days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Ajushi (a.k.a.: The Man from Nowhere)


韓国映画の『アジョシ』をミッドナイトショウで鑑賞しました。
3連休前の木曜深夜、0時15分からの上映は私も含めて6人の入りでした。


世捨て人の質屋テシク(ウォンビン)を「おじさん(アジョシ)」と呼んで、唯一心を開いてくれる隣人の少女ソミ(キム・セロン)。
が、ソミの母親は麻薬の裏金をせしめようとして惨殺され、ソミは臓器売買をしている組織に誘拐されてしまいます。
実はテシクは驚異的な身体能力の持ち主、殺しのスキル満点な元工作員で、少女奪還の怒りの追撃と返り討ちをして行くのですが。


傑作との高評価も多く、かなり期待していたのですが、正直に言ってそこまでは…と思いました。
意外と複雑なプロットはもう少しすっきりさせても良いし、韓国映画らしいウェットなお涙頂戴場面もわざとらし過ぎて、かえって心に響きませんでした。
まぁ、特に後者は韓国映画に顕著なので好悪分かれるのでしょうが、私は余りウェットなのは好きではありません。
エンディングも事前に予想した安易なアンハッピーエンディングでなかったのに、ほっと胸をなでおろしましたが、それでももう少し何とかならなかったのか、という思いもあります。
そんな意味で決して上手い映画ではなく、バランスも悪い(脚本と監督はイ・ジョンボム)。
しかしこの映画、逆にシンプルなアクション場面には観客のアドレナリンを刺激する興奮があり、さりげない場面に感動があります。
最初から最後まで緊張と興味が持続する異様な迫力がありました。


この映画は兎に角主役のウォンビンを観る映画です。
彼の鍛え上げられた肉体から繰り出される生身のアクションの凄さは、実際に観ないと分からない。
動きも素早く、残忍で、迫力満点。
ネイルガンでバスバス撃ったり、ナイフ戦では何度も相手をブスブス刺したりで、怒りの余り相当残忍なのに、清潔感のある美形がやると余り気にならない、というのも面白かった。
ロン毛状態の序盤では、顔にキムタクが見えて困りましたが、台詞が少ない分繊細な目の演技を見せてくれて、演技力の格の違いは明らか。
これは完全に彼のスター映画です。


ゴツゴツとした荒削りな迫力は、無菌消毒されたハリウッド映画ではお目に掛かれないもの。
機会がありましたら是非どうぞ。