days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

John Carpenter's The Fog


今回、立て続けに懐かしいCDを買った訳ですが、まぁしかしかつては映画音楽専門店のすみやまで、わざわざ渋谷まで出掛けていたというのに、今やアマゾンやらメーカー直販やらから手軽に個人輸入出来る時代になったのですから、やはり情報インフラは凄いですねぇ。
という事で、先日に続いてのジョン・カーペンター映画のサントラCDをご紹介します。
1980年のホラー映画『ザ・フォッグ』になります。


ゾンビ調の幽霊話でしたが、暴力描写を適度に入れながらも詩情も忘れないホラー映画で、私はカーペンター映画でこれが1番好きです。
今観たら怖くないかも知れないし、カーペンター作品の常でクライマクスが盛り上がっていない可能性もありますが、中学1年のときにテレビ東京木曜洋画劇場で観たときは、怖さと面白さに興奮しました。
というのはその数日前にゴールデン洋画劇場で鳴物入りで放送された『エクソシスト』ノーカット版放映を見て、物足りなく思っていたからなのですね。
今でこそ『エクソシスト』はオカルト映画のみならず、優れた宗教映画として、ウィリアム・フリードキンの演出や、ウィリアム・ピーター・ブラッティの脚本、それに優れた俳優陣による演技やディック・スミスの特殊メイク等、素晴らしい傑作だと思っています。
しかし当時は期待値マキシマムだったのに対し、悪魔祓い場面が終盤のみ、マジメで面白くない映画に思えたのです。
その反動か、数日後に観たこちらは余り期待していなかった為か、物凄く面白く感じました。
VHSで録画して幾度も幾度も観ましたよ。
ジェイミー・リー・カーティスは脇役でしたが、これが映画初出演のエイドリアン・バーボーのヒロインに感情移入し、始めて意識したハル・ホルブルックという俳優の演技に感心しました。
パンフレットも古書店で見つけて即購入したくらい、入れ込んだのです。
当時愛読していたレイ・ブラッドベリに通じる詩情があった、と言うのは褒め過ぎでしょうか。
また登場人物名にダン・オバノンニック・キャッスルがあるなど、かなりあからさまに旧友達を登場させていて、ニヤリとさせられます。


同時に耳に残ったのが、カーペンター自身による音楽です。
特にエンドタイトルで十分に聞かせてくれるメインテーマは美しい。
単調なメロディの繰り返しでしたが、ピアノとシンセサイザーによる曲はとても印象に残るものでした。
一方のショック場面や、終盤の霧が港町アントニオ・ベイを襲撃する場面のコケ脅しリズム音楽など、中々効果的に使われていました。
先日ご紹介した『ゴースト・ハンターズ』の変化に富んだ作風に比べてシンプルなアプローチですが、これはこれで味わいがあります。


本CDは、名優ジョン・ハウスマンが映画冒頭でキャンプファイヤーで子供達相手に語る昔話に始まり、劇中でカットされたジェイミー・リー・カーティスのラジオ出演音声まで入った2枚組完全盤です。
存分に初期カーペンター音楽を楽しめます。


Fog

Fog