days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

The Hunger Games


ハンガー・ゲーム』を鑑賞しました。
平日水曜日12時50分からの回、309席の劇場は5割程の入りでした。


文明崩壊後のアメリカ大陸は独裁国家ネムと化しており、そこでは富裕層のみが居住を許される都市キャピトルが12の地区を支配していました。
ネムでは毎年1回、12歳から18歳の少年少女を選別して最後の1人になるまで殺し合いをさせるサバイバル・ゲーム「ハンガー・ゲーム」が開催されており、勝者は巨額の富を得られました。
一家を狩猟で養う少女カットニス(ジェニファー・ローレンス)は、幼い妹がハンガー・ゲームに選出された事から、とっさに身代わりを申し出ます。
精鋭達相手に、同級生ピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)と共にゲームに参加する事になった彼女でしたが。


Twitterのタイムライン上では散々な評価が多かったので、期待値下げての鑑賞です。
それが功を奏したのか、結果的に結構楽しめました。
ディストピアにおける殺人ゲームSFは、古今東西に名作が幾つもあるので、珍しくはありません。
しかしジュブナイル仕立てというのは新機軸ではないでしょうか。
原作はスーザン・コリンズの全米ベストセラーで、『トワイライト』シリーズのように若年層向けに売れているようです。
因みに私は元ネタじゃないかと言われている『バトル・ロワイヤル』は、原作も映画も未読未見です。


ゲームが始まるまでの1時間も、いざゲームが始まってからも、懇切丁寧に説明してくれるのは如何にもハリウッド映画調。
ちょい苦笑しましたが、脇役の怪演もあって面白かったです。
地区のスカウトとして来た白塗りのエキセントリックな女性役エリザベス・バンクス
最初は誰か分かりませんでしたよ。
マトモな役が多い彼女にとっては、『40歳の童貞男』以来の怪演でしょうか。
如何にもアヤしげでエキセントリックな司会者役スタンリー・トゥッチ
解説者役トビー・ジョーンズ
過去のチャンピオンとしてカットニスらに助言を与えるウディ・ハレルソン
凝った剃り具合の髭が目立つ、ゲームの設計者ウェス・ベントリー
独裁的大統領役ドナルド・サザーランド
脇を支えるヴェテラン勢の顔ぶれは中々良かったです。


でもこの映画は、やはり我らがジェニファー・ローレンスを観る為の映画でしょう。
以前、タイムライン上でブス可愛いと言っていた方もいましたがが、特に絶世の美女でもないのに何でこんなに魅力的なのか。
これは演技力の成せる技なのでしょうか。
緊張に震える姿。
テレビ番組内で視聴者達が望むように振る舞う、明るく聡明な姿。
怒りと悲しみに打ち震える姿。
死にもの狂いで走る姿。
復讐に燃える姿。
愛しい者に触れる姿。
ジェニファー・ローレンスの演技カタログ・ショウ、これは彼女のアイドル映画と言っても良いのです。
2時間半近い上映時間の大半でほぼ出ずっぱりで、大作映画をしょって立つのですから、これは求心力がある証拠。
まだ20代になったばかりの彼女の若々しくも凛々しい姿を、これは応援する映画でもあるのです。
ですから故郷に残されたボーイフレンド役リアム・ヘムズワースら、他の若手の影が薄くなるのも仕方ありません。
ところでリアムは『エクスペンダブルズ2』にも出てるし、顔が売れ始めましたね。


ドーム状らしい競技場の描写等も含めて、未来SFっぽい映像も多かったのも個人的には楽しかったです。
キャピタル・シティの描写は70年代SF映画調で、『2300年未来への旅』『未来惑星ザルドス』等を連想しました。
ゲーム開始までの丁寧なドラマは、監督ゲイリー・ロスの長所が出ています。
『カラー・オブ・ハート』『シービスケット』等を思い出しました。
ゲーム開始までの期待を繋ぎます。
ですから後半は非常に残念でした。
原作も同様らしいのですが、ヒロインが直接手を下す場面が殆ど無く、周囲で勝手に殺し合って数が減っていく展開となっています。
そこそこ緊張感のある場面もあって退屈はしないのですが、明らかにパンチには欠けていました。
シービスケット』のレース場面にあったような迫力を期待していたので、これは全くの期待外れです。


日本版のみと思われる、ラストシーン直後の日本語テロップは最悪でした。
映画の余韻をぶち壊すもの。
エンドクレジット後にすれば良かったのに…。
ジェームズ・ニュートン・ハワードの音楽は映画には合っていました。
彼はほぼノータッチなと思われる、T・ボーン・バーネットによる歌の数々も良かったです。