days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

"50/50" / 今年初ディナー@L'EROE OVEST(レロエ オヴェスト)


今年初の映画鑑賞は『50/50 フィフティ・フィフティ』でした。
ららぽーと横浜TOHOシネマの10番劇場、朝9時20分からの回は私を入れて7人の入り。
上映1ヶ月以上経って、既にこの回しかないのですよね。
観たい映画だったので、正月で早くも夜更かし寝不足気味でしたが、行って来ました。


シアトルのラジオ局に勤務する27歳の青年アダム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、腰の痛みを覚える今日この頃でした。
同僚で親友のカイル(セス・ローゲン)に痛みを訴えながらも、病院で検査を受けてみると、珍しいという脊髄の癌を宣告されます。
5年後の生存率は50%だとか。
前衛画家のレイチェル(ブライス・ダラス・ハワード)は支えると言いつつ、徐々にプレッシャーを受けている様子。
陽気で下品なカイルは「5割なら上等じゃないか」と言います。
アダムが3人目という新米セラピストのキャサリンアナ・ケンドリック)は、ぎこちない。
アルツハイマーの父の世話をしている母(アンジェリカ・ヒューストン)は、アダムのところに越して来ると言い出します。
癌治療を受ける他の患者(フィリップ・ベイカー・ホール、マット・フリューワー)らと交流しつつも、厳しい治療を受けながら、家族、友情、恋愛を描いていきます。


癌を題材にしながら暗いだけではなく明い面もあり、だからこそ忍び寄る死の影も印象的でした。
監督ジョナサン・レヴィンの演出の功績は大きい。
主演がジョセフ・ゴードン=レヴィットだから、もっと淡々としているのかと勝手に想像していたら、それ以上に起伏のある、「ドラマティックな」映画でした。
後でじわじわ来る癌宣告の衝撃。
笑いと涙。
脇役もくっきりはっきりしつつ、どの人物にも血肉通っていました。


ゴードン=レヴィットは喜怒哀楽も過剰にならず、上手い俳優ですね。
こういう、平凡な青年役にぴったりなのに、観客に感情移入させる親近感を持たせます。
それでいながら感情表現も的確。
当初予定されていたジェームズ・マカヴォイでも上手かったでしょうが、ゴードン=レヴィットだからこの映画の爽やかさが出たのだと思います。
親友カイル役は、先日観た宇宙人ポール』に続いてセス・ローゲンが明るく陽気なアメリカン役でドンピシャ。
もっとも本人はカナダ人ですが。
下世話だけど気の良い、理想的な相棒でしょう。
癌をネタにすればナンパもしやすくなる、などと言い出す女たらし役で可笑しい。
そう、プロデュースがローゲン&エヴァン・ゴールドバーグという『40歳の童貞男』『スーパーバッド 童貞ウォーズ』等のコンビだからか(?)、これもブロマンス(ブロス+ラブロマンスの造語)映画の1つだったのです。
アダムとカイルの間には女性でさえも入り込めないのでした。


新米セラピスト役アナ・ケンドリックは、徐々に魅力的に見えてくるから不思議ですね。
マイレージ、マイライフ』の上昇志向の強い新人役で鮮烈な印象を受けましたが、こちらはあちらとは微妙に違った役というのも面白い。
似て非なる役で印象も違うのですが、魅力的に描かれていたと思います。
恋人役ブライス・ダラス・ハワードも好調な役者なんですね。
癌患者を支えるプレッシャーを微妙なさじ加減のユーモアで演じていました。
母親役は久々アンジェリカ・ヒューストン
だから貫禄のある役か…と勝手に予想していたら、こちらも軽やかな、でも上手い。
さすが名女優。


自らの経験を基にして執筆したというウィル・レイサーの脚本は着眼点が非常に面白い。
若き男性癌患者を主人公にした、笑いをふんだんに盛り込んだ青春映画なのですから。
カイルのモデルは実際にセス・ローゲンだそうですが、虚実ないまぜの内容なのでしょう。
だからか、映画として観客の興味を引く展開も盛り込んでいます。
正直に言って恋愛のくだりはもう少し説得力欲しい気もしましたが、恋人との別離は納得がいくものでした。
癌患者を支えるのって、周囲の人間にとっては精神的にも肉体的にも大変でしょうから。
ただこの映画、脚本家自身の体験を元にしている…という説明が無かったら、癌を扱った青春コメディとして不謹慎だ、という批判がひょっとしてあったかも知れないな、とも感じました。
それだけ慎重な題材を扱いつつ、でもシリアスかつ軽やかに描いた佳作だと思います。
また興味深かったのは、癌と判明すると即患者に宣告する事。
これって以前より変わったとは言え、今の日本ではまだまだ考えられない事なのではないでしょうか。
また肉体面の治療だけではなく、同時にセラピーも受けさせるというのも、精神面でのケアも重視するアメリカ医療なのかな、と思いました。


新年早々に観て、こういうのに遭えて良かったと思える映画です。
お薦め。


ところで、私の小学校6年間の同級生にTという男がいます。
彼が劇場支配人だったときの若い部下・菱沼一茂さんという方が、実際に20代で癌になったとか。
ウィル・レイサー来日時に、その菱沼さんと対談している広告宣伝記事がこちらになります。


さて夕食は、今年初めてのこちらお馴染みの店で取りました。

西野シェフは新年早々に絶好調♪
火の通し方、ソースの味付け、素晴らしかったです。
妻も「いつも酔っ払うから今日はワインを少なめに」などと言っていたのに、終わりには「いつもより減らしたら酔わない」とグラスを追加していました(^^;
それだけ楽しく&美味しかったのでしょう。















娘は昼寝しないで延々遊んでいたのが効いたのでしょう。
夕食始まって30分ほどで「ぱんは…?」と言いながら寝てしまいました(^^;


シェフの近未来計画やお店情報の交換等も興味深く、とても楽しい時間を過ごせました。
正月早々に営業している話も面白かった。
下北沢からこちらに移転したのが12月10日だかだったのですが、例年は1週間ほど冬休み取っていたのに、貸主の東急が「移転したばかりなのだから、正月営業も当然でしょう」みたいに言って来たので、正月2日目から営業を始めたら、意外に客が入った、と。
それから「来年もやってもらいたい」と言われるようになり、やめるにやめられず、今に至っているとか。
私たちはこの店の常連ですが、正月にこちらに来るのは初めて。
でも殆ど席が埋まっていたのですよね。
なるほど、そういう由来でしたか。


今夜もご馳走様でした。
今年もまた、宜しくお願いします。

レロエ オヴェスト 三規庭

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