days of cinema, music and food

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渋谷x2本→横浜ららぽーとx1本(『フラッシュバックメモリーズ 3D』, "Dredd" and "Ghost Rider: Spirit of Vengeance")


この日は午後から自由時間が取れたので、久々に渋谷まで映画を観に出掛けました。
渋谷まで映画を観に行ったのは、昨年11月のザ・レイド』以来となりますね。


まずは1本目。
ヒューマントラストシネマ渋谷で上映される『フラッシュバックメモリーズ 3D』を鑑賞しました。
劇場が入っているココチビルはファンション系店舗が多いので、明るく開放的で楽しい建物です。
ここも昨年のREC/レック3 ジェネシス』以来の訪問となります。
土曜15時からの回、200席の劇場は7割くらいの入りでした。
3D方式はすっかり見かけなくなったeXpand。
赤くてデカくて重いメガネが不評の方式ですね。



機会作ってでも絶対観てもらいたい、音楽ドキュメンタリの傑作。
忘れ得ぬ映画体験。
劇場で観られて良かった、と心から思える映画でした。
記憶や人生といった普遍的な題材を扱っている為、音楽映画というある種敷居の高さもクリアしていて、間口の広い仕上がりになっていると思います。


大阪出身のGOMAは、国内外で活躍するディジュリドゥ奏者。
30代半ばの2009年11月、交通事故の追突事故により脳を損傷し、高次脳機能障害となってしまいます。
過去の記憶の多くが欠落し、また最近の出来事も次々忘れてしまうのです。
近所で迷子になったり、電車の乗り方も忘れたり、そして友人達の顔も忘れていたり。
しかもディジュリドゥが楽器である事も忘れてしまいました。
そのGOMAの現在の演奏活動の姿と、過去の映像を交錯させたドキュメンタリ映画です。


ドキュメンタリで3D映画というのは稀にありますが、これはその大成功例でしょう。
アボリジニの民族楽器ディジュリドゥというのは知らなかったのですが、木製なのに構造上金管楽器扱いというのが面白いです。
ピーター・ガブリエルが使いそうな音色だな…と思っていたら、やはり『裸足の1500マイル』サントラで使っていたようですね。
映画はGOMAとそのバンドのステージ上の演奏模様をひたすら描きながら、その背景にGOMAの過去の写真や映像、日記などが映し出されるという構成になっています。
ナレーションのたぐいは一切なく、説明やGOMA夫婦の日記の抜粋として、字幕だけが出て来ます。
まだ20代前半のGOMAに始まり、結婚、長女の誕生、音楽活動、CD発売、ライヴハウスでの演奏模様などが背景として登場。
その過去の映像や写真と同時進行して、現在のGOMAが前面に居ます。
3Dをこう使うとは、と目から鱗が落ちる映画でした。


ドラムスと2名のパーッカションの3人のリズム隊をバックに、ディジュリドゥを演奏するGOMA
音楽自体は非常にエキサイティングで迫力あるものです。

  • GOMA & JUNGLE RHYTHM SECTION . One Groove


しかし、GOMA自身はその演奏した事そのものも忘れてしまうのです。
絶望的な状況であがきながら、苦しみながら、やがてGOMAは辿り着きます。
記憶とは儚いものですが、それでも人生は先があるのだ、と。
今日の自分よりも、明日の自分の方が成長しているのではないか、と。
過去は忘れても、少しでも前に進もうとするその姿。
感動しましたよ。


70分強と短い映画で、且つ各地では短い上映期間しかやらないみたいです。
現在は渋谷で上映中。
お勧め‼というか、観ろ‼


2本目は『ジャッジ・ドレッド』3D版を渋谷TOEIにて鑑賞しました。
公開初日の土曜17時10分からの回は、私も入れて30人弱の入りです。
客層は男女カップル1組の女性1人のみという、素晴らしい男性率の高さ。
7人ばかり白人男性客が来ていて、皆さん、コミック・ファンなのかしらん。
それともSF映画好きなのかしらん。
3Dはドルビー方式。

この方式はグアムにて貸切状態で観たファイナル・デッドサーキット 3D』以来だったかと記憶しています。
場内はこんな風にズラリと3Dメガネを並べた棚がありました。

映画の内容もあってか、何だか武器庫を連想しました。
公開初日という事で、何故か清涼炭酸飲料のRAIZIN(ライジン)という新商品が配布されていました。

映画同様にアゲアゲになろう、という事かしらん??


因みにこの映画、昨年北米で公開された映画の中で、確かもっとも収支が合わない映画かと記憶しています。
批評は良かったのですけれども、ノースターという事か、大コケだったんですね。
でもこれが面白いSFアクション映画でした。



近未来。
核戦争後のアメリカは荒廃し、ニューヨークからボストンにかけての都市部は、暴力と犯罪が渦巻くメガ・シティと呼ばれていました。
街の秩序を維持するのがエリート集団のジャッジ。
彼らは逮捕した犯罪者をその場で判決、刑の執行を行う事が出来る超エリート集団なのです。
凄腕のジャッジ・ドレッドカール・アーバン)は、ある日新人カサンドラオリヴィア・サールビー)の実地教育係に任命されます。
各種テストでは落第した彼女ですが、強力な読心術を持つサイキックなので、見どころはあるのだと。
その最終見極めをこの1日でしてもらいたい、と。
早速事件の捜査に赴いた2人は、犯罪集団の首領であるママ(レナ・ヘディ)が君臨する200階建て高層マンションに閉じ込められてしまいます。
ビルには敵しかいません。
絶体絶命の状況下で、ジャッジ・ドレッドカサンドラ対ママ率いる犯罪集団との激闘の火蓋が切って落とされます。


