days of cinema, music and food

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Captain America: The First Avenger


マーヴェル・ヒーローの1人を主人公にした映画『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』を観て来ました。
公開2週目の日曜朝10時10分からの回は30人程度とは少々寂しい。
アメコミでは超有名キャラでも日本では馴染みが無いのと、ベタな主人公名が敬遠されているのかな。


ナチが欧州各国に侵攻している1941年、第二次世界大戦中のアメリカ。
正義感の強い青年スティーヴ・ロジャース(クリス・エヴァンス)は、幾度もアメリカ軍に志願するも、小柄で虚弱体質ゆえに落とされてしまいます。
その心に興味を抱いたのがアースキン博士(スタンリー・トゥッチ)。
ドイツから亡命して来た過去のある博士は、スティーヴを採用。
極秘計画スーパーソルジャー計画の第1号に選びます。
実験は成功し、スティーヴは筋骨隆々の大男に変身、しかし博士は紛れ込んだナチのスパイによって暗殺されてしまい、計画は頓挫してしまいます。
一方、スパイを送り込んだナチの科学者であり将校でもあるシュミット(ヒューゴ・ウィーヴィング)は、かつてアースキン博士の開発した血清により変身、邪悪な心を増大させたレッド・スカルとなり、秘密兵器で世界征服を企んでいました。
スティーヴはキャプテン・アメリカとして戦意高揚キャラクターとして、派手な衣装に身を包んで全国を巡業する日々を送ります。
自分が望んだのはこうではなかった…と悩むも、ある日親友バッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)ら第107連隊がレッド・スカルの軍隊に捕虜とされた事を知り、極秘基地へと単身乗り込みます。


北米での好評もあって公開前はかなり期待していたものの、でも日本公開後は賛否半々だった印象なので、期待値下げて観ました。
そうしたら結構面白かったです。
でもこれ、大いなる助走というのが第1印象でした。
何のだって?
そりゃ来年公開予定のマーヴェル・ヒーロー総登場の『アベンジャーズ』に決まっているではないですか。
その壮大な予告編という印象だったのです。


ジョン・カーペンター版『遊星からの物体X』かという冒頭で掴みはOK、各テクノロジーや兵器類もディテールは細部までよく作られいて楽しい。
クライマクスは『未来少年コナン』のギガントだ!と思って観ていました。
それに第二次大戦を背景にしたマーヴェルものは初めてなので、新鮮な気持ちで観られました。
主人公はどこまでも清く正しく、悪役はどこまでも悪く卑劣という、近年に珍しい清々しいまでの善悪の描き方は、かえって活劇らしく良かった。
またそういう描き方が許される時代背景というのもあったのでしょうね。
これが現代劇だったら、同じマーヴェルの『アイアンマン』のような捻りを入れそうですし。
もっともこちらはチビ、虚弱体質、でも心は正義漢な男が人体改造でヒーローになる、という捻りになっているけれども、屈折した心理は無いのです。
その屈折振りがレッド・スカル側にもっと描かれていれば尚良かったでしょうね。


クリス・エヴァンスは良かったですね。
如何にも正統派ヒーローといった風情で。
マーヴェルの映画はどれも主人公が立っていると思います。
これはキャスティングが上手いだけではなく、その立たせ方が上手いという事なのでしょう。
その意味でマーヴェル映画は安心して観ていられます。
脇役もタイプキャストなものの、良かったです。
悪役ウィーヴィングは如何にも憎々しげでしたし、スーパーソルジャー指揮官役トミー・リー・ジョーンズぶっきらぼうで頼り甲斐があり、スタンリー・トゥッチの博士も人情派。
ヒロイン役ヘイリー・アトウェルは悪くなかったですが、これが15年前の例えば『ロケッティア』のジェニファー・コネリーだったら…と思ってしまったり。


そう、監督は同作のジョー・ジョンストン
見せ場をテンポ良く並べる手腕は快調ですが、もう少し緩急が欲しかったかな。
珍しく凡作だった前作『ウルフマン』と違って、企画当初から携わっているからか、あちらのナマクラ振りとは違っていましたが。
もう少しタメが欲しかったです。
それとアクション場面が全体的に撃ち合いが殆どなのも勿体無い。
折角の超人的体力、スピードの持ち主なのだから、もっとその特技を生かしてもらいたかった。
1番感心したのは、肉体改造直後の追撃場面なのですね。
あそこは引っ張り具合も良かったし、迫力もありました。
様々な趣向を凝らしたアクションを観たかったです。


クライマクスが1対1のよくあるアクションで、ここも実はそんなに面白くはありません。
しかし真のクライマクスが、その後の決断、というのは誉めたい。
キャプテン・アメリカのヒロイズムが良く伝わって来て。
こういうアメコミ・ヒーロー映画も珍しいですね。


相対的にはまぁまぁ、しかし来年の『アベンジャーズ』予告編としては役目を果たしたと言えると思います。
尚、本作は2D/3D変換作品。
残念ながら3D効果はあって無いが如しでした。