days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Lockout


ロックアウト』ミッドナイトショウ鑑賞with近所のM田さん、でした。
土曜夜23時55分からの回、観客は私達を入れて10人程度でした。
劇場ロビーはヱヴァや『スカイフォール』効果の為か、大賑わいだったのですけれどもね。


2079年、凶悪犯500人を収容した軌道上に浮かぶ超巨大刑務所MS-1。
そこでの人権侵害の匂いを嗅ぎつけてやって来たのは、人権団体を率いた大統領の箱入り娘エミリー(マギー・グレイス)でした。
しかし一瞬の隙を突いた囚人らは、たちまち刑務所を制圧。
そこは宙に浮かぶ要塞と化したのです。
エミリーの身分が囚人達にばれるのは時間の問題。
無実の罪を着せられ、MS-1に収監予定だった元CIA工作員スノウ(ガイ・ピアース)は、エミリー救出の命を受け、単身で刑務所に潜入します。


皮肉屋で減らず口ばかり叩いている主人公が体現しているように、観ていて半笑いの映画でした。
「安かろう悪かろう」のリュック・ベッソン率いるヨーロッパ・コープ製作作品で、突っ込み所満載の、ある意味安心して楽しめる凡作SFアクションでもあります。
しかしガイ・ピアースって良い役者なのに、何でこうも役に恵まれないのか、一考に値しますね。
今年公開された『プロメテウス』でも、別に彼でなくても良い役でしたし。
でもまぁ、本作では楽しそうに演じていました。


序盤のバイクアクションで、いきなりの安普請VFXで腰を抜かしそうになりましたが、まぁスピード感に工夫がされてた…でしょうか。
しかしです、SF映画らしく大道具小道具が色々登場するものの、もっと魅力的に出来そうなのに、全てが中途半端とはある意味恐れ入ります。
壮大な設定なのに全てにスケール感が無いのも、安手のB級映画らしい。
超巨大な筈の刑務所も、大気圏突入場面も、大きさ、広さが足りないのです。
最近だと『トータル・リコール』の巨大エレベータの撮り方と比較してみましょう。
あちらは、よく考えると内部構造の場面は広くないセットで撮っているのに、やたらデカく感じられました。
それは外観の撮り方が上手だったのですよね。
そういったセンスが、この手の映画では重要なのでしょう。


減らず口叩きの主人公、目標の大統領の娘、冷酷非情かつ頭脳明晰らしい囚人のボスら、皆まるで魅力に薄い人物描写も勿体無い。
しかしボスの弟で精神異常気味のジョセフ・ギルガン演ずる囚人が孤軍奮闘、中々頑張っていました。
その暴走振りは清々しい。


冒頭から結末まで見せ場をこさえようという努力は評価したいです。
例え、いつかどこかで観たような設定、場面が多くとも。
しかし『スター・ウォーズ』のまんまパクリまで持ってくるとは、中々神経が図太いですね。
これは「オマージュ」と捉えましょうか。
そんな訳で、作り手の「こんなのやりたかった」感は満載なので、不出来であってもそこそこ楽しめたのでした。
上映時間が1時間半と短いのも好印象です。