days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Warm Bodies


日中は外食したり実家に行ったりで忙しくした後、家族寝静まってから独り深夜上映に赴きます。
ウォーム・ボディーズ』は公開2日目の9月22日、三連休中日の日曜23時5分からの回は十数人の入りでした。
女性が半数近かったのは恋愛ホラーコメディとの触れ込みからでしょうか。
それともニコラス・ホルトが主演だからでしょうか。


R(ニコラス・ホルト)は行く宛も無く徘徊するゾンビの1人だ。
生前の本名も職業も忘れてしまっている。
飛行場にある旅客機内に根城を作り、LPで音楽をかけるのが好きだが、自らの欲望には素直にちゃんと人肉も食べる。
だってゾンビだから。
ある日、資源探しに探索に出た人間の一隊を仲間達と一緒に襲ったRだが、その中の1人ジュリー(テリーサ・パーマー)に一目惚れしてしまう。
ジュリーの脳みそを食べる事無く、根城に連れ帰ったRだが。


近年流行りのゾンビ映画の中でも、これは相当に変種も変種。
何たってゾンビ青年と人間少女の恋愛映画なのですから。
前半まではその変種振りにイマイチ乗れなかったのですが、途中からはなるほどと思ったからか、それ以降は結構楽しめてしまいました。
稚拙な所もあるけれど、終盤も盛り上がるし、全体にちゃんとホラーしていたのにも感心します。
但し直接描写はかなり抑え目。
北米MPAAではPG-13、日本の映倫ではGですからね。
これは愛すべき映画だと思います。
ところどころくすりとさせられ、しかも結構スケールの大きい世界観を持っていて、色々と驚かされてしまいました。
事前にはもっと小規模な映画かと予想していたので、VFXもちゃんとしていて驚きましたよ。
IMDbによると製作費3,500万ドルとの事。
大きな世界の話なのに、主役カップルを最後まで軸に置いて話を進めていたので、とっ散らかった感もありません。
これは中々クレバーな映画でした。


監督と脚本は『50/50 フィフティ・フィフティ』を監督したジョナサン・レヴィン
アイザック・マリオンの原作は未読なのでどうなのか分かりませんが、色々なテーマを引き出せる、中々面白い内容でした。
生の先の死、死の先の希望。
あれ、昨夜観た吸血鬼映画と似通っていますか?


主演の若いカップルも魅力的です。
すっかり美青年に成長したニコラス・ホルトは、観る度に『アバウト・ア・ボーイ』のあの少年とは思えないよなぁ、と脳内で反芻するのが癖になってしまいました。
初めて見たテリーサ・パーマーも凛としていて、しかも可愛かった。
ジュリーの父親役でゾンビ強硬対策の軍人役ジョン・マルコヴィッチは、すっかり強面頑固親父の役が板に付いていますね。
こうなると芸ですよなぁ。


上映時間も1時間半強とコンパクトだし、過大な期待をしなければ楽しめる映画だと思います。
私はこの映画に出て来るゾンビを観ていて、『死霊のえじき』の人間的反応を示すゾンビのバブを思い出しました。