days of cinema, music and food

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Gambit


モネ・ゲーム』レイトショウ鑑賞です。
平日月曜夜20時25分からのTOHOシネマズららぽーと横浜では、観客十数人の入り。
時間帯が早いからなのか、単純に入りの良い映画なのか。


印象派のモネの代表作「積みわら」の連作には、第二次世界大戦終戦の混乱期に、消えた1枚が存在していました。
ロンドンの美術鑑定家ハリー(コリン・ファース)は、この消息不明のモネの名画を使った贋作詐欺を企てます。
自分をコケにし続けている雇い主の億万長者にしてメディア王シャバンダー(アラン・リックマン)から大金を巻き上げようというのです。
贋作が得意な相棒の少佐(トム・コートネイ)と共に、”絵の持ち主”としてテキサスのカウガールPJ(キャメロン・ディアス)を引き込み、ハリーの単純かつ完璧な計画通りに事が運べば、15億円の大金が舞い込んでくる…はずだったのですが。


近年のコーエン兄弟のコメディ映画(例えば『レディ・キラーズ』『バーン・アフター・リーディング』)は余り感心していなかったので、その脚本作も期待していませんでした。
ところが意外にも面白かったのです。
終幕が結構ドライなのが彼ららしい。
主役3人も楽しかった…のですが。


こういう泥棒映画というか詐欺映画、話の展開と語り口が上手いとハマるものです。
その点でも楽しめました。
もちろん、もう少し演出に洒落っ気があれば…とか思いましたが、『素晴らしき日』『真夏の夜の夢』『終着駅 トルストイ最後の旅』といった、「もう少し…うーん、惜しい」という映画の印象が強いマイケル・ホフマン監督にしては、結構良かった方でしょう。
ハンサムなコリン・ファースのダメっぷりも可笑しく、でもあと10歳若くても良かったでしょうか。
キャストの年齢だったら『ナイト&デイ』を観た時にも思ったものですが、さすがにキャメロン・ディアズはちと辛い。
いやお似合いの役だし、身体を張って頑張っていますが、あと10歳以上若い役でしょう、これは。
でもこういう役を演じられる名の通った女優が、ハリウッドでは少ないというのもあるのでしょう。
そろそろ後継者が欲しいところです。
メグ・ライアンみたいに、見ていて辛くならないと良いのですが…。


主役3人ではアラン・リックマンが可笑しかったです。
上手いなぁ。
観ていて楽しくなります。
ハリーの思い込んでいた人物像と、実像、さらに…と卑しくて堂々としていて嫌味で楽しくてセクシーで。
こういう引き出しの多い演技を見せられるのが、プロの「役者」なのだと思います。
それとトム・コートネイの滋味が妙に可笑しくて楽しい。
また、久々に大画面で観る気恥ずかしい存在の日本人団体も、偽悪的扱いで面白かった。
上映時間も短いし気楽に楽しめる映画でした。


本来はもう少しスリリングになっても良い場面もあるのですが、そこら辺はくすくす笑える程度。
でも気楽に楽しめたので良しとしましょう。


オリジナル版の『泥棒貴族』(1966)は題は知っていても未見。
どうやら設定とかかなり違うみたいだけど、マイケル・ケインシャーリー・マクレーンという顔合わせは観てみたいですね。