days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Crazy, Stupid, Love.


ラブ・アゲイン』をレイトショウで鑑賞しました。
平日木曜の21時10分からの回は、観客は私を含めて3人のみとは寂しい限り。
もっと人が入って良い映画なのに。
日本ではコメディ映画の観客動員は厳しいそうなので、残念ながらこれが現実なのです。
それでも観客数なぞ気にせず大いに笑いました。


マジメが取り得、マイホームもあって子供達もいて幸せな結婚25年目を送るキャル(スティーヴ・カレル)は、ディナーの席で突如妻エミリー(ジュリアン・ムーア)から浮気と離婚を告げられます。
当然ながら大ショックを受け、独り暮らしを始めてから毎晩バーで孤独にクダ巻くようになります。
見るに見かねた若いプレイボーイのジェイコブ(ライアン・ゴズリング)から情けをかけられ、悪いのはそのダサいセンスだ!と外見から行動までイケてる中年になるべく指南される事になります。
一方、13歳の息子ロビーはベビーシッターのジェシカに恋をしていました。


いわば雑誌『LEON』実戦版(笑)の本作。
ここ1-2年、気にはなっていたけど出演作を1本も観ていなかったエマ・ストーンライアン・ゴズリングという若手男女が、今回は半分お目当ての鑑賞だった事も告白しておきましょう。
しかし期待通りに、映画自体がとても面白かったです。
特に中盤からは先の予想が付かない展開となり、いつの間にやら集団劇の様相まで呈してきて、後半のとある大団円(?)場面には大爆笑。
いやぁ、これには笑った笑った。
このくだりの可笑しさは観ないと損ですよ、と言いたいくらいです。
終幕は演説に頼ってしまうのがハリウッド映画だなぁと思いましたが、全体的にダン・フォーゲルマンの脚本が良く出来ています。
完全に男性目線の映画ですし、女性は皆都合が良い添え物なのも事実。
しかし嫌味が無くて単純に楽しめました。
これは恋してみっともない行動を示す男どもの祭とでも言うべき映画。
逆に変に知ったかぶりして女性を描いていない、背伸びをしていない率直さが良いと思いました。
大体にして主役が『40歳の童貞男』ことスティーヴ・カレルですから、みっともない40男ぶり(おっと、私も気を付けないと)を披露していて、それが笑いの原動力とさえなっているのですから。
主要人物数人、皆それぞれ見せ場が用意されているし、映画が終わると温かな気持ちになれるのも良いです。
フォーゲルマンは、『カーズ』『カーズ2』『塔の上のラプンツェル』等といったピクサー/ディズニー作品の脚本を書いていたようですが、今後も注目したい脚本家ですね。


グレン・フィカーラジョン・レクアという2人の監督は初めて見ましたが、映像センスも良かったです。
冒頭のレストランの場面。
テーブルの下で絡み合う男女の靴の数々というセクシーな映像で、いきなり引き込まれました。
この手のコメディに相応しくテンポも良く、緩急も良い塩梅でした。


それにしてもです。
今年は一体何本出ているんだ(アメリカでの話です)というライアン・ゴズリングの勢いは凄い。
顔が良く、劇中で「フォトショップで加工したみたい!」とまで言われる鍛え上げられた肉体の持ち主、という遊び人役なのに、嫌らしさがありませんでした。
これは演技力もあるからですね。
今まではシリアスなイメージ、それもミニシアター系映画のイメージだったのですが、いきなりこういった娯楽コメディもこなしてしまうとは、意外にフットワークも軽い。
来春公開予定の犯罪アクション・スリラーの期待作『ドライヴ』は、今1番期待している映画なので、楽しみにしています。


女優陣は妻役ジュリアン・ムーア、ナンパして来たジェイコブを歯牙にもかけないマジメな若い女性役エマ・ストーン、キャルがナンパする女性役マリサ・トメイと、実力派美女を揃えたのも宜しい。
それぞれ持ち味を生かしてとても良かったです。
お目当てでもあったストーン、この人も勢いがありますね。
とても魅力的だったと思います。
ゴズリングといい、ストーンといい、活きの良い若手俳優が見られるのは楽しい。
一方、ヴェテラン勢の1人ケヴィン・ベーコンがまたもやあんな役かと笑えましたが、思っていたよりも不器用で誠実そうだったのも、また可笑しかったです。
強面のジョン・キャロル・リンチも可笑しかったですね。


日本では公開されただけでもめっけもんの佳作。
さっさと上映が終わる前に観に行ってみて下さい。
機会があったらお見逃しなく。