days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Rock of Ages


ロック・オブ・エイジズ』を鑑賞しました。
平日金曜朝9時10分からの回は、妻と私と入れて8人くらいの入りでしたでしょうか。
久々に入ったワーナーマイカルシネマズ港北も、いよいよデジタル導入が本格的のようです。
というのもメジャー各社は来年からデジタルのみの配給と決定していますからね。


音楽業界での成功を夢見て田舎からハリウッドに出て来たシェリー(ジュリアン・ハフ)は、ひょんな事からロックの殿堂的ライヴハウス、バーボン・ルームでウェイトレスとして働く事になります。
そこでシンガーソング・ライター志望のドリュー(ディエゴ・ボネータ)と知り合い、恋に落ちます。
一方、バーボンは経営の危機にあり、オーナーのデニス(アレック・ボールドウィン)と相棒ロニー(ラッセル・ブランド)は気が気でなりません。
伝説的スーパースター、ステイシー(トム・クルーズ)のライヴの集客頼みだったからです。
奇行が目立つ彼がステージに立ってくれるのかどうか。
一方、L.A.市長(ブライアン・クランストン)の妻(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、ロックは教育に良くないと教会を拠点の活動を激化させますが。


いわゆるジュークボックス・ミュージカルというヤツで、要は規制曲を使ってのミュージカルです。
ほら、『マンマ・ミーア!』や『アクロス・ザ・ユニバース』といった映画もそうですね。
監督は傑作ミュージカル『ヘアスプレー』のアダム・シャンクマンだから、北米での悪評なぞ気にせず期待していました。
が…こりゃ確かに内容はヒドかった。
中盤なぞライヴハウスから話が一切進まないし、後半は急転直下、で最後はハッピー♪って、ロックなんかい、そりゃ?
普通に恋愛して結婚して子供作ってシワワセって、反抗的なロックの魂に反しているんじゃないの?
元の舞台版もこんなグダグダなのか?
そもそもロックの商業化は傑作『あの頃ペニー・レインと』で描かれていたように、70年代から始まっていました。
デフ・レパードの同名曲から取ったとは言え、完全に商業化されてしまった80年代ロックを『ロックの時代』と名乗るミュージカルという厚顔無恥さも批判の対象…かどうかは知らないですが、まぁ私はそんな風に言いたい。


しかしです。
ベストヒットUSA』『ビルボード・トップ40』等の洋楽番組を80年代後半に浴びるように観ていた身としては、これは非常に楽しい映画なのです。
ガンズ’ン・ローゼズ、ボン・ジョヴィフォリナーホワイトスネイク等、私の好みとは一切合致しないし、アルバムはどれも持っていないものばかり。
しかし彼らの大ヒット曲は比較的耳に残っています。
となると、楽しまないと損々、なのですね。


やはりミュージカルは歌が命です。
歌が上手い人が出ているミュージカルは、それだけ安心して観ていられます。
主役2人の若者は歌もルックスも良いけれど、キャラクターが薄っぺらでまるで印象に残りませんでした。
しかしヴェテラン勢が出ただけでその場をさらいます。
『シカゴ』以来の歌とダンスを見せるキャサリン・ゼタ=ジョーンズも、顔面から振付から力入りまくったショウを見せてくれて可笑しい。
因みに役のモデルはアル・ゴア元副大統領夫人ティッパー・ゴア。
今市場で売っているCDのジャケットにある、「内容に問題アリ」という警告表記を付ける法案を出した張本人ですね。
というかこんなにコミカルな映画だったんだという意外性も良かった。
オーナー役アレック・ボールドウィンと、相棒役ラッセル・ブランドも笑えましたしね。
悪辣マネジャー役ポール・ジアマッティ、髪型は作ってるんですよね?


と、おっと忘れちゃいけないあの人。
大スター、トム・クルーズは主役じゃないのに、観終わると主役みたいな印象を残して強烈です。
カリスマ性に歌もばっちり、本人は物憂げで真面目なのに奇行目立つロッカー役で笑えました。
何だか美味しいところを全部持って行ってしまっていました。
トムの大袈裟演技は他の映画でお馴染みですが、それをステージ上で発揮するとこうなる、という見事な配役。
映画最大の見ものは大スターでした。


アメリカン・ハードロックはまるで聴かない私でしが、サントラCDを欲しくなってしまいました。
と楽しめたものの、この手のジュークボックス・ミュージカルは脚本が弱くなるのは宿命なのでしょうか、との疑念を抱きました。
元の曲があってしかも有名という縛りだと、底が浅いかご都合主義かバランスが悪いかになってしまう可能性が高いのでしょう。
聴いていて楽しいのですけれどもね。
私個人は楽しめたし、BD買っても良いかも???とは思いました。
80年代アメリカン・ハードロック好きには特にお勧めです(メタルじゃないよ)。


ヴァン・ヘイレンの明るいヴォーカリスト、デイヴィッド・リー・ロスのヒット曲『まるっきりパラダイス』(素晴らしい邦題だ!)。
映画の冒頭で歌われます。


ご存じボン・ジョヴィの大ヒット曲『ウォンテッド・デッド・オラ・アライヴ』。
トムが大熱唱してくれます。
声のキーが高いのにびっくりしました。


ホワイトスネイクの大ヒット曲。
当時デヴィッド・カヴァーデイルの彼女だったタウニー・キテインをフィーチャー、公私混同かよ!と笑ったものでした。
彼女、ジュスト・ジャカン(『エマニエル夫人』)監督の怪作『ゴールドパピヨン』に出ていましたね。


Rock of Ages

Rock of Ages

ロック・オブ・エイジズ オリジナル・サウンドトラック

ロック・オブ・エイジズ オリジナル・サウンドトラック