days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

『おおかみこどもの雨と雪』の「物足りなさ」の正体


先日観た映画おおかみこどもの雨と雪』について、私はこう書きました。
後半が物足りなく感じた…と。
今となっては自らの理解不足を恥じるばかりですが、ここはどうせならと恥の上塗りをすべく、ちょっと引用してみましょうか。
以下がその引用になります。

全体に面白く、感銘も受けた箇所も多いのですが、少々の物足りなさも感じました。
内容は含蓄に富み、アニメ映画としての意匠は凝らされており、映像も音楽も美しいのにも関わらず。
世知辛い都会に対して、田舎の人々は垣根を越えたら皆善人ばかりという単純な描き方が、私にはいささか絵空事に思えてしまったようです。
美し過ぎる舞台が、終幕の主人公の葛藤を、転じて私の感動も薄めてしまいました。
途中までは「これは傑作かも知れない」と思っていたのに、後半は物足りなく感じたのはこんな理由のようです。


我ながら説得力のない文章で、自分でもずっと違和感を抱いていました。
上記は鑑賞直後の印象でしたが、あれから理由を色々と突き詰めて考えてみたところ、どうやらこういう事らしいというものに思い当りました。
映画の終盤は事前の期待と違っていたのですね。
前半同様に、後半も子育ての感動が描かれているのかと思っていたら、結末で冷厳な事実を突き付けられたのです。
つまり自分の予期していた期待と違う、痛い映画だったのです。
私個人はあれで良いのだと思います。


しかし映画とは難しいものです。
世に多く聞く「期待外れ」「思っていたのと違う」は、ネガティヴ、マイナスの面で言われる場合が多い。
しかし映画とは予想と違い、思っていたのと違う方が驚きがある筈。
ただその驚きが、余りに予想のベクトルと違うと、ネガティヴな思いで受け取ってしまうものなのです。
映画はそのありのままで理解し、その結果受け入れるか否かではありますが、さて私のように器用でもない人間には、そう毎度理解し受け入れるとは限りません。
本作もその例に漏れなかったようです。


まぁしかしです、こういう映画だからこそ、本作はその画調と違って厳しいながらもお勧めしたくなるのです。
興業的には成功しているようなので、暫く上映はされるでしょう。
是非ご覧になる事をお勧めします。
ついでに、興業的苦戦を伝え聞く『桐島、部活やめるってよ』もお勧めですよ!