days of cinema, music and food

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The Three Musketeers


三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』3D字幕版レイトショウ鑑賞です。
公開1カ月後の日曜20時50分からの回、20人程の入りとは意外に多い。
ヒットしているのですね。


17世紀のフランス。
若き国王ルイ13世(フレディ・フォックス)が政治に無頓着な隙に、枢機卿リシュリュークリストフ・ヴァルツ)が虎視眈々と権力の座を狙っていました。
そんな中、田舎から出て来た無鉄砲且つ剣の腕が立つ青年ダルタニアン(ローガン・ラーマン)は、三銃士のアトス(マシュー・マクファディン)、ポルトス(レイ・スティーヴンソン)、アラミス(ルーク・エヴァンス)と知り合います。
一方のリシュリューは悪女ミレディ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)を使って、王妃アンヌ(ジュノー・テンプル)と敵国イギリスのバッキンガム公(オーランド・ブルーム)が通じていると見せ掛け、戦争を画策。三銃士とダルタニアンはその陰謀を阻止すべく旅立ちますが、そこにはリシュリューの腹心で剣豪のロシュフォール隊長(マッツ・ミケルセン)が立ちはだかっていたのです。


世間が言うには、良い方のポール・アンダーソン(『ブギーナイツ』『マグノリア』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』)と、悪い方のポール・アンダーソン(『バイオハザード』シリーズ、『デス・レース』)が居るそうです。
前者はPTAことポール・トーマス・アンダーソン
本作は勿論後者、ポール・W・S・アンダーソン監督作品です。
前作『バイオハザードIV アフターライフ』で気に入ったのか、あちら同様に3D撮影の3D上映という純正3D映画になっていました。
この監督は別に嫌いじゃないし、面白く見せる腕前はそこそこあるのは知っているけれども、コスチューモ剣戟ものとの相性はどうなのよ?と全く期待していませんでした。
おまけにキャストの国籍と役柄の国籍が目茶目茶ですし。
そうしたら、おやおや、意外にも楽しめるじゃないですか。
アレクサンドル・デュマ原作(子供のときにジュブナイル版読んだだけだけですが、これは何度も読み返しました)とは思わずに、荒唐無稽で時代考証もどうでも良いアクション活劇と割り切れば、無駄な場面も無く、タイトな進行で面白いのです。
相変わらずの「自分はこんな映画が好きなんだ」とばかりに、過去の名作映画のオマージュ満載。
『三銃士』と『レイダース/失われたアーク』が結び付くなどとは、誰も思いませんよね。
観ているこちらは、やってるやってる、と冷やかしながら楽しみましょうか。


この手の映画の常として、善玉より悪玉が目立つし、楽しげなのも良かった。
クリストフ・ヴァルツも、ミラ・ジョヴォヴィッチも、マッツ・ミケルセンも、それぞれ悪の魅力を放っていたと思います。
オーランド・ブルームは、彼らに負けていました。
本人は楽しそうでしたが、まぁ、これは演技力の違いでしょう。


特にどうという事は無いし、北米では批評家受けも悪かったようですが、世の憂さを晴らす分には楽しめました。
エンディングは明らかに続きを作るような作り。
近年はこういう結末の映画が多いですね。
本作の場合も製作されるのでしょうか。


純正3D撮影は効果がありました。
こういうのを観ると、やはり3Dは変換でなく純正で…と思います。
HD撮影によるデジタル上映は高画質で、衣装の細かい布地もはっきり分かります。
こうなるとフィルム撮影でなくても良いか、等と思ってしまいました。


ところで『三銃士』ものは過去に数々の映画になっています。
レオナルド・ディカプリオが主演した『仮面の男』もそうですね。
私のお気に入りは、ビートルズ映画で名を馳せたリチャード・レスター監督、サルキンド親子製作の1973年版『三銃士』及びその続編である1974年版『四銃士』です。
サルキンド親子は何と解散したビートルズのメンバーで映画を作りたかったらしく、それでレスターが呼ばれたのでした。
元々は超長尺映画になる筈が、レスターがサルキンド親子に2本に分割すれば良いと提言して、それをグッドアイディアとした親子は、こっそり2本にしたものの、ギャラの訴訟に発展したとか。
そりゃそうですよね。
映画1本と聞かされて出演していたのに、実は2本でした、でもギャラは1本分ね、だもの(^^;
何とも大らかな時代ですが、超豪華キャストに味をしめた親子は、後にリチャード・ドナー監督、クリストファー・リーヴ主演の『スーパーマン』を、1度に2本分撮影して製作する事になります。
が、『II』で監督は途中からリチャード・レスターに交代していますね。
1973年版はダルタニアンにマイケル・ヨーク、アトスにオリヴァー・リードポルトスにフランク・フィンリー、アラミスにリチャード・チェンバレン、コンスタンスにラクウェル・ウェルチ、ミレディにフェイ・ダナウェイリシュリューチャールトン・ヘストン、ロシェフォールにクリストファー・リーという、超豪華キャストでした。
『三銃士』と『四銃士』は2本で1本の映画となっていて、特に『四銃士』の方は盛り上がりましたね。
クライマクスでクリストファー・リーが見せるチャンバラが、後の『スター・ウォーズ エピソード2 シスの復讐』のラストに繋がるのでしょう。
結末はアンハッピーエンディングに近いものでしたが、それでも面白さは失われず。
活劇とすっとぼけた笑いが持ち味の佳作でした。
機会がありましたらお見逃し無く。

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