days of cinema, music and food

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父娘で鉄尤山(てつりゅうざん)→A Good Day to Die Hard


この日も妻が多忙で遅くなるらしいのと、このところ平日はほぼ毎日迎えと夕食作りだったので、金曜だしと娘と外食しました。
お馴染みの中華屋ですよ。


娘はいつものようにお子様炒飯セット、私は大好物の春巻と、小籠包を頼んでみました。
小籠包はここ数か月、娘が大好物になったので、この店で初めて食べてみました。
春巻も小籠包も美味しく、食べやすい味ですね。

美味しく頂きました。
ご馳走様でした。


娘寝かし付けの後は、近所のM田さんと深夜映画鑑賞です。
多分、話題作であろう『ダイ・ハード/ラスト・デイ』でした。
公開2日目、24時10分からの回は大入りかと思いきや、20人程度の入りとは予想外でした。


長年音信不通だった息子ジャック(ジェイ・コートニー)が、ロシアで逮捕された。
父である警官ジョン・マクレーンブルース・ウィリス)は息子の裁判傍聴の為にモスクワに着くが、陰では大がかりな陰謀が進行していたのだ。


90分強の間、派手なVFX多用のドンパチが続くアクション大作…という観点ならば、雑な脚本も人物も特に問題とはならない、よくある凡作映画の1本なのですが。
叩かれるのは過去の遺産の為でしょう。
特にシリーズ1作目の『ダイ・ハード』は、緻密な脚本、すっとぼけたウィリスの個性、緩急自在の演出、VFXを多用した大掛かりなアクション、脇役まで個性的で魅力的な登場人物達、随所のユーモアと、公開当時は理想に近いアクション映画だ!と興奮したものでした。
実際、映画史に残る映画になったし、その後にシリーズ化されたのだから、ご覧になった方も多い事でしょう。
で、本作です。
1番の問題はこれが「ダイ・ハード」だと名乗っている事なのですね。


我らがジョン・マクレーンは、市井の人でも警官でも知恵を使う訳でもなく、ただひたすら外国で無敵に暴れまくる危険壮年人物と化していました。
前作でも脳筋化は見えていましたが、若いクラッカーを守るという、警官としての矜持がまだありました。
しかし今回はそんなものは吹き飛び、非番の警官が単なる観光客になったとは言え、そのアンチモラル化は酷いものです。
例えば前半最大の見せ場であるカーアクション場面。
確かに壮観ですが、攻撃を受けている息子を救わんと、一般市民が乗っている車の上を平気な顔してトラックで走り回るマクレーンは(画面に出ない画、恐らく何十人もの庶民を殺している筈)、暴れまわる相手は悪いヤツだけとのルールを自ら捨て去った、凶悪な親バカとなっていたのです。
凶悪は親バカは『96時間』リーアム・ニーソンで十分です。
でもニーソンだって庶民を殺したりしていませんでしたよ。


またマクレーンが息子を守る話かと思いきや、実は息子も無敵でした。
この親子が強過ぎるので緊張感が全くありません。
前半で一度捕虜になるくらいで、後はもう大暴れ。
緊張が無いから興奮もカタルシスもありません。
絶体絶命のピンチを、知恵と度胸で乗り切る逆転ホームランなぞ、ここにはありません。
そんな良さは消え去りました。
画面と音は派手な映画でしたが、私はついぞ入り込めず、完全に傍観者になってしまいました。
これはよくある、「派手なだけで内容の無い」、よくある馬鹿アクション映画です。
話はもっと面白くなりそうなのに、スキップ・ウッズの雑な脚本、ジョン・ムーアの雑な演出が目立ちます。
ジョン・ムーア監督作品は『オーメン』しか観ていませんが、あれも残酷描写を派手にしただけで全く怖くもない、つまらんオカルト映画でした。
そういう監督って事なのでしょうか。
ダラダラせずにコンパクトにまとめた功績は認めますけどね。


それと予告編は見せ過ぎですよ。
クライマクスとか堂々と見せているもの。
残念だったのは、過去全作品が画面比2.35:1だったのに対し、こちらは1.85:1になっていた事。
ひょっとしたらIMAX対策なのかも知れませんが、映画全体もややちまちました感があったのも事実です。


90分強、映画に全く入り込めなかったけど退屈はしなかったし、1,200円で観られたしで、損した気分はしませんが、怒る人の気持ちも分かるという映画でもありました。