days of cinema, music and food

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"Silverado" on Blu-ray Disc


『シルバラード』のBDを、日曜夜に自宅にて鑑賞しました。
1985年の西部劇です。
このジャンルは、当時のアメリカでも既に廃れた存在でした。
そこに本作とクリント・イーストウッドの傑作『ペイルライダー』が大ヒットし、復活鳴るか、と報道されたものでした。
結局、2本共に打ち上げ花火だった訳ですが。
残念ながら日本ではどちらも興業的に奮わなかったと記憶しています。
『ペイルライダー』は今は無き東急文化会館にあった大型劇場渋谷パンテオンで弟と友人だった芥川と観ましたが、ガラガラだったですからね…。
で、本作は長年観たい観たいと思って観ていなかったのですが、先日のオフ会での一部上映がとても楽しかったので、今回廉価版BDを買って観てみた訳です。




でね、これが楽しい活劇映画でしたよ。
撃ち合いは当然ながら、酒場の乱闘、スタンピード、悪党、美女、イイ男、ユーモア、男と男の友情、仄かな恋、それに悪党との1対1の早撃ち決闘…と、これでもかと西部劇要素を全て盛り込んだ、ローレンス・カスダン一世一代の娯楽大作でした。
途中、やや内容盛り込み過ぎでまとまりが無くなるけれど、終盤盛り上がって取り返しました。
















ケヴィン・クライン、スコット・グレン、ダニー・グローヴァー、それに若き日のケヴィン・コスナーと、主役4人組皆に見せ場が用意されているし、彼らだけではなく脇も含めて各キャラも楽しい。
彼らが少しずつ仲間になっていく過程もじっくり描かれていて。
また、悪玉でクラインと因縁のある保安官役ブライアン・デネヒーがとても良かった。
悪党なのに愉快というか愛嬌というか、妙に魅力があって。
それとコスナーも含めて後のスターだらけなので、彼らを眺める楽しさもあります。
ロザンナ・アークエットジェフ・ゴールドブラムジェフ・フェイヒー等々。
ジョン・クリーズは出て来るだけで可笑しいイギリス出身の保安官という役どころ。
許されざる者』でリチャード・ハリスが演じていたイングリッシュ・ボブもそうでしたが、西部劇内でのイギリス人はキザでやや見かけ倒しという設定です。
アメリカ人にとって、何かあるのかも知れませんね。


ラストの1対1の決闘も良い。
もう少し粘って粘って粘っても良かったかも知れませんが、昔の西部劇ってあれくらいあっさりしていたかも。
でも構図と編集がとてもカッコ良い!
撃たれての倒れ方も良かった。
ジョン・ベイリーの撮影は全編、左右目一杯に使った構図が多くて痺れますなぁ。


ブルース・ブロートンの音楽は全編ほぼ鳴りっぱなし。
エルマー・バーンスタインの名曲『荒野の七人』を継承した、明るく豪快な陽性西部劇音楽です。
ちょっと曲付け過ぎとも思いましたけどね。


特典は取り敢えずコスナーのインタヴューだけ観ました。
彼の西部劇への思い入れ故、ジェイク役に最初はがっかりしたというのが面白い。
西部劇にいつでも出られるよう、自分では寡黙な西部男をイメージしていたのに、ジェイクは身体は大人でも中身は少年のまま、まるで猿だと (^^;
でもコスナーなりに理解していってキャラを掴んだというのも面白かったです。
コスナーは後に監督ともなる訳で、その監督ならではの視点がとても興味深かった。
例えば、今や名場面となった2丁拳銃広角撃ち後の演技に今は不満だとか。
カスダンは笑顔を希望したのですが、殺した後に笑顔なんて見せられるか…というコスナーの主張が通って、あの演技になったのだとか。
でも客が見たいのはジェイクのヤッタぜ!という笑顔だったんだ、と後で悟ったそうです。
この映画では人を殺しても許される、だから客が望むような演技にすべきだった、と。
うーん面白い。
他にも兄役スコット・グレンは本当の兄貴に思えたとか、ケヴィン・クラインは今まで共演した俳優の中で1番引き出しの多い人だとか、色々喋っていました。


メイキングは日を改めて楽しみたいです。
そうそう、製作補&脚本のマーク・カスダンはローレンスの兄貴と判明しましたよ。
IMDb見ても兄だか弟だか分からないですからね。


画質は明るくカラフルな映像。
一昔前の映画なので解像度はやや落ちますが、十分魅力的な土の香りを運んでくれます。
サウンドも音圧など低めですが、音楽など綺麗。
銃撃音もそれなりに迫力があります。
大画面鑑賞でも全く問題ありませんでした。
廉価版で出ていますし、これはお勧めのディスクなのです。


シルバラード [Blu-ray]

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