days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

"Chronicle" on Blu-ray Disc


あまぞんUKから到着したばかりのUK盤BD『Chronicle』(後の邦題『クロニクル』)を鑑賞しました。
20世紀フォックスUKのを買うのは初めてですが、これは日本語字幕収録を知っての購入です。
映画は今のところ日本公開は未定なようですが、いつか公開されるのではないでしょうか。
もしかするとDVD/BDスルーかも知れませんが、小規模でも良いから劇場公開してもらいたい映画です。


少々驚いたのはBD冒頭のCF群です。

おや、先日観たばかりのBlack & White/ブラック & ホワイト』のBD予告編が入っているではないですか。
しかも何と!リドリー・スコットの新作にして期待の『プロメテウス』劇場用予告編まで入っていますよ!

まさか自宅大画面で、劇場に掛かる前(欧米では公開中)の新作予告編とは言え観られるとは…。
これはちょいと嬉しかったです。
期待しているんです、『プロメテウス』には。
内容はイマイチとの評価も漏れ伝えられていますが…(^^;


このBDには劇場公開版と延長版の2種の本編が収録されています。
予告編等が終わると、その内どちらを観るのか、選択画面が表示されます。

今回は劇場版を鑑賞しました。



内気でいじめられっ子の高校生アンドリュー(デイン・デハーン)、いとこのマット(アレックス・ラッセル)、その友人スティーヴ(マイケル・B・ジョーダン)は、ある夜、森の中で洞窟らしきものを見つけます。
洞窟の奥には謎の発光体があり、3人は気を失ってしまいます。
どうやって脱出したのか記憶も無いまま、それ以来、3人は念動能力(テレキネシス)を身に付けます。
最初は小石やテニスボールを飛ばせるくらいでしたが、徐々に能力はエスカレート。
やがて自分の身体も空高く飛ばせるようになってしまうのですが…。




1時間半弱の短い上映時間をフルに使った、切れ味が嬉しい小品です。
最初から最後まで弛緩せずに、一定の緊張感を保持出来た、これは快作SFスリラーでした。
超能力も序盤から出し惜しみせず、でも徐々にエスカレートしていくのでスリリング。
これは面白い映画でした。
知っているキャストは、アンドリューのDV父役マイケル・ケリーだけでしたが、無名ばかりな面々だったのが、かえって普遍的青春ものとして見られて良かったです。
内気な高校生の精神崩壊という悲劇もあって、どこかスティーヴン・キング風にも感じました。


映画は一応モキュメンタリの体裁を持っていて、アンドリューや他の人が撮影した映像を繋ぎ合わせているという設定です。
でも超能力でカメラも空中浮遊可能という反則技によって、カメラワークが自由自在なのが面白い。
こんな手があったか!
また、徹頭徹尾モキュメンタリにこだわっているのでもないのも良かった。
クライマクスなんて誰の視点か分からない映像も多かったですからね。


これで初めて知ったマックス・ランディスの脚本も、青春の鬱屈と開放感が描き出されているし、そもそもアイディアが良い。
ジョシュ・トランクの演出も手際良く、効果的な映像も多かったです。
後半は大作映画そこのけのシアトル市内での大超能力合戦になり、サーヴィス満点。
VFXは全て見事とかではありませんが、納得できるショットが多い。
これもデジタル時代ならではの低予算VFXなのです。
それと確かに大友克洋の『童夢』実写かもね、これは。
というか、これ観たら『童夢』実写計画はいらないと思いました。


画質は輪郭も結構目立つ箇所があったり。
モキュメンタリタッチのやや粗めのデジタル撮影なので、まぁ仕方ないです。
が、荒れたなりの迫力がある。
音は結構凄かったです。
いわゆる劇音楽の類は一切無く、大きく鳴るのは効果音のみ。
その効果音は要所で重低音ビシバシ、サラウンドも結構します。
これは楽しい。


尚、マックス・ランディスは1970年代後半から1980年代前半にかけて活躍した『アニマルハウス』『ブルース・ブラザース』『大逆転』等のジョン・ランディスの息子です。
父が映画を撮れなくなった厳しい状況で、息子は全く違うジャンルで活躍が期待されるとは。
何か感慨深いというか、寂しくも嬉しくありますね。


もっとヘヴィな内容を予想していたのですがさっくり観られたので、時間を見つけて5分長い延長版も観てみようかと思います。


予告編はこちら。
ね、面白そうでしょ??