days of cinema, music and food

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のぼうの城


ヒットが伝えられている時代劇『のぼうの城』を鑑賞しました。
3連休中日の土曜朝9時40分からの回は20人程の入りでした。


戦国末期の現・埼玉県にあった、周囲を湖に囲まれて浮城とも呼ばれた忍城(おしじょう)。城主・成田長親(野村萬斎)は、武勇も知勇もないものの、その親しみやすい性格によって、地元農民から「(でく)のぼう様」と親しまれていました。
しかし天下統一目前の豊臣秀吉市村正親)は北条氏のいる小田原城を陥落せんと、関東に軍勢を進めます。
秀吉は寵愛する石田三成上地雄輔)を指揮官し、2万3千を超す軍勢で忍城を落とすよう命令。
ここに戦いの火蓋が切って落とされます。


石田光成が現在の埼玉まで来て城攻めしてたなんて知らなかったので、かなり興味惹かれました。
周囲の評判も良かったのですが、これが実際に観てみると堂々たる時代劇大作になっているではないですか。
単純に面白かったですよ。
VFXはインビジブルだと良く出来ているのに、スペクタクル場面になると急にチャチになるのはご愛嬌でしょうか。
ここら辺は邦画の限界なのかしらん…。
ともあれ、ドラマの犬童一心VFX樋口真嗣と、ぞれぞれ得意分野のある2人を共同監督にしたのは成功していました。
全体に安心して観られる映画となっています。
戦闘場面も迫力があり、大画面で鑑賞するにふさわしい。
ストロボ的撮影や、そのさ中に飛び散る血や泥の描写等を観るにつけ、未だにスピルバーグの『プライベート・ライアン』の影響力って凄いんだな、と改めて思いました。


役者も揃っています。
予告編を観てアレルギーが出ていた野村萬斎は、少々大袈裟でもまぁ許せるでしょうか。
トリックスター的な役柄なので、でも正直、野村の演技はもう少しでぶち怖しになりそうな、かなり際どい印象を受けました。
さすがに踊りの場面はびしりとしていましたが。
ただ気になったのは、長親が仁徳で武士や民を率いているのは分かったものの、司令官としての資質が今一つ伝わってこなかったのです。
後半の「舞」の場面で人心掌握術に長けたのは分かるのですが。


驚いたのは張飛か、と言いたくなる山口智充です。
腕もぶっといし、豪放磊落な感じも良く出ていました。
佐藤浩市はさすがにカッコ良いですね。
握り飯頬張るショットも最高でした。
上地雄輔山田孝之も良かったです。


映画全体を忍城を巡る攻防戦に集約したシンプルな構成が、成功の主要因でしょう。
観ていて高揚感があるし、合戦前はかなり盛り上がります。
但し終盤、戦の終了後が少々長く感じましたが、これは致し方ないのかも知れません。
相対的に140分余の上映時間を最初から最後まで飽きずに楽しめる、娯楽大作でした。


上野耕路の音楽が、時々ジェリー・ゴールドスミスの『猿の惑星』(1968)の「人間狩り」を思い出させました。
ピアノを打楽器的アプローチで用い、スリルを盛り上げるところなんかそっくりです。
また、映倫で「G」(誰でも観られる)と知ってて観たのでびっくりしました。
槍での串刺しに首チョンパ、血しぶき、男性背面全裸と、何でこれがGなのやら理解出来ません。
映倫審査は邦画に甘いのでは、と思いました。
洋画だったら確実にPG12になると思しき描写が多いのですから。
身内(国内)に甘い審査に見えるのは、海外ゲームに厳しいCEROと共通なのでしょうか。