days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

The Paperboy


お祭りの後の土曜深夜は映画鑑賞とあいなりました。
ペーパーボーイ 真夏の引力』ミッドナイトショウ鑑賞、公開初日の0時5分からの回は20人程度の入りです。
あれ、結構人気なのかしらん。


うだるような暑さの1969年フロリダ。
大学の水泳選手だったジャック(ザック・エフロン)は問題を起こして中退、何をするでもなく実家の新聞社の手伝いとして新聞配達をしていた。
ちょうどそこへ、兄である新聞記者ウォルター(マシュー・マコノヒー)がライターのヤードリー(デヴィッド・オイェロウォ)と共に帰郷する。
彼らの目的は、保安官殺しの犯人として死刑が確定しているヒラリー(ジョン・キューザック)が冤罪ではないか、と調査する事だった。
獄中のヒラリーと手紙のやり取りだけで婚約したシャーロット(ニコール・キッドマン)に、ジャックは恋をするが。


説得力にはいささか疑問が残る部分もありますが、この暑苦しさと後味の悪さは、劇中のじっとりとしたイヤ〜な感じとよく似ています。
いやはや、インパクトだけだと最近見た映画の中では1番でした。
人種差別が残るアメリカ南部の湿地帯を舞台に、闇を抱えた人物ばかりが登場するのです。
俳優達は文字通りの熱演で、そういった各キャラのやり過ぎ造形も含めて、暑苦しくて圧迫感のある映画になっていました。
ザック・エフロンのブリーフ1丁場面の多さ、ニコール・キッドマンの色情狂気味演技、良い人役が多いジョン・キューザックの正体不明の男も含めて、とにかく過剰。
しかしこの極端な描写があるから興味を引いたのも確かでしょう。


リー・ダニエルズの演出は映像面でも過剰な部分が目に付くし、しつこさにも辟易する部分もあります。
正直に言って好きではないタイプの監督ですが、この作品には相応しかったのではないか、とも思いました。


物語は単純な調査ミステリ/スリラーとしては進まず、紆余曲折を経て予想もしなかった着地点を迎えます。
「ひと夏の成長青春物語」としても惨い内容。
怪作と呼ぶに相応しい異色作です。
機会があれば一見をお勧めします。