"Tinker Tailor Soldier Spy" on Blu-ray Disc
大傑作スパイスリラー『裏切りのサーカス』BDを鑑賞しました。
届いたのは先週末ですが、ずぼらな私にしては、まぁ購入のほぼ直後に観た内に入ります。
これは公開当時、相当入れ込んでいた映画ですからね。
日記にも書きましたし、久々に映画レヴュー用に書き直しもしました。
パッケージはデジパックとなっており、表紙はコントロール(ジョン・ハート)以下、スパイ組織”サーカス”の面々が集う、盗聴対策万全な会議室の壁面をモチーフにした渋いデザインです。
そこに紙の帯、ゲイリー・オールドマン扮する初老のスパイ、ジョージ・スマイリーをメインに据えた劇場公開時のポスターの各要素を再配置したものが加わっています。
劇場公開時に、人物名が入り乱れる(しかも名と姓でそれぞれ呼ばれる)字幕のお蔭で人物関係が分かりにくい、という話があったのでしょう。
ブックレットにもなっているデジパックの表紙をめくると、ほら、人物相関図があります。
ブックレットは資料性も重視されているようでありがたい。
デジパック最後にディスクが固定されています。
チラシは2種。
『アーティスト』と『ぼくたちのムッシュ・ラザール』が入っている…と思いきや、微妙に時期がずれているチラシが入っていて、内容は微妙にダブっているという、微妙にがっかりな代物でした。
くすんだ色彩に粗い粒子と、一見すると低画質と思われそうですが、劇場でもこんなトーンだったのでほぼ忠実でしょう。
その意味では高画質に入るとも言えそうです。
アップによっては十分鮮明ですしね。
音はいきなりサラウンド豊かで、古めかしい画とのギャップもあってびっくり、音質も良好でした。
そこはさすが新作映画です。
公開当時に書いたあらすじ&レヴューは、上記映画レヴュー等を参照して頂くとして、やはりこれは大傑作です。
今年観た映画の個人的ベストであると同時に、暗殺は至る所にあるけど、撃ち合いやアクションの全くない地味系諜報スパイ・スリラーの金字塔でしょう。
冷酷非情で打算的な世界で生きる、だからこそロマンティストな男達の情念。
ずばりこれがメインテーマです。
しかし唐突に挿入される暴力描写に毎度ドキリとさせられます。
この内臓感覚はかなりエグい。
でも必要な描写でしょう。
だから終幕の顔面射撃場面はもっとリアル方向で良かったのでは、とも改めて思いました。
あそこだけ綺麗過ぎて違和感があるのです。
役者の顔を汚したくないという配慮かも知れないけれども…。
もっとも、あれは「涙」だという意見も友人から頂いたので、なるほど、監督トーマス・アルフレッドソンが選択した描写で良かったのだろう、と思い直しました。
それにしても拷問部屋のタイル壁面の描写、あれはトラウマ級の衝撃です…。
直接描写が無いだけに、未だに無残で冷たい描写として心に突き刺さります。
非情な世界での哀れな顛末として。
二度目ともなると物語はすんなり頭に入って来るので、映像や音楽、音響、役者の演技等に自然と耳目が行きます。
キャメラの横移動を基本に、たまに縦移動が入る映像ですから、静かな映画なのにダイナミズムがあるのです。
このキャメラワークは、スタンリー・クーブリックの名作『突撃』の影響もあるのかな、と思ったりしました。
役者は皆良いのですが、これで初めて観たベネディクト・カンバーバッチはいっぺんに好きになりましたね。
『シャーロック』も観ないと!
工作員役トム・ハーディも最高です。
主人公の地味で冴えない、でも頭脳明晰で粘り強いゲイリー・オールドマンも素晴らしい。
コリン・ファースのキザさや、悪役の多いマーク・ストロングの哀愁も印象に残ります。
男達のスリーピースのスーツやネクタイ、ポケットチーフ等にも目が行きますが、やはりいつも目が行ってしまうのは、コリン・ファースの赤い靴下!
あれはお洒落なのでしょうか?
個人的には物凄いインパクトです。
『恋とニュースのつくり方』のハリソン・フォードの靴下を超えるインパクトです!
どちらも私の趣味とは違いますが (^^;
映像特典や、アルフレッドソン&オールドマンの音声解説も楽しみ。
これはじっくりと秋の夜長に耽溺したい映画なのです。
裏切りのサーカス コレクターズ・エディション [Blu-ray]
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