days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Shame


24日は横浜ブルク13でのハシゴ2本目です。
観たのは『SHAME -シェイム-』でした。


N.Y.に住む30独身男のブランドン(ミヒャエル・ファスベンダー)は、仕事も出来てハンサム、だがセックス依存症でした。
毎晩プロアマ問わず不特定多数の女性とセックスし、シャワー中も自慰、PCではエロチャット。
会社のPCはポルノ映像だらけ、仕事の合間はトイレで自慰行為。
ですがそれが彼にとって規律正しい生活なのです。
そこに他人に依存がちでいささか精神不安定な妹シシー(キャリー・マリガン)が転がり込み、彼の生活と心が乱されて行きますが…。


監督のスティーヴ・マックィーンは往年の大スターと同姓同名、でも全くの別人です。
イギリスのアート出身でこれが長編映画2作目。
前作『Hunger』は日本未輸入なのでこれが初お目見えですね。
感情と説明を一切廃した語り口だけでなく、ミヒャエル・ファスベンダーの肉体も冷え冷えとした映画でした。
だから時折感情を剥き出しにする場面が痛々しい。
しかし私は感情移入ではなく傍観者にもなっていました。
これはユニークな映画だと思います。


起伏の「起」の場面では長回しの移動撮影が多く、観客に臨場感を与えようとする意図が強く感じられる演出。
監督はアート派であっても、独りよがりではなく、ちゃんと映画らしい映画になっています。
終幕の感情爆発の幾つかの場面は、音を消したり短くしたりでベタベタしない。
徹頭徹尾クールなのです。
そのクールは格好付けではなく、本当に冷たいクール。
ドロドロとした題材になりそうなのに端整に感じられるのは、主人公を演じるファスベンダーと、そういった演出技術のお陰でしょう。


主人公のセックス依存症ぶりは、色々と自分の身に置き換えて考えてしまいます。
人は何かに依存している部分があるのだから。
劇中の妹だってそう。


この映画に答えはありません。
兄妹の関係も普通じゃないですが、過去に彼らの間に何があったのかは全く描かれません。
観客が想像するしかないのです。
ここまで「不親切な」映画も久々で面白かったです。
単純に考えれば、都会での孤独を抱える現代人の精神のありようを描いた映画、という事になるのでしょう。
全くのポルノグラフィックではなく、観客に考えさせる映画でした。


気になったのはボカシですね。
冒頭、全裸のファスベンダーの立派なイチモツはそのまま出て来ますが、数分後のそれはボカされています。
何でですか?
基準は?
勃起でもしていたのですか??
また男性のそれはOKなのに、女性の毛になると小さく小さくボカされます。
男女差別かいなと突っ込み入れたくりましたとも、全く(-"-#