出来は不出来な分健闘していて、テンポ良く最後まで見せてくれ、飽きさせません。
これはライアン・レイノルズハル・ジョーダンという主人公を陽性に演じていたからでしょう。
いい加減でお調子者なプレイボーイ、でも良心的で正義感もある男を魅力的に見せていました。
こうなると多少の底の浅さも許せてしまいます。
不出来でどう見ても凡作以下の映画ですが、どことなく憎めない。
そんな映画になっていました。


3D映画でしたが、2D/3D変換の効果は案外悪くなく感じました。
もっともこれは自分が慣れ過ぎたのかも?との疑念もありますが。
全編VFXだらけ、そのVFXは3Dで作られていたから、それで効果があったのかも知れません。
こうなると、やはり低いレヴェルのデザインが惜しまれます。


尚、ジェームズ・ニュートン・ハワードの音楽は、懸念された通り明確なテーマ性が薄いものでしたが、ドコドコと場面を盛り上げてはいました。