days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

"Les Misérables"、正月気分を実家にて


今年も宜しくお願いします。
元旦の朝食は雑煮、昨日渋谷で買って来た卵焼き、伊達巻、妻子と作った(と言っても、主に妻ですが)栗きんとん等を頂きました。
雑煮は妻の実家風でした。
醤油味で、具材に鶏肉、大根、人参、なると、みつば、そして餅が入っています。
あっさりしていて美味しい。
娘は御餅が食べにくいからなのか、余り食べてくれません。
う〜ん、幼稚園の餅つき大会で食べたのは、黄粉砂糖だったからなのか、それともクラスメイトにつられてなのか。
まぁ肉と野菜食べたから良しとしましょうか。


娘を実家に預けて、急遽妻と映画を観に行く事になりました。
お正月映画の話題作、ミュージカルの『レ・ミゼラブル』です。

13時00分からの回、388席の劇場は半分以上の入り。
真ん中から後ろはほぼ全て埋まっていました。
ワーナーマイカルシネマズ港北の1番劇場だったので、ここは和製IMAXとも言われているらしいウルティラ方式。
下手なIMAXより大画面で観られたのは良かったです。
音はIMAXに負けていたけど(^^;


19世紀初頭のフランス。
ミリエル司教の元にジャン・ヴァルジャン(ヒュー・ジャッックマン)という男が訪れます。
貧困により妹の子供の為に1本のパンを盗んだ罪で19年間も服役していた彼は、出獄後もあちこちで冷遇され、人間不信に陥っていました。
ヴァルジャンはミリエル司教の銀の食器を盗み、憲兵に捕らえられてしまいます。
だが司教は自分が渡したものと言い、ヴァルジャンの人間への憎悪はかき消されます。
懺悔し、正直者として生きて行こうと司教に誓う彼は、さらに波乱の人生を歩んで行きます。
彼を執念深く付け狙うジャヴェール警視(ラッセル・クロウ)の影を感じながら。


劇場では後半は泣いている人多し…というか劇場全体が涙に覆われていました。
こういうのも珍しい。
それにしても、大画面の劇場で観て正解でした。
顔のアップと熱唱の相乗効果には、物凄い迫力があったから。
しかし一方で窮屈さを感じたのも確かでした。
舞台と映画の中間のような作りになっていたのです。
街中の石畳に血だまりが出来ている場面は強烈だし、壮大なラストシーンは映画ならではの壮観さですが、まだあちこち映画的効果を狙える場面もあったように思いました。
でもミュージカル映画好きとしては満足度の高い「観劇」でした。
舞台版は未見ですが、楽曲の素晴らしさ、展開の面白さに引き込まれてしまいます。
アン・ハサウェイが歌う「夢破れて」も感動しましたが、私が特に感動したのは終盤の「彼を帰して」。
それと多くの人が感動したであろう「民衆の歌」。
いや、どの曲も良かったのですが、特にこれらが印象に残ります。
全体に歌の上手い下手よりも演技力だよ、という役者の起用だったように思えました。
綺麗とか上手いとかではないのですが、演技が歌の力になっていたのです。
トム・フーパーの演出は非常に力と熱が籠っているものになっていて、だから窮屈さを感じさせるものの、パワーで長丁場を引っ張るスタイルで、これはこれで正解の1つだったのではないでしょうか。


全体に細かい人物描写やドラマは二の次で、物語を駆け足気味に進めるスタイルが映画版『風と共に去りぬ』を連想させました。
ここで映画としてのドラマ描写の薄さと感じるか、オペラやミュージカルならではの穴を観客の想像力で埋めるので問題なしとするか、意見は分かれましょう。
私はどちらかというと後者でした。
内容は盛りだくさんで、テーマも多岐に渡ります。
贖罪、赦し、世代交代…。
キリスト教の色濃い内容でしたが、やはり欧米人にとっては神に許される事は如何に大きな事なのか、というのも印象に残りました。
そして多くの名も残さぬ人々の犠牲の上で成り立ったフランス革命
だから「民衆の歌」が鳴り響く後半は、こちらも盛り上がります。


アン・ハサウェイは出番15分程度なのに、やはり現代最強の女優ですね。
「夢破れて」熱唱場面は未だに耳目にこびり付きます。
ヘレナ・ボナム・カーターサシャ・バロン・コーエン演ずるテナルディエ夫婦は、ティム・バートンスプラッターミュージカル映画の力作『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』関連者。
ヘンなミンチ作る場面もあって笑いましたよ。
それとエポニーヌ役のサマンサ・バークス
素晴らしい。
彼女は舞台版でもエポニーヌ役だったそうなので、歌唱力はこなれていて、でも雨中で歌う「オン・マイ・オウン」は忘れえぬ名場面になっていました。
成長したコゼット役アマンダ・サイフリッドは、ソロ場面などありますが、思っていたよりも控え目な役でした。


色々な問題はあるものの、相対的に満足度の高い映画でした。
これはお勧めです。


実家に戻り、トトとの散歩から中々帰らない母妹娘一行を父と一緒に迎えに行ったりしてから、早い夕食を取りました。
昨日、渋谷のDean & Delucaで買ったフォアグラ、フォアグラ入りハンバーグ、合鴨、ローストビーフ等を持参して皆で食べたのに加え、実家でふるまわれたのがすき焼きです。




何だかこれだけの肉肉肉を食べたのはいつ以来なのか。
ついでに(?)父の誕生祝も行い、笑いと満腹で幸せな時間を過ごせたのでした。
ありがたや、ありがたや。