days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Looper


前評判の高い『LOOPER/ルーパー』を近所のM田さんとミッドナイトショウ鑑賞しました。
土曜夜0時15分からの回は20人程の入りです。


舞台は2044年
始末屋である"ルーパー"の若者ジョージョセフ・ゴードン=レヴィット)の仕事は、2077年の未来から送られてくる人物を射殺し、死体を始末する事。
未来ではタイムマシンが発明されていたが、使用は禁止されていた。
だが犯罪組織はターゲットを過去に送り返して殺し、死体を処分する事で、完全犯罪を行っていた。
組織に雇われたルーパーと呼ばれる者は、指定された時間と場所にビニルシートを敷いて待ち、拘束衣と頭巾を被せて出現したターゲットをラッパ銃で射殺、その背中にくくり付けて送られて来た銀塊を報酬としていた。
ルーパー業務にもいつか契約解除の日が来る。
未来の自分が背中に金塊をくくり付けられターゲットとして送り込まれ、自分で殺害する羽目になるのだ。
そうなるとルーパーは残り30年の余生を楽しむしかない。
そしてどうやら、2077年では組織を幹部で冷酷極悪な独裁者レインメーカーが、ループを閉じるべく、次々とルーパーの契約解除を行い始めたらしい。
そしてジョーの前に現れたターゲットは、未来のジョーブルース・ウィリス)だった。
オールド・ジョージョーを殴って逃亡。
ターゲット殺害をしくじったルーパーは、組織に追われる宿命にある。
現在のジョーはオールド・ジョーを始末すべく追跡を始めるが、そのオールド・ジョーにはある目的があった。


なんともややこしい内容ですが、上記はまだまだ序盤にしか過ぎません。
予想外の展開見せてくれる事しばしばの快作SFでした。
時間旅行ものに付き物の疑問点は数あれど、内容てんこ盛りの強引さで突破しました。
ブラックな展開やくすくす笑せてくれる所も含めて、前半は結構笑えます。
その合間にぞっとする超暴力的な拷問脅迫展開があって、これには脱帽しました。
直接描写が無くとも恐ろしい暴力は描けるという、しかもSFならではのアイディアという見本で、これはユニークでした。


後半はややテンポがスローダウンしてしまいますが、内容もSFネタ大盛り。
監督ライアン・ジョンソンによる脚本は、ちょっと詰め込み過ぎた感がなきにしもあらずですが、徐々に諸々の真相が露わになる話が面白い。
各要素自体は過去の映画やらで観たものを想起させるので、新鮮さは無いけれども、配置が面白いので楽しめました。
暴力の連鎖にまつわるメインのテーマは終盤で明確になりますが、もう1つ、大事なテーマがあります。
それは人は変われるのか?という事。
そして人が変わると何が変わるのか。
序盤は奇想天外なアクション・スリラーで始まり、終幕は全く別の所に着地。
余りベタベタしないのも面白くも、また物足りなさもありました。
もっとも、あそこの場面はああいう風に描くしかないのかも知れません。
「気付き」な訳ですから。


映画に登場するなり、いきなりブルース・ウィリスに似せた演技を披露するジョセフ・ゴードン=レヴィットは中々良い。
自己中心的な若者が、徐々に変わって行く様を控え目に演じています。
ブルース・ウィリスはいつものタフガイ役…と思わせて、さらにその向こうに行き着く役でもありました。
要は普段の彼の役柄のパロディ的側面も持っているのです。
レヴィットとウィリスを特殊メイクで似せようとしていますが、そこには必要以上の力点は置かれず、あれはあれで良いです。
ここではレヴィットとウィリスの2がこの役に起用されたのが、大事なのですから。


ちょっと残念なのはバイクの特撮がややチャチな所。
予算の関係なのでしょうか。
それとこの映画、中国との合作なのですね。
未来都市として上海が登場しているのです。


全体に欠点も目に付くけれども、最初から最後まで楽しめましたた。
予想外の展開がある映画は面白いですよ、本当に。


エミリー・ブラントもシングル・マザー役ですか。
農婦にしてはやや細腕でしたが、クライマクスは中々感動的な表情を見せてくれますね。
最初、レベッカ・ローミンが出てる?その割にはグラマラスじゃなく細身だな…と思ったらパイパー・ペラーボでした。
女優はメイクで変わりますね。


■軽くネタバレ
観ていて思い出した映画や小説などがありました。
次のようなものです。