days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Mission: Impossible - Ghost Protocol ※1/5追記あり


お墓参りの後は、妻と恒例のお正月映画鑑賞をしました。
ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』です。
昨年、一昨年と年末年始の冬休みには2本観ていましたが、今年は先の映画とこれとで合わせて2本でした。
本数は減ったものの、妻はどちらも楽しんでくれての映画鑑賞となったようで良かったです。
南町田のグランベリーモール内にある109シネマズでのIMAX鑑賞は、正月3日目の12時50分からの回、341席の半分程の入りでした。
高解像度大画面、高音質大音量の映画に相応しい、大作娯楽アクション・スリラー映画でした。


アメリカの極秘諜報機関IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)の任務中にエージェントが殺し屋サビーヌ(レア・セドゥー)に殺害され、ロシアの核ミサイル発射用暗号コードが盗まれます。
IMFのリーダー、イーサン・ハント(トム・クルーズ)率いるティームは、事件の背後にはクレムリンに潜伏する謎の人物”コバルト”の正体を洗い出すよう、密命を受けます。
ベンジーサイモン・ペッグ=『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』『宇宙人ポール』に続いて、お正月映画3本目!)、ジェーン(ポーラ・パットン)らを率いてクレムリンに潜入するイーサンでしたが、大規模な爆破事件が発生。
彼らに嫌疑が掛けられます。
米ロが一触即発となった状況下、IMFは解体され、イーサンは長官(トム・ウィルキンソン)から事件の黒幕を追うように示唆されます。
メンバーには分析官ブラント(ジェレミー・レナー)も加わり、ドバイの超高層ビルブルジュ・ハリファ”に向かうのですが。


ネット上では後半の評価が賛否…というか芳しくなかったので少々心配しましたが、期待以上にかなり楽しめました。
ムンバイの大邸宅でのくだりはいささかダレたものの、それ以降の展開で盛り返し、手に汗握って楽しめたのです。
同じ映画、同じ場面でも、人によって評価や感想が違うのは興味深いものですね。
また批判の的として敵が小規模なのを挙げていた評も複数で見ました。
これは確かにそうなのですが、IMFの活躍場面をあれらのように設定すると、敵を大勢にしても余り意味が無いからなのでは、と思って納得しました。
但し悪役はもう少し面白くしようがあったでしょうけれども。
というのは、この悪役たちは人類を滅ぼしてしまおう、という少数精鋭の連中です。
リーダー自らが死地に赴くのも厭わない。
つまりイーサン・ハント率いるIMFと同じような連中、表裏一体の関係なのですね。
ダーティハリー』のハリー・キャラハンとさそりと同じような関係、と言えば分かりやすいでしょうか。
ここら辺をもう少し強調しても良かったのでしょうが、クリント・イーストウッドの一連映画と違って、かなりあっさりした描写になっています。
これは娯楽映画としての判断としては正しいのでしょうが、もう少し描いても良かったでしょう。
敵役を演じていたミカエル・ニクヴィストは、オリジナル版『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』等の『ミレニアム3部作』のミカエル・ブルムクィスト役。
そう、ハリウッド版『ドラゴン・タトゥーの女』でダニエル・クレイグが演じている役と同じです。
メイクでかなり老けており、ちょっと驚きました。
イーサンと表裏一体なのだから、もっと若々しくて精悍な悪役の方が良かったと思います。
だとすると、後半の意外なまでの悪党の頑張りも納得いくもの。
その意味でもニクヴィストはミスキャストだったと思います。