アメコミ映画…ではなく、イギリスの人気コミック2度目の映画化です。
前のシルヴェスター・スタローン主演版は観ていないのですが、原作と違ってドレッドがマスクを取って素顔を晒すのが、まず原作ファンの怒りを買っていたようですね(^^;
本作のカール・アーバンは最後まで口元だけの演技で、しかもカッコ良い。
皮肉な決め台詞も含めて、これ、明らかにクリント・イーストウッドの、しかも『ダーティハリー』のイメージを重ねていますね。


そっくりな設定では、インドネシアの格闘アクション映画『ザ・レイド』もありましたが、同工異曲としても凄く面白い映画でした。
単純な設定に直線的な語り口がマッチしています。
何とアレックス・ガーランドが脚本を書いていて、随分と思い切った内容でした。
作品の設定は冒頭のナレーションでささと済ませ、即、ジャッジの執行の様子に飛び込むテンポの良さ。
ピート・トラヴィスの演出も手際良いだけでなく辣腕で、全体を90分ちょっとに収めたコンパクト設計。
とにかく一切の無駄が無いアクション映画になっていました。
低予算故控え目なSF的な各設定もちゃんと効果的に使われていたし、新人カサンドラが読心術に長けたサイキックというのも面白い。
ヴェテラン&新人コンビがいきなり極限状況に放り込まれる緊張感もあるし、新人が成長して頼もしくなるプロットも生きています。
全編、殆どアクション&サスペンスだけの映画なのに、最低限に刈り込まれたとは言え、ちゃんと人物描写も一貫しているので、安心して観ていられます。
昨夜のダイ・ハード/ラスト・デイ』と大違いですよ。


感心したのは3Dを使う必然性です。
時間が引き伸ばされる幻覚作用のある麻薬スローモーというのが出て来て、この超スローモーション映像と3Dの相性がとても良いのでした。
成る程ねぇ。
この映画、2D上映では面白さがかなり減退するのではないでしょうか。


全編に渡って超暴力的で残酷な描写も多いので、そういうのが苦手な向きにはお勧め出来ません。
でもそんなの気にしないという観客には、楽しい1時間半の活劇タイムを提供してくれますよ。
お勧めです!


3本目は妻子寝静まったミッドナイトショウです。
ゴーストライダー2』は23時からの上映、観客は私を入れて3人でした。


悪魔との契約により未だに呪いが解けないジョニー(ニコラス・ケイジ)。
彼は怒りや憎しみに反応して、自らの意思とは関係なく、内なる精霊ライダーに変身してしまうのです。
ライダーは燃えるバイクに乗り、全身は炎に包まれ、頭部は骸骨という姿をしており、周囲に居るものを見境なく殺し、魂を奪う存在でした。
旧東欧で隠遁生活を送っていたジョニーの元に、ある日、教会から派遣された武闘派修道士モロー(イドリス・エルバ)が遣わされます。
悪魔ロアーク(キアラン・ハインズ)に狙われている、ナディア(ヴィオランテ・プラシド)とその幼い息子を守る為に用心棒として雇いたい、というのです。
そうすればお前の呪いを解いてやろう、と。
ジョニーは早速母子を追跡し始めますが。


マーヴェル・コミックの映画第2弾ですが、前作は未見です。
それでも全く問題無しのアメコミ・アクション映画でした。
ニコラス・ケイジよりも、変身後の燃える髑髏の方が印象が強いというのもナンですが、原案と脚本をアメコミ映画御用達のデヴィッド・S・ゴイヤーダークナイト3部作とか)が書いているだけあって、真っ当に面白かったです。
ネヴェルダイン&テイラー監督の映画は初めてですね。
序盤のアクションも中々見せるし、勿体ぶらずにバンバン観たいものを見せてくれるのは結構な事。
でも後半は少々睡魔に襲われました。
疲れもあったのでしょうが、アクションがクライマクスまで出て来ないからだったかも。
これはつまり、ドラマ部分の描き方は下手という事かも知れません。
でも楽しめる映画でしたよ。


笑ったのはニコラス・ケイジの相変わらずな痙攣顔面演技です。
変身したがる内なるライダーとの葛藤表現とか、もう可笑しい。
彼の十八番のキレ気味演技は久々に観ました。
しかしすっかり印象の薄い役者になったとの哀感も禁じ得ません。
もうひと花咲かせてもらいたいのう。
『ラスト・ターゲット』で皆大好きになったであろう、ヴィオランテ・プラシドも出ているのですよ。
はてなキーワードを自分で立てたのに、すっかり忘れていました。
アイメイクの濃さが気になりましたが、やはりお綺麗です。
クリストファー・ランバートもちょい出ているし、イドリス・エルバも出ているし、キアラン・ハインズも出ているしで、役者達の顔触れが楽しかった。
悪魔の手先として主人公らを追いかけるチンピラを演じるジョニー・ホイットワースが、若い時のカート・ラッセルの出来そこない(というか、ハンサムだけど)みたいなのも、妙に可笑しかったですね。


気楽に楽しめるオカルト・アクション映画としては、まぁまぁではないでしょうか。


という事で、総体的に満足度の高い映画ハシゴでした。