days of cinema, music and food

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"No Country for Old Men" on Blu-ray Disc


Blu-ray Discにて『ノーカントリー』を鑑賞しました。
劇場公開時の鑑賞以来ですから4年振りになります。
アカデミー賞作品賞等を受賞したのがびっくりの、でもコーエン兄弟の傑作ですね。
これはレヴューも書いています。


1980年代、メキシコ国境沿いのテキサス。
モス(ジョシュ・ブローリン)は銃撃戦が行われたらしい現場に出くわし、大金入りスーツケースを見付けて持ち帰ります。
スーツケースの持ち主であるギャングたちは、冷酷非情な凄腕の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)を差し向けます。
逃げるモス、追うシガー。
事件の捜査を担当することになった初老の保安官ベル(トミー・リー・ジョーンズ)もまた、彼ら2人を追跡しますが。
一方、組織側もシガーの暴走に気を揉み、シガーを止めるべく殺し屋カーソン(ウディ・ハレルソン)を送り込みます。
















息を潜めたくなるギリギリとした緊張感溢れるアクション・スリラー、転じての不条理劇。
まぁ不条理ではないのですが。
絶望的なテーマなのに希望もあるラストも素晴らしい。
やはりこれは傑作でしょう。
しかし内容は分かっているのに、緊張し過ぎて疲れたとは、如何に手に汗握る迫力ある映画かの証しです。


銃が濡れたらどうやって撃てるようにするのか。
モーテルにブツを隠す方法はどれが1番良いのか。
それを回収する方法は。
撃たれたらどうやって自分で治療するのか。
これらいちいち緻密な描写も緊張感を高めています。
無論、最悪の髪型の殺し屋ハビエル・バルデムも出て来るだけで、こちらの手をぎゅっと握りしめたくなります。
映画史に残るのは間違いない殺し屋です。


冒頭のショットから名匠ロジャー・ディーキンスの撮影の美しさに目が釘付けです。
BDとしても高画質。
こんなに凄い映像ばかりだったんだぁ、と感嘆しました。
1ショット1ショットが「絵」になっていて、それだけでも眼福です。
そして音!
緻密な効果音の使い方が素晴らしい。
例えば、ホテルの場面もドアを開けるときの軋みだけで緊迫感をもたらしています。
銃撃音も凄い迫力。
シガーの武器は屠殺用の圧搾ボンベとサプレッサー(消音器)付きショットガンなのですが、これらの「ボスッ」「シュパッ」が怖い。
だから銃撃戦になってもバカバカとデカい音が入っているだけではないのに、迫力満点緊張感満点。
そして弾着音ですよ。
発砲音が静かだけに、いきなり近くに弾着したりで怖い怖い。
音って何でもデカけりゃ良いってもんじゃないのですよ。


音の抑制は音楽にまで行き渡っています。
カーター・バーウェルの音楽はエンドクレジットのみかと記憶していたら、序盤に1か所だけ、効果音とも音楽ともとれる、弦のような音が控え目に流れるのに気付きました。
この映画の音や音楽の存在は大きいです。
凄いですよ、このセンスも。


特典映像は全てSD収録で残念でした。


出来ればHD収録してもらいたいですが、まぁ仕方ないでしょうか。
内容も物足りないですね。
割と普通のメイキングくらいしかなくて。
でも特殊メイク現場とか見られたし、ま、いっかぁ、と思いました。
AVマニアにもお勧め出来るディスクです。


ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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