監督はアニメーター出身のブラッド・バード
スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務めていたTVシリーズ『世にも不思議なアメージング・ストーリー』での監督経験はあるものの、長編での実写作品は初めてです。
バードと言えば、『アイアン・ジャイアント』、『Mr.インクレディブル』、『レミーのおいしいレストラン』と傑作アニメ作品を連発している優れた監督です。
起用の理由を推察するに、立体的なアクション描写の巧さと、きっちりしたストーリーテリングが出来る監督だからではないでしょうか。
実際、バードは起用に応えています。
TVサイズに収まるせせこましさが鬱陶しかった凡作だった前作『M:i:III』との大きな違いは、何と言っても空間の上下や奥行きを生かしたアクションの演出です。
いきなりの屋上でのアクションに始まり、中盤の高層ビルから砂嵐の中での追撃、終幕の立体駐車場のくだりなど、映画的興奮に満ちていました。
ユーモラスでありながら歯切れの良い台詞の応酬(「Blue is glue.」「And Red?」「Dead.」)も可笑しいし、アクション映画はこうでなくては。
さらには明確な各登場人物像もあって、本作は内容もりだくさんの娯楽アクション映画に仕上がっています。
思えば『ダイ・ハード』も似たような特徴を兼ね備えていました。
あの映画に似た香りが、本作にもあるのです。
あちらとこちら、人間味のある主人公の描写も共通点となっています。
シリーズ過去の作品では、「完璧アクション王子」だったイーサン・ハントが、たまに間が抜けている男とも描写され、懸命なクルーズらしさが時にギャグに転じているところなど、キャメロン・クロウの傑作『ザ・エージェント』を思わせました。
お馴染みのクルーズ走りも観られますよ。


本作で強調されている「完璧とは程遠い」のは、主人公だけではありません。
ハイテク道具もそう。
故障を起こしてこちらをハラハラさせられます。
この映画、主人公、ハイテク道具、それに加えて変装、「アクション・シリーズものの主人公は孤独であるという定番」等、次々と観客の予想や固定概念をひっくり返すのが面白い。
その全てが生かされているとは言えませんが、中々趣向を凝らした脚本と言えます。


私は往年のTVシリーズスパイ大作戦』(もちろん、旧シリーズの方)の大ファンでした。
映画版はそこそこ楽しませてくれたものの、どれも「これは『スパイ大作戦』ではない」との違和感が常につきまとっていました。
これではトム・クルーズの『独り大作戦』ではないか、と。
それが本作では、文字通りチームワーク重視の『スパイ大作戦』に変化していて、TVシリーズのファンとして喜ばしいものでした。
それでいながら、トム・クルーズのスター映画として成立しています。


冒頭、ラロ・シフリンのテーマ曲をバックに、導火線を使った派手なタイトルが始まります。
タイトル・デザイナー3人の内1人はカイル・クーパーでした。
シリーズ第1作も彼の作品です。
その導火線の使い方も劇中からスムーズな移行でカッコ良く仕上がっていました。
でも冒頭のタイトル曲は、シリーズでは1作目のアレンジが1番好きですね(因みに最悪だったのは『II』のハンス・ジマー版)。
本編の音楽、マイケル・ジアッキーノの曲は、シフリンの曲以外に印象に残らなくて残念でした。


TVシリーズは未見、前作に不満だった妻も楽しめたようでした。
但し、彼女からは「明らかに英国人のサイモン・ペッグが、何でアメリカの諜報員なんだ」と突っ込みが。
確かにそりゃそうだ。
CIAとかってアメリカに帰化してもなれるんでしたっけ?(^^;


是非、劇場の大画面、大音響での鑑賞を…それも可能ならばIMAX版での鑑賞をお勧めします。
ドバイのくだりなど、手に汗握りますよ。


※1/5追記
過去のシリーズ作品のオープニング・タイトルを集めてみました。
カイル・クーパーによる『ミッション:インポッシブル』タイトル・デザインです。

やっぱりテーマ曲のアレンジは、シリーズでこれが1番良いですね。


M:I-2』におけるガーソン・ユー(yU+Co.)によるタイトル・デザインです。


M:i:III』のジョス・A・オーティス・Jr(ピクチャー・ミル)によるタイトル・デザインです。

途中までのしかなくて残念ですが。