days of cinema, music and food

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"The Spy Who Loved Me" on Blu-ray Disc


『007/私を愛したスパイ』をBlu-ray Discにて鑑賞しました。
観始めたのが遅かったので、観終えたのは1時半を回っていましたぁ (^^;
確か故・荻昌弘が解説していた「月曜ロードショー」でノーカット版との触れ込みだったTV放送以来、30年近く振りの鑑賞だと思います。
小学生以来ですよ。


本ディスクのメインメニュー画面です。


ガンバレル・シークェンスから始まり始まり〜♪














英ソ両国の原子力潜水艦が同時に消えました。
東西の緊張が高まる中、ジェームズ・ボンドロジャー・ムーア)に真相究明の指令が下ります。
一方、KGBは女スパイのアニヤ(バーバラ・バック)に真相究明をするよう指令を下し、ボンドとアニヤは共同で捜査を行うことになりました。
しかしアニヤの恋人は、つい先日、ボンドに殺害されていたばかりだったのです


本作は1番好きなロジャー・ムーア007映画です。
画質も音質も甘めで時代を感じさせますが、音は結構広がりがあって、大作感はよく出ていました。
シリーズ初のドルビーステレオ作品だったようですね。
しかし何よりも時代を感じさせるのは、映画のテンポでした。
ルイス・ギルバートの演出は記憶以上にのんびりしていて、一昔前のアクション映画という感じです。
逆に今観ても面白い『ユア・アイズ・オンリー』(1981)の評価を高めましたよ。
でもこれは半ば予想通りだったのですけれど(^^;


でもね、『私を愛したスパイ』はやはり大好きなのでした。
冒頭のスキー・アクションに始まり、昨年亡くなったマーヴィン・ハムリッシュ作曲、カーリー・サイモン歌の名曲主題歌が流れる中、モーリス・ビンダーのデザインによるタイトル・シークェンスからわくわくします。
シリーズ最高の秘密兵器満載のボンド・カー、白のロータスエスプリが爆音と共に疾走する場面などわくわくします。
もちろん、潜水艇に変身すると顔もほころびてしまいます。
悪役カール・ストロンバーグの洋上の要塞とか、タンカーや潜水艦、巨大セットもあって、とにかく大仕掛けでわくわくさせてくれます。
デレク・メディングスの巨大ミニチュアを使った特撮なぞ、今観ても良く出来ているショットも多い。
ストロンバーグ役の名優クルト・ユルゲンスの悪役がやはり良いですね。
シリーズ屈指の怖さではないでしょうか。
今回気付いたのは、ユルゲンスの登場場面は全てセット撮影場面のみという事。
よく考えると何したいんだか今一つよく分からないのですが、シリーズ伝統の誇大妄想狂路線の悪役の代表格でしょう。
その殺し屋、身長217cmで何でも食いちぎってしまう鋼鉄の歯を持つジョーズリチャード・キールも楽しい。
彼も映画史に残る悪役ですね。
バーバラ・バックはこんなに酷い演技だったのかとのけぞってしまいましたが、好きなボンドガールです。
しかし時代を感じさせる描き方でした。
忘れちゃならないキャロライン・マンローも、案外出番が少ないのに印象に残ります。


シリーズ10作目とあって、冒頭のスキーアクション、列車内アクション、といった過去のオマージュが目立つお祭り映画でもあります。
今頃気付いたのですが、タンカーが潜水艦呑みこむのは『二度死ぬ』のですね。
そういった大らかさを楽しむ映画なんですなぁ。
だから陸に上がったロータスエスプリの窓から、ボンドがつまんだ魚をポイするショットが、映画を象徴しています。
全編、すっとぼけたユーモアで貫き通して。


で、特撮、巨大セット、現実離れした悪党ども、ボンドカー、華やかなボンドガール…。
これらは近年のボンド映画が失って久しい要素ばかりです。
但し、これらの要素をボンド映画の中で再生するのは、リアリズム全盛の時代では難度高いのでしょう。
だから今の映画に見慣れると相当のんびりしていますし、スリラーとしては相当にヌルい。
でも幕の内弁当状態で内容てんこもりだし、今の時代でもぎりぎりアクション映画としても楽します。
やはり30年近く振りに観て良かったです。


観ていて気になったのは、ロジャー・ムーアの老け振り。
ボンド3作目にして既に無理がある感じでした。
当時既に50歳だったのですねぇ。
最初のボンド役『死ぬのは奴らだ』で45歳だったのですから、配役が遅すぎたのですね。
これが肉弾戦主体の『ユア・アイズ・オンリー』では痛々し過ぎてしまったという。
因みに私の中では、ムーア007では『私を愛したスパイ』が1番好きで、2番目が『ユア・アイズ・オンリー』。
出来は逆だと思いますけれどもね。
でも、こういった楽天的で大仕掛けの大作アクション映画って、最近では中々ないので、まだ観ていない人には観てもらいたい映画です。



ついでに『ユア・アイズ・オンリー』もどうぞ。


こうなると、やはりギルバート演出によるSF大作となった『ムーンレイカー』も再見したくなりました。