days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

"3 Idiots" and "The Place Beyond the Pines"


今日は映画のハシゴをしましたよ。
まず朝いちから、車を飛ばして最寄のシネコンに向かいます。
最初は『きっと、うまくいく』を鑑賞しました。
日曜朝いち9時20分からの回、ワーナーマイカルシネマズ港北の166席の劇場は4割くらいの入りでしょうか。
年齢は幅広く、女性比が高かったです。


インド屈指の超エリート工科大学ICEの新入生、自由人だが天才のランチョー(アーミル・カーン)、動物の写真を撮る特技を持つファラン(マドハヴァン)、極貧家庭出のラージュー(シャルマン・ジョシ)の3人はすぐに親友同士になります。
しかし大学は厳格な学長(ボーマン・イラニ)の元、厳しい競争社会でもあったのでした。


ボリウッド映画初体験は極めて楽しい鑑賞となりました。
場内のリアクションも良く、笑いも涙もたくさんこぼれたようです。
映画館で大勢と共有する喜びは自宅のDVD鑑賞では味わえないですからね。
2時間50分と長丁場(本当は休憩が入るようですが、日本では続けて一気に上映)でも、全く飽きませんでした。
歌あり踊りあり恋あり騒動ありの青春コメディでありながら、過去と現在を交錯させてミステリ的興味で話を引っ張り、伏線を回収していく丁寧な語り口にも舌を巻きます。
情熱の爆発と冷静な計算が同居していて、これは見事でしたよ。
何より凄いのは、哀しいエピソードを時折絡ませて、厳しい学歴社会、競争社会を描きつつ、笑い飛ばす楽天パワー。
これは近年観た映画の中でも図抜けています。
そして主人公ランチョーの天真爛漫さには、かなり心を動かされましたよ。
しかしこの2009年の映画、ランチョー役アーミル・カーンって既に44歳ですか!
大学生役に違和感を全く感じなかったので、これには後でびっくりしました。


以前、隣の職場にもインド人が大勢いたのですが、こういった過酷な超競争社会を潜り抜けて来た人達だったのですね。
現代インドは学歴で社会の中で階層が作られているんだ、というのも興味深かったです。
これは観て本当に良かった。
教えて下さった柴尾英令さん、ありがとうございました。


2本目は、自宅の最寄駅あざみ野ではなく隣駅に車を駐車し(駐車場を借りているので)、あざみ野まで電車で戻り、市営地下鉄に乗ります。
桜木町にあるシネコン横浜ブルク13に向かいましたよ。
トップ写真はそこの各劇場への入り口がある廊下になります。
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』を鑑賞しました。
公開2日目の日曜14時40分からの回、劇場は30人くらいの入りでしたか。


ルーク(ライアン・ゴズリング)は移動サーカスの花形曲芸バイク乗りです。
ニューヨーク州の田舎町スケネクタディに1年振りに戻った彼は、かつて遊んだロミーナ(エヴァ・メンデス)が密かに子供を産み、その子の父親が自分と知ります。
サーカスを辞めて町に残ったルークは、母子を養うために銀行強盗に手を染めるようになるのですが…。
ロースクールを出た新米警官エイヴリー(ブラッドリー・クーパー)は、やがて取り返しのつかない事件を起こしたものの、一躍英雄扱いを受けました。
しかし汚職警官の闇に取り込まれそうになり…。
高校生ジェイソン(デイン・デハーン)は、転校生AJ(エモリー・コーエン)と親しくなります。
しかしやがてジェイソンは、自分とAJの繋がりを知るようになり…。


ブルーバレンタイン』を見逃しているデレク・シアンフランス監督の力作でした。
犯罪、ドラマ、宿命、親子…と、色々な題材を扱いながらも130分によくも収めたものです。
そして俳優達が皆良かった。
特に目を引くのはライアン・ゴズリングで、これはひょっとして彼のベストかも知れませんね。
ブロンド、体脂肪が無さそうな筋肉質の身体に全身タトゥー。
やっている事もワルですが、でも善性もあって、根っからのワルではない男。
ワイルドさと無邪気さと純粋さが同居した男を、見事に演じていました。
『ドライヴ』の名無し運転手とはまた違う魅力があったと思います。
一方の警官役ブラッドリー・クーパーも善戦していました。
若手新米警官から、やがて狡猾な男へと変わりゆく様を演じていて、意外に演技者としての幅を見せてくれたのです。
デイン・デハーンエモリー・コーエンという無名の若い役者も、危うさがあって良かったですね。
デハーンは以前ご紹介した未公開の超能力SFホラー『Chronicle』の日本公開が待たれますね。
秋公開とかで楽しみです。
あちらの彼も良かったのですよ。
また全くセクシーでない、生活に疲れたエヴァ・メンデスにもびっくりしました。


強盗場面や追跡場面の荒々しさと迫力にも注目したいのですが、土地に根差した因縁ものとしても面白かったです。
「松の木を越えた場所」が印象的な場面が2つあり、どちらも緊張感が漂っていました。
しかしそこは重要な場所、重要な場面でもあったのです。
個人的には暴力や憎しみといった負の連鎖を断ち切ろうというテーマに興味を引かれました。
昨今のハリウッド映画にはこの手のテーマが打ち出された作品が散見されます。
これも大きな戦争を起こした国ならでは、という事なのでしょう。


先日鑑賞したばかりの、ジャッキー・コーガン』に続けて、レイ・リオッタベン・メンデルソーンが同じ映画に出演していたのも憶えておきましょうね。
マイク・パットンの音楽も静かながら印象的で良かったです。