days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Brave


メリダとおそろしの森』を公開初日の土曜ミッドナイトショウで鑑賞しました。
観客は私も含めて6人。
ピクサーの夏休み映画なのにこの入りは寂しい。
もっとも日中は入っているのかも知れませんが。


元気いっぱい有り余っている森の王国の王女メリダは、女は女らしくと厳しい躾をする母親がうとましくて仕方がありません。
ある日偶然、森の魔女に出くわした彼女は、母を変えて欲しいと魔女に依頼します。
が、それがとんでもない事態を引き起こしてしまいます。


ピクサーの長編CGIアニメ第13弾。
世間的には失敗作の烙印を押された前作『カーズ2』もそれなりに楽しめたので、こちらも楽しめました。
いや、世評ではこちらの方が良いようですけれどもね。


それはともかく大島優子のヒロインの声起用は、興業的に思惑通りなのでしょうか?
このような記事もあるけれど、私はダメだと思いました。
全体に棒読みで、感情を強く入れるべき場面で力が入っていません。
聴いていて居たたまれなくなりました。
世間では彼女は俳優としては中々との評価のようですが、声優はやはり別の職業なのでしょう。
これはちょっとツラい。
宮崎駿のように「声優の演技」が嫌いで俳優を起用する人もいるけれども、『ハウルの動く城』のキムタクも聴いていて辛かったのを思い出しました。
ダメかどうかなんて途中でわかるのだから、思い切って別の俳優・声優と差し替えれば良いのに、と今回も思いましたよ。
これは大島優子とかキムタクの責任ではなく、起用した側の責任です。
あとはまぁ、メディアに取り上げられてばそれだけ宣伝になるというのもあるのですが、実際に映画を見て悪評だったら逆効果ではないでしょうか。
映画は習慣性の趣味なのですから、映画業界は映画館に来てもらう習慣を大衆につけてもらう必要がある筈。
なのに、わざわざ自分たちで質を落としてどーするんじゃいっ!!と、少々ムキになってしまいました (-_-;


肝心の映画は面白かったけれども、私がピクサーに求める質には達していませんでした。
ギャグには大笑いだし(特にメリダの弟達、三つ子悪ガキトリオ)、登場する男が揃いも揃って(愛すべき)バカで不細工ばかりなのが笑えます。
男どもは完全に脇役扱いなのですよね。
全体に人物が立っているのはさすがピクサーでした。
CGIの技術は文句無し。
特にメリダの赤い髪、濡れた熊の毛皮の質感は息を呑むほどに素晴らしかったです。
しかしピクサーと言えば技術だけではなく内容も評価された製作会社。
本作は展開が予想通りなのは良いとして、意外に奥行が浅く話も小ぶり、感動もしませんでした。
パトリック・ドイルスコティッシュな音楽も良かったです。


脇役達の吹き替えは良かったけど、やはりケリー・マクドナルドメリダや、エマ・トンプソンの王妃を聞きたかったです。
全国で10館無いのですよね、字幕版は。


私の中では『メリダとおそろしの森』は、『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』『カーズ』と並んで、ピクサーの中では物足りない映画でした。
予告にあった『モンスターズ・ユニバーシティ』は面白そうだったので楽しみですが。
あぁ、これも吹き替え版で観る羽目になるのか…。
ジョン・グッドマンビリー・クリスタルら、オリジナルの声優で見たいのですよ。


本編前にはトイ・ストーリーもの『ニセものバズがやって来た』があってそこそこ楽しめました。
ですがこれは正直に言ってどうでもよいです。
実はメリダ本編よりも良かったのがもう1本の短編『月と少年』。
マイケル・ジアッキーノの音楽も含めて、想像力溢れる大傑作でした!
登場人物達の顔が日本アニメ(宮崎駿?)を思わせるのも印象的でしたが、とにかく7分間に凝縮された家族の絆、愛情と成長。
正直言って『月と少年』鑑賞直後は、「あぁこれで今日は元を十分に取った」と、『メリダとおそろしの森』本編前に満足したくらいです。
アニメならではの飛躍と想像力、ユーモアが楽しい傑作。
もう1度観たいですよ、これは。