days of cinema, music and food

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"Game of Thrones: Complete 1st Season" on Blu-ray Disc


7月半ばの発売から静々と鑑賞し、ようやく第1シーズン全10話各60分を観終わりました!
特典も全部観ました!
600分+2時間程度でしょうか。
長くも短い旅でした。
というかまだまだ旅は始まったばかりですが。
堪能、耽溺しました。
何がって、北米HBOで爆発的人気を博しているTVシリーズゲーム・オブ・スローンズ』の第1シーズンですよ。
ご存じジョージ・R・R・マーティンの大河ファンタシー小説『氷と炎の歌』7部作のうち、今回ドラマ化されたのは第1部『七王国の玉座』。
原作は以前にもココココでご紹介していますネ。
取り敢えずの結論から言うと、これは原作、TVドラマ版、どちらも大傑作ですね。
長大な物語の序章にしか過ぎない部分を取り上げて「傑作」と断言するのには、我ながら少々の抵抗があります。
それでもこの没入感、緊張感、面白さかなりのもの。
ファンタシー好きな人、コスチューム劇が好きな人、重厚なドラマが好きな人、中世戦記物が好きな人には、かなりのお勧めだと断言できます。





よく、このドラマの売り文句として「『ロード・オブ・ザ・リング』好きな人には向いている」と言った文章を見掛けますが、それは半分当たっていて、半分ハズレではないか、とも思います。
主演の1人は、あちらにもボロミア役で出ていたショーン・ビーンですし、架空の国を舞台にした戦記物というという共通点があるので、LotRファンにもとっつき易いのは確か。
しかし血しぶき舞う容赦無い切り株描写とセックスシーンも含めた裸の多さもあって、こちらはかなり大人向けの内容にもなっています。
また最大の違いは、多くの登場人物が私利利欲の為に動いている事。
「世界を救う」という大義名分はこちらにはありません。
それでも各人物は立体的に描かれており、感情移入の可否に関係無く、彼らがどうなって行くのか、その行く末を息を凝らして見つめる作りになっています。


それにしても、複雑且つ長大な原作を、要所を遺して上手く刈り込んでいたものです。
これは脚本を手がけたクリエイターのD・B・ワイスとデヴィッド・ベニオフの目利きによるものでしょう。
原作者マーティン自身も脚色に参加しているエピソードもありますが、全体に原作に忠実且つエッセンスを上手く取り出している、と言えましょう。
映像化された最大の功績は、ウェスタロスの世界が再現された事。
それに城や鎧といったおとぎの世界を実際に見せられると、説得力が違います。
甲冑や城が好きな私は、観ながらジョン・ブアマンの傑作映画『エクスカリバー』も、こうやってTVシリーズとしてリメイクが出来るんじゃないか、と思いました。
どろどろした人間模様に容赦ない戦闘場面とか似通っているから、そんな連想をしたのでしょう。
その人間関係も含めて、観ていて「この先どうなるんだろう?」という興味を持って観られる話は、やはり面白いなぁ。
わくわくとはまた違うのですが、善人だろうが悪人だろうが、一歩間違えれば奈落の底という緊張感ある世界の中で、基本的に物事が悪い方向に進むのを、登場人物ではなく「観客は知っている」図式で描いているのがこのシリーズ。
ですから力が入って観てしまうのです。
それこ時々、びっくりするようなトラップが配置されていて、おっかなびっくりとはこの事だ。


主役クラスはショーン・ビーン以外は殆ど無名のキャストで並べています。
しかしエミリア・クラークピーター・ディンクレイジキット・ハリントンらはこのドラマでブレイクしました。
一方の脇役には、映画でお馴染みの役者、レナ・ヘディジェイソン・モモアイアン・グレンチャールズ・ダンスアイダン・ギレンら演技が出来る人を数多く使い、厚みを持たせていたのも良かったです。
長大な原作をこの完成度で最後まで描き切って欲しいものです。
そうすれば前代未聞のTVシリーズとして後々まで残りますよ、必ず。


鑑賞は全てホームシアターの130インチにて行いました。
BDとしての画質・音質は十分水準に達しています。
HD撮影で非常にクリア、各地方の寒さや暖かさも十分表現されていますし、またサラウンドもかなり細かく作られていました。
そっかぁ、最近の海外ドラマは映画並の品質なのですね、と感心しきり。
VFXの完成度も非常に高い。
メイキングを観ると、気付かないようなところでもVFXが多用されていて、驚かされました。
実際の古城で撮影していても、背景に巨大な合成用グリーンスクリーンを設置して、延長背景をたくさん合成していたのですね。


ラミン・ジャワディによる、わくわくさせられるテーマ音楽と、話題になったタイトル・デザインからして、異世界へと誘われます。
12月に出る第2シーズンも速攻予約しましたよ。
これはまた、非常に楽しみです!


原作もお忘れなく!

七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)

七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)

七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1)

七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1)


さてボックスですが、がっちりした作りで所有欲を満たしてくれます。
内容物もカードや写真集、各家系説明等、作品世界への没入感を促すようになっていました。
これで欲を言えば外箱の写真コラージュ・デザインではなく、内箱の「鉄の椅子」に座っているショーン・ビーンの絵柄だけで良いのに…と残念には思いましたが。









第2シーズンの外箱は、北米盤同様に王冠のみのすっきりしたデザインのようですね。
映像や今回省かれた音声解説といった特典のさらなる充実を望みたいところです。