days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

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痛快ホラーとして宣伝されている『サプライズ』をミッドナイトショウ鑑賞しました。
この手の映画は苦手な筈の近所のM田さんもご一緒です。
というか、M田さんがご興味示されていたので、では行こうかと思ったのでした。
公開2週目の土曜23時20分からの回は10人強の入りです。


両親の結婚35周年を祝う為に、豪奢な別荘に集まった子供達とそのパートナーの総勢10人。
だがその場所を惨劇が襲う。
動物のマスクをした不気味な男達が殺戮を開始したのだ。
彼らは生き残る事が出来るのか…?


ホーム・インベイジョン・スリラー/ホラーというジャンルの1本です。
上映時間は95分と短めですが、ホラー/スリラー映画としては丁度良いもの。
この手のスラッシャー映画(連続殺人映画)の見過ぎだからか、私は余り怖くありませんでしたが、ご一緒したM田さんはどうだったのかな。
出血量はそこそこあるものの、切り株度はかなり控え目で、首チョンパとか手足バラバラとかはありません。
スプラッターには余り振られておらず、スリラーであろうとしている製作意図でしょう。
アダム・ウィンガードの演出と編集は無駄を無くそうとしており、サイモン・バレットの脚本は中々面白い。
特に傑作とかではないのですが、あちこちに創意工夫が見えて中々楽しめました。


この手の映画では犠牲者側が如何に恐ろしい目に追い詰められて、如何に惨たらしく殺されるかが肝となる訳ですが、前述したようにスリラーであろうとしているので、残虐描写は控え目です。
では見ものは何かと言えば、一家の二男の若い恋人であるエリン(シャーニ・ヴィンソン)の奮闘が見ものとなっているのでした。
快活でちょっと訛りのある彼女が、思いやりがありながら冷静で知恵があり、生き残りを賭けて大奮戦するのです。
日用品を使ってのトラップや、台所用品を使っての反撃など、殺人スキルの高さはこの手の映画のヒロイン史上最高に近いでしょう。
邦題は彼女の大活躍を意味しているつもりでしょうが、実際にはそんなに違和感はありませんでした。
むしろ原題の「次はお前だ」が、犯人側に振られていくようにさえ思えてくるのが面白い。


犯人側は不気味な動物のマスクを被っています。
この手の映画では、マスクを外すと普通の人間と明らかになってしまい、神秘性が無くなるという欠点があります。
スティーヴン・スピルバーグの傑作『激突!』だって、犯人の素顔が最後まで分からないでしょう?
本作でも、犯人が倒されて素顔がさらされる場面で、神秘性や不気味さは無くなります。
しかし事件の真相というネタもあるので、そこら辺も上手くカバーされていました。
神秘性を捨てて、ヒロイン対犯人一味の対決の構図に絞り込んだのが面白さの要因でしょう。


個人的なサプライズは、80年代の『ZOMBIO/死霊のしたたり』と『フロム・ビヨンド』という、2本のラヴクラフト原作エログロホラーの金字塔にヒロインとして記憶に残る、バーバラ・クランプトンが母親役で出ていたことです。
美しく上品に老けていて、エンドクレジットを見るまで全く分かりませんでした。