days of cinema, music and food

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Den skaldede frisør


デンマークで活躍するスサンネ・ビア監督の『愛さえあれば』をレイトショウ鑑賞しました。
私はこの監督の映画は初めてです。
公開2日目の土曜21時30分からの回、TOHOシネマズ横浜ららぽーとでは10人の入りでした。


コペンハーゲン
イタリアはソレントでの娘の結婚式を目前に、乳がんの治療を終えた中年女性イーダ(トリーヌ・ディルホム)は、自宅で夫と若い女との浮気現場を目撃してしまいます。
イタリアに渡航直前、イーダは空港の駐車場で車をぶつけてしまいますが、その相手フィリップ(ピアース・ブロスナン)は、娘の結婚相手の父親でした。
最悪の出会いをした2人でしたが、フィリップのヴィラを使った結婚式の準備が進む中、イーダとフィリップの仲に変化が訪れます。


日本に輸入されるデンマーク映画は、ラース・フォン・トリアーとかニコラス・ウィンディング・レフンとか、尖がった監督作品ばかり。
しかしこれは珍しやロマンティック・コメディ映画でした。
適度にコミカル、適度にシリアスで、そのバランスも良く楽しめます。
最悪の出会いからロマンスが生まれるカップルという定番プロットは、舞台がデンマークからイタリアのヴィラを舞台に移ると色々許せてしまいます。
これぞ南欧の魔力でしょうか。
シャトーを舞台にしたリドリー・スコットの『プロヴァンスの贈りもの』を想起しましたが、こっちの方が演出も地に足が付いていて、ずっと良い映画でした(あちらも嫌いじゃないですけどね)。


イーダは癌の転移や夫の浮気に心痛めているけれども、それでもポジティヴな人物像。
ヒロイン役トリーヌ・ディルホムは特に美人ではないですが、十分魅力的でした。
ただこういう映画では、ブロスナンが恋に落ちるもっと強い何かが用意されていても、とも思いましたが。
でもふとした散歩で恋に落ちるのも現実味がありますね。
ディルホルム、劇中では40代後半以上の役だと思って観ていたら、実際にはまだ40歳でびっくりです。
オールヌードとかあるけれど、スタイルが綺麗だったのはそういう訳ですか。


ブロスナンはボンドも含めてそんなに好きな役者じゃないのですが、こういう映画は似つかわしいですね。
すっかり白髪が増え、顎はたるみ、お腹が出ていても、やはりハンサム。
彼の持つどこか軽さが、こういうロマンティックな映画にはぴったりなのです。


終盤の心の揺らぎもちゃんと描かれていて、全体に丁寧な作りが印象的でした。
やはり若者の恋愛映画とは少々違うという事でしょうか?
いえいえ、恋をすれば年齢は余り関係無いのかもね、と思える映画なのです。
デンマーク語と英語が飛び交う中、とても楽しく観られました。