days of cinema, music and food

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"Chronicle" in theater


昨年、UK盤Blu-ray Discで自宅ホームシアターにて鑑賞済みの『クロニクル』。
やはりこれは劇場の大画面で観るべきだと思い、近所のM田さんをお誘いして行って来ました。
公開初日の27日金曜23時55分からの回は、10名程の入りです。


世の中には予備知識があった方が楽しめる映画と、無い方が楽しめる映画があります。
本作は間違いなく後者。
なので、未見でこの映画に興味のある方は、この先余りお読みにならないようにして下さいませ (^^;


大友克洋の傑作コミックに『童夢』というのがあります。
本作を観終えてまず思ったのは、「『童夢』実写プロジェクトは不要でしょ」というものでした。
それくらいにインパクトのある映画だったのです。


青春映画の体裁を取っているSFスリラーで、内容はスティーヴン・キングの名作『キャリー』が下敷きになっていると言っても良いでしょう。
M田さんもおっしゃっていましたが、最初は地味に始まって徐々に盛り上がり、終盤は大スペクタクルという作りになっています。
こちらは男子高校生が主人公だけど、やはり冴えない青年で、高校でもいじめられ気味。
母は難病で寝たきり、父は失業して酒浸りという家庭環境です。
その彼アンドリュー(デイン・デハーン)が、自らの全てをヴィデオカメラに記録するという設定で物語が始まります。
ある夜、アンドリューと従弟のマット(アレックス・ラッセル)、高校の人気者スティーヴン(マイケル・B・ジョーダン)の3人は、地面に開いた穴を見つけます。
中に入ってみると…ここはかつて楽しませてくれた『X-ファイル』みたいでスリリングで楽しい。
それから一夜明けると、彼らにはテレキネシスが備わっていたのでした。


最初は『超能力学園Z』みたいに、女子高生のスカートめくりやら、スーパーでのテッドみたいなイタズラなどで笑わせてくれますが、能力は徐々にパワーアップ。
青春を謳歌するも、とある事から挫折を経験してしまい、そこから…という展開になっていきます。
ここら辺は中々スムースな話の流れと演出で良かった。
ジョン・ランディスの息子マックス・ランディスの脚本はスマートだし、ジョシュ・トランクの演出も無駄が無く、また映像センスもあります。
この映画最大の発明は、全編手持ちカメラ撮影というモキュメンタリの手法を用いながら、途中からは「超能力持ち」という、自由自在にカメラを動かせる設定にした事でしょう。
これにはヤられました。
よってカメラ日誌という狭い映像世界になりそうなものを、より広く捉えられるようになっていたのです。
面白いなぁ。


若手3人の中ではやはり、今注目のデイン・デハーンが図抜けて素晴らしい。
大画面で改めて観るとその繊細な演技に目が行きましたよ。
そして終幕の大スペクタクルも含めて、大画面で観るべき映画でもあると確信しました。


青春SFスリラーの佳作として、心に留めておきたい映画。
お勧めです。